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http://mylibrary.maeda1.jp/0601WorldRank7.pdf
(世界ランクシリーズ その7 2024年版)
5.2014年~2023年の軍事費の推移(続き)
(急上昇するウクライナとロシア、上昇の気配示すイスラエルとイラン!)
(1)四つの紛争当事国(ロシア、ウクライナ、イスラエル、イラン)の軍事費の推移
(図http://rank.maeda1.jp/7-G05b.pdf参照)
2022年2月のロシアのウクライナ侵攻に端を発したウクライナ戦争と昨年10月のパレスチナ軍事組織ハマスによる入植地テロ事件に対してイスラエルが陸と空からガザ地区を攻撃したガザ戦争は共に未だ終息の気配を示していない。
ここではウクライナ戦争の当事国であるロシアとウクライナ、そしてガザ戦争におけるイスラエルとハマスを支援するイラン、4カ国の国防費の推移を検証する。
まずロシアの軍事費は2015年から2021年まで600億ドル台で推移したが、その後2022年、23年は1千億ドル台に急増している。ウクライナの場合はさらに大きな変化を示しており、2014年から2021年までの8年間、同国の軍事費は30~60億ドルに過ぎなかったが、2022年には一挙に412億ドルに急増、2023年にはさらに648億ドルに増加、2021年以前の10倍以上の水準に達している。
この結果、2023年の世界ランクを見ると、ウクライナは軍事費総額で世界8位、一人当たり軍事費は6位、GDP比率及び歳出に占める比率は世界1位となっている。因みに武器の輸出入ではウクライナは2021年までは世界有数の輸出国であったが、2022年以降は輸出が激減した一方、輸入は急増している。
イスラエルとイランについてはガザ戦争が昨年10月に始まったばかりであり統計上に顕著な増加は認められないが、過去10年間の推移を見ると、イスラエルは2014年の177億ドル以降漸増しており、2019年に200億ドルに達し、2023年の軍事費は275億ドルである。またイランの場合は2014年から2018年まで年間100億ドル台であった軍事費は2020年に33億ドルまで減少している。しかしそれ以降は再び増加する傾向にあり2023年の軍事費は103億ドルに達している。今回のガザ戦争でイランは初めてイスラエル本国に対しミサイル或いはドローン攻撃を行ったが、それ以前からレバノンのヒズボッラー、イエメンのフーシ派、イラクの非政府軍事組織などに軍事支援を行っており、最近のイランの軍事費増加の要因の一つであることは間違いないであろう。
ガザ戦争の今後の動向は未知数であるが、事態の展開によってはイスラエルとイランの軍事費が増加すると考えられる。
以上
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