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http://mylibrary.maeda1.jp/0466ImfWeoApr2019.pdf
IMF(国際通貨基金)では毎年4月および10月に世界各国の経済見通し「World Economic Outlook Database (WEO)」を発表しており、今年4月版(以下WEO2019Apr)がインターネット上に公開された。
*URL: https://www.imf.org/external/pubs/ft/weo/2019/01/weodata/index.aspx
この中にはGDP成長率、ドル建て・各国通貨建てのGDP金額、一人当たりGDP、貿易額、財政収支など数多くのデータがあり、特に当年度或いは次年度の経済成長率は官庁、メディア等々で広く引用されている。
ここでは2016年から2020年(予測)までのGDP総額及び一人当たりGDP(いずれもcurrent price, ドル建て)を取り上げ、また成長率については前回の2018年10月版(以下WEO2018Oct)と比較して世界とMENA主要国の経済状況の変化を検証する。
1.2018/19年の経済成長率
(表http://menadabase.maeda1.jp/1-B-2-08.pdf 参照)
(1)全世界及び主要経済圏のGDP成長率
(図http://menadabase.maeda1.jp/2-B-2-01.pdf 参照)
IMFは今年(2019年)の世界の経済成長率を3.3%と見ており、来年(2020年)は今年よりも高めの3.6%と予測している。経済圏毎に見ると、まず主要先進7カ国(G7)は今年が1.6%、来年は1.5%であり来年の方が鈍化する。一方、EUは今年1.6%に対し来年は1.7%でありわずかながら上昇する見込みである。今年から来年にかけてG7とEUの成長率の見通しが逆転しているのは、次項に述べるように、G7のうち米国と日本の来年の成長率が今年よりも低いためである。
ASEAN5か国は今年の5.1%から来年は5.2%とやや上向く見通しであり、MENA地域については今年の1.5%が来年は3.2%と大幅に上昇すると見込んでいる。これはトルコ及びイランが今年のマイナス成長から来年はプラス成長に転じると予測していることが主な理由である。最近のMENAの成長率は当年度の実績が大きく下振れし時にはマイナスに転落することが多い。しかしIMFは次年度にプラス成長(或は当年度より高めの成長)を見込む傾向にある。その結果当年度と次年度でGDP成長率が大きく改善されるかのごとき様相を呈することに注意しなければならない。
(2)主要国のGDP成長率
(図http://menadabase.maeda1.jp/2-B-2-02.pdf 参照)
主要国の今年と来年の成長率を見ると、米国、日本及び中国は来年の成長率が低下すると予測されているが、ドイツ、インド、韓国及びMENA各国はいずれも今年より来年に視聴率がアップしており、両者は対照的である。
GDP世界最大の米国の今年の成長率は2.3%であり来年は1.9%と予測されている。中国と日本はそれぞれ6.3%→6.1%及び1.0%→0.5%と見込まれる。中国は最近成長率が鈍化しているが、世界平均の成長率(今年、来年とも3%台)に比べると依然突出して高い成長率を維持している。
中国を上回る成長が見込まれるのがインドであり、同国の今年の成長率は7.3%、来年はさらに上回る7.5%の成長率が見込まれている。ドイツの今年と来年の成長率は0.8%→1.4%であり、ロシアのそれは1.6%→1.7%である。
MENAの主要国の今年と来年の成長率は、サウジアラビアが1.8%(今年)、2.1%(来年)であり、エジプトは5.5%、5.9%と安定した高い成長率が見込まれている。トルコとイランの今年の成長率はマイナス(各▲2.5%、▲6.0%)であり、特にイランは米国による経済制裁・原油輸出制限の影響を受けてかなり深刻な状況である。両国の来年の成長率はプラス成長に転じると予測されているが、両国ともに経済が急速に好転する見通しは薄く、イランの場合来年に成長率がプラスに転じるかは予断を許さない。
(続く)
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