石油と中東

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五大国際石油企業2019年1-3月期決算速報(4)

2019-05-13 | 海外・国内石油企業の業績

 

(注)本レポートは「マイ・ライブラリー」で一括してお読みいただけます。

 

http://mylibrary.maeda1.jp/0468OilMajor2019-1stQtr.pdf

 

 

 

 

2.2018年第1四半期以降の四半期別業績の推移

五社の売上高、利益(全体、上流部門および下流部門)、設備投資、原油・天然ガス生産量に関する2018年1-3月期以降今期までの四半期ごとの業績推移は以下の通りである。

 

(1) 売上高の推移

(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-61.pdf 参照)

 2018年第1四半期から2019年第1四半期に至る四半期ベースの売上高の推移を見ると、昨年半ば以降原油価格が下落に転じたため、各社とも売上の減少傾向が見られる。5社の中ではShellが892億ドル(’18 1st Qtr)→968億ドル(2nd Qtr)→1,002億ドル(3rd Qtr)→1,022億ドル(4th Qtr)と4期連続で売り上げが上昇し、昨年第3四半期には売上高が1千億ドルを超えたが、今年第1四半期は857億ドルに急減している。しかし過去1年間を通じてShellは売上高トップを続けており、2位のBPとは20%以上の差がある。Shellに次ぐのがBPとExxonMobilであり、BPの売上高は682億ドル(’18 1st Qtr)→754億ドル(2nd Qtr)→795億ドル(3rd Qtr)→757億ドル(4th Qtr)→663億ドル(’19 1st Qtr)である。またExxonMobilの売上高は682億ドル(’18 1st Qtr)→735億ドル(2nd Qtr)→766億ドル(3rd Qtr)→719億ドル(4th Qtr)→636億ドル(’19 1st Qtr)であり、両社の売上高は拮抗している。

 

この間のBrent原油の四半期平均価格(1バレル当たり)の推移をShellの決算資料で見ると66.82ドル(’18 1st Qtr)→74.39ドル(2nd Qtr)→75.16ドル(3rd Qtr)→68.81ドル(4th Qtr)→63.13ドル(’19 1st Qtr)であり、昨年第3四半期以降、下落に転じている。

 

(2)利益の推移

(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-62.pdf 参照)

 過去1年間の四半期ごとの利益水準は各社によって異なるものの、いずれも欠損は出していない。

 

5社の中ではShellは59億ドル(’18 1st Qtr)→60億ドル(2nd Qtr)→58億ドル(3rd Qtr)→56億ドル(4th Qtr)→60億ドル(’19 1st Qtr)と毎期60億ドル前後の利益を計上、5社の中では抜群の安定した業績を上げている。ExxonMobil昨年第1,2四半期に40億ドル台の利益を計上した後、第3,4四半期はShelを上回るり60億ドル強の利益を出したが、今期の利益は一転して24億ドルに急落、5社の中では最も少ない利益にとどまっている。Chevron、Total、BPの3社は、昨年第1四半期から第3四半期まで30~40億ドルの安定した利益水準であったが、第4四半期はBPとTotalの利益が一桁台に急落している。今期(2019年第1四半期)は両社の利益が回復し、3社は再び30億ドル前後の利益で並んでいる。

 

(3)売上高利益率の推移

(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-63.pdf 参照)

 1年前の昨年第一四半期の五社の利益率はChevronが9.6%と最も高く、次いでExxonMobil 6.8%、Shell 6.6%、Total 5.3%と続き、BPは最も低い3.6%にとどまっている。Chevronの利益率は今年1-3月期までの5期を通じて5社の中で最も高い。Chevronに続いて安定した利益率を示しているのはShellであり、同社の場合その推移は、6.6%(’18 1st Qtr)→6.2%(2nd Qtr)→5.8%(3rd Qtr)→5.5%(4th Qtr)→7.0%(’19 1st Qtr)であり、今年第1四半期の利益率はChevronと遜色がない水準である。

 

 5社の中で利益水準が最も低いのはBPであり各四半期の利益率は3.6%(’18 1st Qtr)→3.7%(2nd Qtr)→4.2%(3rd Qtr)→1.0%(4th Qtr)→4.4%(’19 1st Qtr)であった。ExxonMobilとTotalの2社は前期と今期で対照的な明暗を示している。Totalは昨年第2,第3四半期には7%台の利益率を示したが、第4四半期は2.2%に急落、今期は6.1%に回復している。これに対してExxonMobilは第3,第4四半期に8%台の利益率を記録したが、今期は3.7%と5社の中で最も低い利益率に終わっている。

 

(続く)

 

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        前田 高行         〒183-0027東京都府中市本町2-31-13-601

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