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第5章:二つのこよみ(西暦とヒジュラ暦)(30)
144二つの予言:「歴史の終わり」と「文明の衝突」(4/5)
フクシマの「歴史の終わり」は、ベルリンの壁が崩壊し(1987年)、ソ連が解体して(1991年)世界が米国一強時代になった時代、即ち社会主義・共産主義が駆逐され、自由主義・資本主義がデファクト・スタンダード(事実上の世界標準)になった時代の申し子として生まれた。一方、ハンチントンの「文明の衝突」はイラン革命(1979年)、ソ連のアフガニスタン侵攻と撤退(1990年~1989年)、さらには湾岸戦争(1991年)と続く中東の激変の歴史に強く影響を受けたことは間違いないであろう。
劇的に変化する歴史のパラダイムシフトの中でこれら2冊の思想書が世に出たが、それらと並行して実践的なイデオロギーとして米国で頭角を現わしたのが「新保守主義(Neo Conservatism)」、いわゆる「ネオコン」である。ネオコンそのものの歴史は1930年代までに遡るが、第二次大戦後の米ソ冷戦時代にソ連との緊張緩和(デタント)に反対する勢力の理論的支柱として育っていった。そしてそのネオコンを支えたのは在米ユダヤ人たちイスラエル・ロビーである。
1964年の共和党大統領候補バリー・ゴールドウォーターが行った演説は保守派の熱狂的な支持を集め共和党の主流となった。
「自由を守るための急進主義は、いかなる意味においても悪徳ではない。そして、正義を追求しようとする際の穏健主義は、いかなる意味においても美徳ではない」
(続く)
荒葉 一也
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