(英語版)
(アラビア語版)
(目次)
第6章:現代イスラームテロの系譜(21)
166 敵と味方を峻別する一神教(5/6)
ところがイラク戦争は全く別の次元で始まり、別の次元で終わった。米国がイラク戦争の開戦理由とした大量破壊兵器は見つからず、またフセイン政権とアルカイダとの関係も証明できなかった。湾岸戦争ではクウェイト解放という大義名分があったが、イラク戦争が何だったのか米国は答えられない。
それでも米国は戦争により圧制者サダム・フセインの政権が倒れ、イラクに民主政権誕生の素地が生まれたと主張した。しかしフセイン政権崩壊後のイラクはまるでパンドラの箱を開けたかのごとき様相を示した。3年後の2006年、サダム・フセインは公開裁判を経て処刑されたが、イラクはスンニ派とシーア派が攻守を変えた政争に明け暮れている。そこに付け込んだのが「イラクとシリア(或いはシャーム)のイスラム国(略称ISIS)」であり、後にアブ・バクル・アル・バグダーディが自らカリフを名乗る「IS(イスラム国)」となって猛威を振るっている。
(続く)
荒葉 一也
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