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http://mylibrary.maeda1.jp/0566IocAramcoEneosIdemitsu2022-2ndQtr.pdf
*2022年4-6月期利益、売上高、同利益率一覧表:
http://menadabase.maeda1.jp/1-D-4-26.pdf 参照
(圧倒的なアラムコの収益力、ExxonMobil、Shellの3倍、ENEOSの28倍!)
- 純利益[1]
(1)当期利益 (図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-5-21.pdf 参照)
今期は全社が利益を計上したが、アラムコは突出しており、また国際石油企業も日本企業2社の3倍乃至10倍以上である。アラムコの利益は484億ドルに達し、ENEOS或いは出光の売上高(次項参照)すら上回る規模である。因みに同社の今期四半期利益は全世界の上場企業トップと報道されている。
対する国際石油企業5社の中で利益が最も多いのはShell 180億ドル、ExxonMobil179億ドルで、これに続くのはChevron116億ドル、bp93億ドル、最も少ないのはTotalEnergiesの57億ドルである。一方、日系企業2社の利益はENEOSが17億ドル(邦貨2,214億円、換算率130円/ドル)、出光が14億ドル(邦貨1,793億円、換算率129.6円/ドル)である。
アラムコに比べると、Shell、ExxonMobilはその37%、TotalEnergiesは12%であり、ENEOS及び出光はアラムコの利益の4%弱にとどまっている。これをENEOSから見ると、アラムコは同社の28倍、ExxonMobilは10倍強であり、IOCの中で最も利益の少なかったTotalEnergiesでも日系2社の4倍の利益を計上している。彼我の利益格差は極めて大きい。
(増益一途でますます独走するアラムコ、低位ながら安定している日系2社!)
(2)2020年7-9月期以降今期までの推移
(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-5-31.pdf 参照)
ここではコロナ禍発生以前の2020年7-9月期から今期(2022年4-6月期)までの過去2年間、8四半期の利益の推移を追ってみる。
アラムコは2020年7-9月期に118億ドルの利益を計上しIOC、日系2社を大きく引き離していたが、その後も増益一途で今期(2020年4-6月期)は史上最高の484億ドルの利益を計上している。2年間で四半期利益は4倍強に膨れており、IOC、日系2社との格差は拡大している。
これに対し国際石油企業5社は、2020年下半期(7-9月期及び10-12月期)は押しなべて業績が振るわず、ExxonMobilは2期連続でマイナス、特に10-12月期には201億ドルの巨額の赤字を余儀なくされた。またChevronも2期連続の赤字、Shell及びbpはいずれかの四半期がマイナスであった。TotalEnergiesは損失こそ出さなかったものの利益額は極めて少なかった。
2021年はbpを除き各社はほぼ毎期50億ドル前後の利益を計上し、業績は回復傾向にある。2022年1-3月期はbpが200億ドルを超える大幅な赤字を計上、ExxonMobil、Shell、TotalEnergiesも前期比で利益が減少したが4-6月期には各社とも過去8四半期で最も高い水準の利益を計上している。
日系2社の利益の推移を見ると、両社とも赤字こそ免れたものの、利益水準は数億~十数億ドルと言う極めて低い水準にとどまっている。ENEOSが昨年後半から、また出光は今期に初めて10億ドルを超える利益を計上したが、アラムコは言うに及ばず、IOC各社とくらべても見劣りのする利益額である。
(続く)
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[1] 「純利益」は各社資料から下記項目を抽出した。
ExxonMobil:Net income attributable to ExxonMobil (U.S. GAAP)
Shell:Incom/loss attributabel to shareholders
bp:Profit (loss) for the period; Attributable to BP shareholders
TotalEnergies:Netincome (TotalEnergies share)
Chevron:Net income
SaudiAramco:Net income by consolidated financial statement q3 interim report
ENEOS:親会社の所有者に帰属する四半期純利益、為替換算レートは決算説明資料による。
出光:親会社株主に帰属する四半期純利益、為替換算レートは決算説明資料による。
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