4. 経済・金融連携
(ドル一極支配の打破を狙うが理念倒れ!)
4-5. ACU(アジア決済同盟)
アジア決済同盟(Asian Clearing Unit, ACU)は、1974年にイラン、インド、パキスタン、バングラデシュ、ネパール及びスリランカの南西アジア6カ国で結成された多角的貿易決済機構である。その後、ブータン、モルディブ及びミャンマーが参加し、イランがリーダーである。
ACUの理念は(1) 域内貿易の拡大,(2) 加盟国間の外貨の節約,(3) 域内通貨の使用促進と加盟国間の金融協力の促進にあり、世界金融がドル一極支配となっている現状を打破しようとする姿勢が強い。加盟各国の中央銀行は,イラン中央銀行に設置されるクリアリング・ハウス(Clearing House)に自己勘定を開設し,輸出入の決済を自国通貨で記帳し,定期的 (4週間の決済期間) に清算する仕組みである。
イランは米国の経済制裁でドルによる国際決済方式(SWIFT)から排除され、非ドル現地通貨の決済手段を導入することに懸命である。今年5月にイランのテヘランで開催されたACU中央銀行総裁会議でイラン中央銀行ファルジーン総裁は、会議の中心議題は米ドルの排除である、と明言している。但し加盟国の反応は乏しくACUそのものは機能不全に陥っていると言えそうである。
(続く)
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