(注)本シリーズは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。
http://mylibrary.maeda1.jp/0570IocAramco2022-3rdQtr.doc.pdf
III. 過去2年間の四半期業績推移(続き)
4.キャッシュフローの推移
(売り上げ回復とともに伸びるアラムコ、ExxonMobilの営業C/F!)
(1)営業キャッシュフロー(図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-72.pdf 参照)
2020年10-12月期から今年7-9月期までの四半期ごとの営業キャッシュフロー(以下C/F)の推移は概略以下の通りであった(但しchevronは2021年1-3月期以降)。
営業C/Fはほぼ売上規模に比例するため売上高が大きいアラムコが毎期IOC各社を大きく引き離している。即ち2020年10-12月期のアラムコ営業C/Fは225億ドルであり、IOCトップのShell 63億ドルの4倍近い規模である。その他のIOCではTotalEnergies57億ドル、ExxonMobil40億ドル、bp23億ドルであった(Chevronは不詳)。アラムコとbpの差は10倍近い。
その後、ExxonMobil、TotalEnergies及びchevronは売上高の増加と歩調を合わせる形で営業C/Fが増大し、今期(2022年7-9月期)のアラムコとこれら3社の営業C/Fは2021年1-3月期に比べ、それぞれ2.0倍、2.6倍、3.2倍及び3.6倍になっている。これに対してShell及びbpは1.5倍及び1.4倍の増加にとどまっている。
(前期、今期と急拡大したアラムコ、投資に慎重なIOCs!)
(2)投資キャッシュフロー(図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-73.pdf 参照)
(注)ExxonMobilは8期連続した投資C/F不詳、chevronは2020年10-12月期不詳。)
2020年10-12月期の投資C/Fはアラムコ▲69億ドル、Shell▲54億ドル、TotalEnergies▲45億ドル、bp6億ドルであった(ExxonMobil、chevronは不詳)。その後アラムコは漸増傾向をたどり、IOCは各社によって投資方針が異なり、例えばShellは2021年10-12月期に投資C/Fがプラス26億ドル(即ち期中の投資回収額が新規投資額を上回る)に転じるなど、新規投資に慎重な姿勢が見られる。
前期及び今期はIOCの投資C/Fに大きな変化は見られず、コロナ禍からの景気回復の遅れ、さらにはエネルギーの脱炭素化の動きをにらみ新規投資に逡巡している様子がうかがえる。これに対してアラムコの投資C/F前期▲251億ドル、今期▲287億ドルと高いレベルを維持し、IOC各社とは対照的である。
(続く)
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