2. 2022年1月以降の格付け推移
ここでは2022年1月以降現在までのソブリン格付けの推移を(1)G7、(2)BRICS 5カ国、(3)日中韓台湾4カ国、(4)中東主要国(トルコ、エジプト、イスラエル、レバノン及びGCC4か国)それぞれについて検証する。(いずれも外貨建て長期格付け)
(トリプルAを保持し続ける独とカナダ、かなり低い日本の評価!)
(1) G7各国の格付け推移
2022年 2023年 2024年 2025年
1月 7月 1月 7月 1月 7月 1月
ドイツ AAA→ AAA→ AAA→ AAA→ AAA→ AAA→ AAA
カナダ AAA→ AAA→ AAA→ AAA→ AAA→ AAA→ AAA
米国 AA+→ AA+→ AA+→ AA+→ AA+→ AA+→ AA+
英国 AA→ AA→ AA→ AA→ AA→ AA→ AA
フランス AA→ AA→ AA→ AA→ AA→ AA-→ AA-
日本 A+→ A+→ A+→ A+→ A+→ A+→ A+
イタリア BBB→ BBB→ BBB→ BBB→ BBB→ BBB→ BBB
G7のうちフランスを除く6カ国の格付けは過去3年間変わっていないが、フランスのみは昨年上半期に「AA」から「AA-」に格下げされている。ドイツとカナダは最上位格付けのトリプルAを維持し続けている。米国は1ランク低いAA+に格付けされ、英国は米国より相対的に1ランク低い「AA」に格付けされている。フランスは昨年上期まで英国と同じランクであったが、期中に「AA-」に格下げされた。
因みにS&Pの格付け定義では、「AAA」(トリプルA)は「債務者がその金融債務を履行する能力は極めて高い。」であり、「AA」は「債務者がその金融債務を履行する能力は非常に高く、最上位の格付けAAA」との差は小さい。」とされている。
日本の格付けは上位5カ国より低い「A+」とされ、G7中で最も低いイタリアの格付けは投資適格の中でも最低ランクの「BBB」である。両国は共に過去3年間格付けが変わっていない。
なお「A」及び「BBB」の格付け定義は、「A」が「債務者がその金融債務を履行する能力は高いが、上位2つの格付けに比べ、事業環境や経済状況の悪化の影響をやや受けやすい」であり、「BBB」は「債務者がその金融債務を履行する能力は適切であるが、事業環境や経済状況の悪化によって債務履行能力が低下する可能性がより高い」と定義されている。
(続く)
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