石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

ニュースピックアップ:世界のメディアから(1月21日)

2014-01-21 | 今日のニュース

・業績悪化のシェル、クウェイトKFPECに豪州Wheatstoneの天然ガス開発鉱区とLNG設備の権益11.35億ドルを売却。 *

・アブダビで今日から再生エネルギー国際会議WFES開催。172カ国、3万人が参加、古川NEDO理事長も講演予定。

 

*Wheatstone LNGプロジェクトには九州電力、東京田慮あく、JOGMEC、三菱商事、日本郵船も出資。

 

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(連載)「挽歌・アラビア石油(私の追想録)」(30)

2014-01-19 | その他

壮大な鉱山鉄道計画
 石油利権契約を締結或いは更新する場合、石油企業が利権供与国に「サイン・ボーナス」と呼ぶ一時金を支払う例が多い。石油を採掘させるか否かはその国の権限であり、政府と石油企業の力の差は歴然としている。サイン・ボーナスは相手国政府に対する上納金と考えれば解りやすいであろう。アラビア石油も1957年にサウジアラビア政府と利権契約を締結した時にはかなりのサイン・ボーナスを支払っている。2000年の契約更改に対して会社はサイン・ボーナスを支払う腹積もりはあった。

 しかしサウジアラビア政府はサイン・ボーナスに全く興味を示さなかった。豊かな石油収入がある同国にとっては契約一時金など端金にすぎなかったからである。それよりもサウジアラビア政府が目論んだのはこの際、一民間企業を越えて日本政府と直接交渉を行うことであった。有体に言えば「アラビア石油」を人質にして自国が抱えるカネだけでは解決できない問題に日本政府を引きずりこむことにあったのである。カネだけで解決できない問題とは爆発的に増える若者のための雇用を創出することであり、その最短の道が日本企業の誘致なのである。

 企業誘致の先兵としてジェトロ事務所が開設され筆者が二代目所長として赴任した訳であるが、大型事業がなかなか実現しなかったことは既に述べたとおりである。しびれを切らした取締役のアブドルアジズ王子が逆提案として持ち出したのがアラビア半島を南北に縦断する鉱山鉄道建設計画であった。

 日本の6倍の広さの国土を持つサウジアラビアは地表の大半が不毛の砂漠であるが、地下には石油以外にも数多くの鉱物資源が眠っている。特にアラビア半島北部には化成肥料の原料となるリン鉱石、アルミ原料のボーキサイトなどが大量に埋蔵していることが解っている。これら鉱物資源を開発し、ペルシャ湾沿岸に工場を建設して肥料或いはアルミを生産し輸出する。そのための鉱山と臨海工場地帯を結ぶ貨物鉄道を建設しようと言うのが鉱山鉄道計画である。そこには将来旅客列車も走らせ、北部の過疎地帯を開発しようとする思惑もあった。

 この北部開発構想は当時病気がちであったファハド国王に代わり実権を掌握しつつあったアブダッラー皇太子(現国王)の強い意向でもあった。皇太子の母親はこの地域に強い勢力を持つシャンマル族の出身であり、またシャンマル族は皇太子が頼みの綱とする国家警備隊の中核を成していた。サウジアラビアでは当時も今も部族社会の色彩が濃い。国王以下のスデイリ・セブンの母親がスデイリ族であるように、王族はいずれも母親の出身部族を後ろ盾にしていた。

 アブドルアジズ王子は皇太子の意向を汲んで北部鉱山鉄道プロジェクトの実現をアラビア石油、と言うより日本政府に迫ったのである。日本政府は形ばかりの調査団を派遣し、上空から路線ルートを実地検証した。アラビア半島の北西部には同国第二のネフド砂漠がある。鉄道ルートは砂漠東端の荒れ地を縫うような形でペルシャ湾へと延びる。鉄道建設そのものは技術的にさほど難しくないと判断された。しかし問題は建設費用とその後の運営費用である。鉄道用地は国有地であり無償貸与されることになっていたが、それでも建設コスト20億ドル、年間運行費用1億ドルと試算された。

 サウジアラビア政府はプロジェクトを民間資金(PFI, Private Finance Initiative)によるBOT(Building, Operating and Transfer)方式で建設することを提案した。つまり日本側で資金を調達して建設し、完成後は一定期間運行を請け負う。契約期間内の運賃収入で投下資本を回収し、契約満了時にはすべての資産をサウジアラビア政府に譲渡することとなる。問題は運賃収入である。ペルシャ湾沿岸に建設される予定の工場の生産能力では、原料は1日1便の貨物輸送量にしかならない。わずか1日1便の運行では採算に乗らないことは日の目を見るより明らかである。このようなプロジェクトに手を上げる民間企業がいるはずはない。つまりは日本政府が赤字を補てんするしかないプロジェクトなのである。

 双方で交渉が行われていたこの時期に日本からは歴代の総理大臣或いは通産大臣がリヤドを訪問している。1995年に村山総理、1997年に橋本総理(いずれも当時)が、また通産大臣としては堀内大臣(1997年)、与謝野大臣(1999年)が次々と訪れている。通産大臣が来訪してもジェトロ所長程度の下っ端が大臣と直接話す機会はない。まして総理大臣だと顔を見ることすらなくひたすら使い走りである。橋本総理が要人との面談を終えて政府専用機でリヤドを飛び立った時、事務所の窓から機影を見送ったことを思い出す。

(続く)

(追記)本シリーズ(1)~(20)は下記で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0278BankaAoc.pdf 
本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

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ニュースピックアップ:世界のメディアから(1月18日)

2014-01-18 | 今日のニュース

・Shellの昨年度利益、市場予測の40億ドルを大幅に落ち込み29億ドルの見込み

・Gazpromの天然ガスパイプライン計画をめぐりロシアとEUが深刻な対立。28日のサミットに暗雲

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今週の各社プレスリリースから(1/12-1/18)

2014-01-18 | 今週のエネルギー関連新聞発表

1/13 Total    Total Becomes the First Major to Enter into Shale Gas Licences in the UK http://total.com/en/media/news/press-releases/20140113-Total-Becomes-the-First-Major-to-Enter-into-Shale-Gas-Licences-in-the-UK-1
1/14 石油連盟    シンポジウム「石油の力。」の開催について(お知らせ) http://www.paj.gr.jp/paj_info/topics/2014/01/14-000671.html
1/16 国際石油開発帝石    シンガポール共和国における現地法人の設立および現地事務所の開設について(お知らせ) http://www.inpex.co.jp/news/pdf/2014/20140116-b.pdf

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エネルギー効率の悪いGCC諸国:エネルギー構造効率指数(2014年版)(下)

2014-01-17 | その他

(MENAなんでもランキング・シリーズ その5)

(世界平均を大きく下回るMENA諸国)
2.MENA各国の指数と世界順位
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/5-T01.pdf参照)
 エネルギー構造効率指数(EAPI)は世界124カ国が評価対象となっておりそのうちMENAはパレスチナ自治政府を除く19カ国がランク付けされている。MENAで最もランクが高いのはイスラエルの世界38位であり、同国のEAPIは0.58である。次いでトルコ(世界47位、EAPI 0.57)、チュニジア(同55位、0.53)と続いている。世界124カ国の上位グループにいるのはこの3カ国だけであり、その他16カ国は下位グループにとどまっている。

 MENA4位のアルジェリアは世界66位であり、エジプト及びモロッコが共に世界76位である。80位台にリビア(83位)、カタール、サウジアラビア及びUAEの湾岸3カ国が共に88位、そしてイラン、イラク及びクウェイトが98位である。その他の5カ国(シリア、オマーン、ヨルダン、バハレーン及びイエメン)は100位以下であり、中でもイエメンは世界最下位の124位である。

 因みに世界1位はノルウェーで同国のEAPIは0.75である。また米国と日本はそれぞれ世界37位、38位で並んでおり、日本はMENAトップのイスラエルと同スコアである。中国は世界順位83位、EAPI 0.45でリビアと同じランクである。

(環境面の評価が低いGCC産油国)
3.分野別に見る各国の指数
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/5-T01.pdf参照)
 経済性、環境負荷及び調達・供給体制の3分野についてMENA各国の指数を見ると、まず経済性ではイスラエルのEAPIが0.61と最も高い。これに次ぐのがトルコ(0.53)、イラク(0.37)、モロッコ、チュニジア(共に0.36)などである。MENAの平均指数は0.34であり、世界トップのノルウェーの指数0.69或いは米国の0.57、日本の0.58と比べかなり低い。

 環境負荷の分野で見ると、トルコ、チュニジア(共に指数0.45)がMENAで最も高く、日本(0.43)とほぼ同程度である。一方GCC産油国はUAE(指数0.21)、サウジアラビア(0.19)、カタール(0.17)、クウェイト(0.12)と極めて低く、これらの国はエネルギーを浪費し環境に対する配慮が不足していることをうかがわせる。

 ところがエネルギーの調達・供給分野はGCC産油国のEAPIが高い傾向にあり、サウジアラビア(0.81)、カタール及びクウェイト(共に0.80)、UAE(0.77)である。サウジアラビアは米国(0.84)とほぼ同等、またUAEは日本(0.74)を上回っている。

以上

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

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エネルギー効率の悪いGCC諸国:エネルギー構造効率指数(2014年版)(上)

2014-01-16 | その他

(MENAなんでもランキング・シリーズ その5)


 中東北アフリカ諸国は英語のMiddle East & North Africaの頭文字をとってMENAと呼ばれています。MENA各国をいろいろなデータで比較しようと言うのがこの「MENAなんでもランキング・シリーズ」です。「MENA」は日頃なじみの薄い言葉ですが、国ごとの比較を通してその実態を理解していただければ幸いです。なおMENAの対象国は文献によって多少異なりますが、本シリーズでは下記の19の国と1機関(パレスチナ)を取り扱います。(アルファベット順)

 アルジェリア、バハレーン、エジプト、イラン、イラク、イスラエル、ヨルダン、クウェイト、レバノン、リビア、モロッコ、オマーン、パレスチナ自治政府、カタール、サウジアラビア、シリア、チュニジア、 トルコ、UAE(アラブ首長国連邦)、イエメン、

 これら19カ国・1機関をおおまかに分類すると、宗教的にはイスラエル(ユダヤ教)を除き、他は全てイスラム教国家でありOIC(イスラム諸国会議機構)加盟国です。なおその中でイラン、イラクはシーア派が政権政党ですが、その他の多くはスンニ派の政権国家です。また民族的にはイスラエル(ユダヤ人)、イラン(ペルシャ人)、トルコ(トルコ人)以外の国々はアラブ人の国家であり、それらの国々はアラブ連盟(Arab League)に加盟しています。つまりMENAはイスラム教スンニ派でアラブ民族の国家が多数を占める国家群と言えます。

 第5回のランキングは毎冬のスイス・ダボス会議の主催者として知られる「世界経済フォーラム(World Economic Forum, WEF)が最近発表したエネルギー構造効率指数(2014年版)についてMENA諸国をとりあげて比較しました。

* ホームページ:
http://www.weforum.org/reports/global-energy-architecture-performance-index-report-2014

1.エネルギー構造効率指数について
 エネルギー構造効率指数(Energy Architecture Performance Index, EAPI)は、 各国のエネルギー事情について調達・供給体制や経済性、環境負荷を総合的に評価したものである。指数は下記の3分野、18項目から算出されている。

1. Economic growth and development
a. Efficiency
(1) Energy intensity (GDP per unit of energy use (ppp US$ per kg of oil equivalent))
b. Lack of distortion / affordability
(2) Degree of artificial distortion to gasoline pricing (index)
(3) Degree of artificial distortion to diesel pricing (index)
(4) Electricity prices for industry (US$ per kilowatt-hour)
c. Supportive / detracts from growth
(5) Cost of energy imports (% GDP)
(6) Value of energy exports (% GDP)

2. Environmental sustainability
d. Share of low-carbon fuel sources in the energy mix
(7) Alternative and nuclear energy (% of total energy use, incl. biomass)
e. Emission impact
(8) CO2 emissions from electricity production, total/kwh
(9) Methane emissions in energy sector (thousand metric tones of CO2 equivalent)/total population
(10) Nitrous oxide emissions in energy sector (thousand metric tones of CO2 equivalent) /total population
(11) PM10, country level (micrograms per cubic metre)
(12) Average fuel economy for passenger cars (1-100 km)

3. Energy access and security
f. Level and quality of access
(13) Electrification rate (% of population)
(14) Quality of electricity supply (1-7)
(15) Percentage of population using solid fuels for cooking (%)
g. Self-sufficiency / multi-lateral markets
(16) Import dependence (energy imports, net % energy use)
(17) Diversification of import counterparts (Herfindahl index)
h. Diversity of Supply
(18) Diversity of total primary energy supply (Herfindahl index)

(続く)

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 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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ニュースピックアップ:世界のメディアから(1月15日)

2014-01-15 | 今日のニュース

・今年の中国向けサウジ原油輸出、昨年並みの117万B/Dの見込み。シェア20%は低下

・アブダビ陸上油田利権協定、1/11に終結。新規参入狙う日中韓のアジア勢

 

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(連載)「挽歌・アラビア石油(私の追想録)」(29)

2014-01-14 | その他

銀のスプーンをくわえた王子
 利権契約により会社にはサウジアラビア政府から常時3人の非常勤取締役が送り込まれていた。石油省のテクノクラートであり、日本の商法で定められた年4回の取締役会に出席し、会社の状況ついて日本人取締役から報告を受け意見を述べた。しかしそれは概して形式的なものでありサウジ人取締役達が異議を挟むことは少なかった。

 しかし1991年にサウジアラビア政府がアブドルアジズ・ビン・サルマンを取締役に送り込んできた時から様相が一変した。アブドルアジズは石油省の大臣補佐であったが、今までとは異なる大きな違いが一つあった。彼はサウド家の王子なのである。しかもすこぶるつきの毛並みの良い王子である。彼の父親サルマンは首都リヤドの州知事でありファハド国王(当時)の実弟だった。彼らはサウジアラビア初代国王の息子である。つまりアブドルアジズ王子は初代国王の孫であり王位継承権を持っていた。

 ここで少し説明が必要であるが、初代国王はその生涯に多数の王妃を娶り(イスラムでは妻を4人まで持てることは良く知られているが、5人目以降は既にいる4人の妻の誰かを離婚してー「離婚する」と三度唱えるだけで離婚が成立するのであるー新しい妃を迎え入れた)、その結果36人もの息子を残したのである。その中にスデイリと言う名の王妃が生んだ7人の王子がおり、世に「スデイリ・セブン」と呼ばれた。彼らは優秀で兄弟の結束も固かったため他の異母兄弟たちを尻目に若い時から国家の要職を独占していった。長男のファハドは第5代国王に即位し、次男のスルタンは国防大臣、5男のナイフは内務大臣、そして6男のサルマンはリヤド州知事になった。

 サルマンが州知事になったのは26歳の若さであった。リヤド州知事は日本で言えば東京都知事に相当する重要なポストであり並みの閣僚よりよほど地位が高い。サルマンの兄たちも30歳前後で大臣に就任している。スルタン、ナイフはその後アブダッラー現国王のもとで皇太子となったが、いずれも死去したため現在はサルマンが皇太子である。そのような訳でアブドルアジズ王子も石油省に入った後、一般のテクノクラート達を尻目に20代で石油大臣補佐にスピード出世をとげ、アラビア石油取締役になった時、彼はまだ31歳であった。アブドルアジズ王子は銀のスプーンをくわえて生まれ、王位継承権を持った正真正銘のエリートなのである。アラビア石油社長は当時61歳であり、他の取締役も50から60歳代であったから、取締役の中でアブドルアジズただ一人が異常に若かった。

 但し銀のスプーンをくわえた王子は彼一人ではない。何しろ父親と同じ世代、つまり彼の伯叔父だけでも36人であり、その息子たち即ちアブドルアジズと同世代の王子である従兄弟の人数は200人以上に達するのである。そうなると王位継承権を持っているとは言え国王になることはまず高根の花であり、どれだけ高い官位(できれば大臣ポスト)を獲得するかが200人を超える同世代の王子たちの目標である。アブドルアジズよりも早く生まれた従兄弟たちはそれぞれの父親のコネで既に彼よりも高い官位を得た者も少なくない。登竜門は狭く競争は激しいのである。

 彼がアラビア石油取締役に任命された時、彼の前に西暦2000年の利権契約更新と言う格好の課題がぶら下がっていた。アラビア石油にとってそれは困難な課題であったが、王子の立場から見れば大きなチャンスだった。サウジアラビア政府の代表としてこの問題を有利に解決すれば大臣ポストも夢物語ではないと彼が張り切ったのも当然であった。

 彼はアラビア石油の取締役会で積極的に発言し、日本人の取締役たちにとっては極めて扱いにくい存在となった。既に1970年代のOPECによる石油産業国有化(サウジアラビアの場合は外国石油企業への事業参加)以降、サウジアラビア政府とアラビア石油の立場は完全に逆転しており、これに対して生産現場がカフジしかないアラビア石油は弱い立場に立たされていた。2000年に終結する利権契約に対して会社側はサウジアラビア政府に対抗する有効な手段がなかった。取締役会を傍聴した社員から聞くところではアブドルアジズ王子の発言に対して真っ向から反論する日本人取締役は殆どいなかったようである。日本人取締役達は負け犬根性の「ルサンチマン状態」(ニーチェの用語で弱者が強者に対する憎悪や復讐心を鬱積させていることー広辞苑より)に陥っていたと想像される。

 アブドルアジズ王子はますます思い上がり、会社を相手にしてもらちが明かないと考えるようになった。彼は日本政府を直接交渉の場に引きずり出す作戦に出た。そしてとんでもない要求を持ち出したのである。

(続く)

(追記)本シリーズ(1)~(20)は下記で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0278BankaAoc.pdf 
本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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ニュースピックアップ:世界のメディアから(1月14日)

2014-01-14 | 今日のニュース

・クウェイト石油公社総裁、原油価格で弱気の発言。13日のBrent$107.07, WTI$92.12

 

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ニュースピックアップ:世界のメディアから(1月12日)

2014-01-12 | 今日のニュース

・イラン、原油50万B/D、月額15億ドル相当のバーター取引をロシアと協議中

 

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