石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

ニュースピックアップ:世界のメディアから(2月19日)

2016-02-19 | 今日のニュース

・サウジ・ロシアの増産凍結合意で石油価格上昇。Brent$35.26, WTI $31.54

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油価下落が直撃、売上・利益が大幅減:五大国際石油企業2015年度業績速報シリーズ(3)

2016-02-19 | 海外・国内石油企業の業績

I. 各社の業績概要 (続き)
(表:http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/1-D-4-20.pdf参照)
3.BPの2015年第4四半期(10-12月)及び通年(1-12月)の業績
*同社ホームページ:
http://www.bp.com/en/global/corporate/press/press-releases/fourth-quarter-2015-results.html

(1)売上高
 BPの2015年10-12月の売上高は492億ドルであり、また通年売上高は2,229億ドルであった。前年同期比では10-12月期は-34%、通年ベースでも-37%の減収である。

(2)利益
 10-12月期は前年同期に引き続き赤字となりその損失額は33憶ドルであった。通年ベースでは前年の黒字から一転して65億ドルの大幅な赤字決算となった。部門別では上流部門は通年で9億ドルのマイナスとなり、下流部門は前年比2倍弱の71億ドルの利益を計上した。(注、最終損益額には石油化学部門その他の損益が合算されているため、部門別の上流・下流部門の損益合計額とは一致しない。)

(3)売上高利益率
 通年ベースの売上高利益率はマイナス2.9%である。なお前年はプラス1.1%であった。

(4)設備・探鉱投資
 2015年の年間の設備・探鉱投資額は195億ドルであり、これは2014年比で18%減であった。

(5)石油・ガス生産量
 昨年のBPの石油生産量は日量平均1,232千B/Dであり、前年(2014年)比11%増であった。天然ガスは日量平均5,951mmcfdであり前年とほぼ同量である。
 石油と天然ガスの合計生産量は石油換算で2,258千B/Dとなり、2014年比では5%増である。

(続く)

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
 前田 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
   E-mail; maedat@r6.dion.ne.jp

 

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油価下落が直撃、売上・利益が大幅減:五大国際石油企業2015年度業績速報シリーズ(2)

2016-02-18 | 海外・国内石油企業の業績

I. 各社の業績概要 (続き)
(表:http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/1-D-4-20.pdf参照)

2.Shellの2015年第4四半期(10-12月)及び通年(1-12月)の業績
*同社ホームページ:
http://www.shell.com/media/news-and-media-releases/2016/fourth-quarter-2015-results-announcement.html
(1)売上高
 Shellの2015年10-12月の売上高は602億ドルであり、また通年売上高は2,722億ドルであった。前年同期比ではそれぞれ-36%, -37%の減収である。

(2)利益
 10-12月期及び通年の利益はそれぞれ9.4億ドル及び19億ドルであり、前年同期と比較すると10-12月期は58%の増益であったが、通年では前年比8分の1近い大幅な減益となっている。通年利益のうち上流部門は57億ドルの損失であるのに対して下流部門は前年比64%増の102億ドルの利益を計上しており好対照となっている。(注、最終損益額には石油化学部門その他の損益が合算されているため、部門別の上流・下流部門の損益合計額とは一致しない。)

(3)売上高利益率
 通年ベースの売上高利益率はわずか0.7%にとどまっており、前年の3.4%から大幅に悪化している。
 
(4)設備・探鉱投資
 2015年の年間の設備・探鉱投資額は289億ドルであり、これは2014年比で23%の減少であった。

(5)石油・ガス生産量
 昨年のShellの石油生産量は日量平均1,509千B/Dであり、前年(2014年)とほぼ同量であった。天然ガスは日量平均8,380mmcfdであり、こちらは前年比10%減である。
 石油と天然ガスの合計生産量は石油換算で2,954千B/Dとなり、2014年比では-4%である。

(続く)

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
 前田 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
   E-mail; maedat@r6.dion.ne.jp

 

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見果てぬ平和 - 中東の戦後70年(7)

2016-02-17 | その他

第1章:民族主義と社会主義のうねり

1.大西洋憲章
 戦争の当事者たちはそれぞれに戦争開始直後から戦争が終結した場合の戦後新秩序について構想を練るのが常である。それは一対一の国同士の場合は敵国領土の自国への編入或いは敵国にいかほどの賠償を支払わせるかと言うことであったが、第一次大戦、第二次大戦の両大戦では戦後世界をどうするかと言う地球的規模の新秩序の構想がそれに加わった。

 第二次世界大戦を例にとれば開戦直後もしくは勝敗の決着がつく前の段階で連合国側及び枢軸国側双方に戦後構想があったはずである。しかし結果は戦勝国となった連合国の描いた戦後世界秩序がすべての始まりとなった。当然のことながら日独伊の枢軸国が描く戦後像は闇に葬られた。と言うより戦勝国である連合国側が痕跡をとどめないまでに抹殺したと言うべきであろう。

 それでは連合国側の戦後構想とはどのようなものであったろうか。それは1941年8月、ルーズベルト米国大統領とチャーチル英国首相が宣言した「大西洋憲章」に始まる。英国とフランスがドイツ第三帝国に宣戦を布告し第二次大戦がはじまった1939年から2年後のことである。因みに当時の米国は英仏を側面支援していたものの参戦していたわけではない。米国が日独伊の枢軸国に正式に宣戦布告し、連合国の一員として正面に立ちはだかったのは同年12月7日に日本軍が真珠湾を奇襲攻撃した翌8日である。

 1941年、米英が宣言した「大西洋憲章」は全文8か条で構成されているが、その第一条から第三条には次のように記されている 。

一、兩國ハ領土的其ノ他ノ増大ヲ求メス。 (領土拡大意図の否定)
二、兩國ハ關係國民ノ自由ニ表明セル希望ト一致セサル領土的變更ノ行ハルルコトヲ欲セス。 (領土変更における関係国の人民の意思の尊重)
三、兩國ハ一切ノ國民カ其ノ下ニ生活セントスル政體ヲ選擇スルノ權利ヲ尊重ス。兩國ハ主權及自治ヲ強奪セラレタル者ニ主權及自治カ返還セラルルコトヲ希望ス。 (政府形態を選択する人民の権利)

 第一次世界大戦後のヴェルサイユ体制(パリ講和会議)はそれまでの植民地主義、帝国主義さらに敗戦国に対する制裁や懲罰的賠償と言った旧来の方式が色濃く表れた。オスマントルコ帝国に対しては同国が支配していた現在のシリア、レバノン(いわゆるレバント地方)及びヨルダン、パレスチナ、イラク等の中東地域を前者はフランスが、そして後者は英国が植民地支配する体制となった。これは第一次大戦中の1916年に両国(及びロシア)が締結したサイクス・ピコ協定に基づくものである(同協定を含め有名な「英国の三枚舌外交」とされるフセイン・マクマホン協定、バルフォア宣言についてはプロローグ4,5、6章参照)。またドイツに対しては領土割譲と共に厳しい再軍備規制が課せられた。しかしそのことがかえってナチス・ドイツを生む原因となりわずか20年後に第二次世界大戦が発生したのである。大西洋憲章はこの失敗を教訓としたものであり、政治、外交に対する米国の建国以来の(そして70年後の現在も変わらない)理想主義を高らかに歌い上げたものである。

 こうして戦後の中東でも理想実現に向かって国民国家の独立運動が始まった。その嚆矢が1946年のヨルダン王国及びシリア共和国の成立であった。もちろん両国成立の背景には複雑な事情が絡んでおり、国民国家の独立と単純に割り切ることはできない。しかしあえて単純化するとすればヨルダン王国は英国とアラブの名門部族ハーシム家が結んだフセイン・マクマホン協定の産物であり、シリア共和国はフランスが帝国主義支配の隠れ蓑として作り上げた極めて脆弱な共和国だったのである。

 ヨルダン、シリアに続いてこの後中東では次々と国家が成立する。しかしそこにあるのは民族(血)と宗教(心)と政治思想(智)が溶け合うことなく自己主張を重ねる世界であり、さらに米国とソ連の東西対立の代理戦争の世界であった。

(続く)

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

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ニュースピックアップ:世界のメディアから(2月17日)

2016-02-17 | 今日のニュース

サウジ・ロシアの両国石油相が生産量据え置きで合意。但しイラン、イラク等の追随が条件。 *
・原油価格下落、WTI $29.04, Brent $32.18。サウジ・ロシアの協議結果に失望


*下記資料参照。(BP統計より)
「2014年国別石油生産ベスト20」
http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/1-2-T01.pdf
世界の石油生産とOPECシェア」
http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/1-2-G02.pdf
「主要産油国の生産量推移(1990/2000/2014年)」
http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/1-2-G03.pdf
「(ニュース解説)決められないOPEC 第168回総会をめぐって」
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0365OpecMeetingDec2015.pdf

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油価下落が直撃、売上・利益が大幅減:五大国際石油企業2015年度業績速報シリーズ(1)

2016-02-16 | 海外・国内石油企業の業績

 国際石油企業(International Oil Companies, IOCs)の2015年第4四半期(10-12月)及び年間(1-12月)の決算が発表された。本稿ではExxonMobil、Shell, BP(英), Total(仏)及びChevron(米)の主要5社を取り上げ、各社の売上高、利益、石油・ガス生産量、投資額等を概観し、さらに5社の業績比較を行う。

I. 各社の業績概要
(表:http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/1-D-4-20.pdf参照)

1.ExxonMobilの2015年第4四半期(10-12月)及び通年(1-12月)の業績
*同社ホームページ:
http://news.exxonmobil.com/press-release/exxonmobil-earns-162-billion-2015-28-billion-during-fourth-quarter
(1)売上高
 ExxonMobilの2015年10-12月の売上高は598億ドルであり、また通年売上高は2,689億ドルであった。前年同期比ではそれぞれ-32%, -35%の減収である。

(2)利益
 10-12月期及び通年の利益はそれぞれ28億ドル及び162億ドルであり、前年同期と比較すると10-12月期は-58%、通年では-50%であり、いずれも前年比半減の大幅な減益であった。通年利益のうち上流部門の利益は2014年の275億ドルに対して2015年は4分の1の71億ドルにとどまっている。一方下流部門は2014年の30億ドルに対して2,015年は66億ドルと倍増し上流部門とほぼ肩を並べている。(注、最終損益額には石油化学部門その他の損益が合算されているため、部門別の上流・下流部門の損益合計額とは一致しない。)

 ExxonMobilでは従来上流部門の利益が大きな割合を占めてきたが、ここにきて下流部門が会社の利益を支える状況にある。原油価格の急落が上流部門の利益を圧迫し、逆に安価な原油価格に支えられて下流部門の利益が急増する状況にある。この傾向は以下に触れるとおり他の4社でも同様もしくはそれ以上の厳しい結果になっている。

(3)売上高利益率
 通年ベースの売上高利益率は6.0%であり、前年の7.9%より落ちている。

(4)設備・探鉱投資
 2015年の年間の設備・探鉱投資額は311億ドルであり、これは2014年比で19.4%の減少であった。

(5)石油・ガス生産量
 昨年のExxonMobilの石油生産量は日量平均2,345千バレル(以下B/D)であり、前年(2014年)比で11.1%増であった。天然ガスは日量平均10,515百万立法フィート(以下mmcfd)であり、これは前年比5.7%減である。石油と天然ガスの合計生産量は石油換算で4,097千B/Dとなり、2013年比では3.2%増である。

(続く)

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
   E-mail; maedat@r6.dion.ne.jp

 

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ニュースピックアップ:世界のメディアから(2月15日)

2016-02-15 | 今日のニュース

英BP、オマーン海上鉱区Block61の契約改訂、Khazzanガス田全面開発へ *

*BPプレスリリース:

http://www.bp.com/en/global/corporate/press/press-releases/bp-deepens-commitment-to-oman.html

 

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今週の各社プレスリリースから(2/7-2/13)

2016-02-13 | 今週のエネルギー関連新聞発表

2/9 コスモホールディングス    2015年度 第3四半期 決算短信 http://ceh.cosmo-oil.co.jp/press/p_160209/index.html
2/10 昭和シェル石油    平成27年12月期 通期決算について http://www.showa-shell.co.jp/press_release/pr2016/021001.html
2/10 昭和シェル石油    代表取締役および役員の異動に関するお知らせ http://www.showa-shell.co.jp/press_release/pr2016/021002.html
2/10 昭和シェル石油    「コーポレート・ガバナンスに関する基本方針」制定のお知らせ http://www.showa-shell.co.jp/press_release/pr2016/021003.html
2/11 Total    2015 Results & Outlook  http://www.total.com/en/media/news/press-releases/2015-results-outlook

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ニュースピックアップ:世界のメディアから(2月12日)

2016-02-12 | 今日のニュース

・米WTI原油下落、12年来の安値$26.35に。Brentも$30.14

・ロシアRosneftCEO:100万B/D協調減産すれば価格回復。但しOPECとの協調は否定

 

 

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見果てぬ平和 - 中東の戦後70年(6)

2016-02-10 | その他

プロローグ

6.第一次大戦中の英国の3枚舌外交(その3)
(3)バルフォア宣言
 英国の3枚舌外交の中で最も有名なものが「バルフォア宣言」であろう。バルフォア宣言は三つの約束の中では最も遅く、1917年11月に英国外務大臣アーサー・バルフォアがユダヤ系貴族院議員ライオネル・ウォルター・ロスチャイルド宛に送った書簡であり、世界のユダヤ人に対してパレスチナの土地にホームランドを建設することを認めたものである。

 西暦135年にローマ帝国ハドリアヌス帝が度重なるユダヤ人の反乱を鎮圧、かれらがエルサレムに立ち入ることを禁止してからユダヤ人たちの「ディアスポラ(離散)」の長い歴史が始まった。彼らはヨーロッパ各地で白人たちの蔑視と迫害に耐えながらいつの日か祖国パレスチナに帰ることを夢見ていた。それは19世紀に入って政治的なシオニズム運動(約束された故郷シオンの土地に帰ろう、という運動)になった。

 19世紀から20世紀にかけて発展した金融資本主義の中で世界の金融を握ったのがユダヤ人である。それはユダヤ人の資金力が戦争の勝敗を左右する時代でもあった。日本が日露戦争に勝利したのは日本の戦時債を米国ウォール街のユダヤ人銀行家が引き受けてくれたおかげであることは誰もが知っている戦時秘話であるが、第一次大戦でもユダヤ資本が勝利の鍵を握っていた。そしてそのユダヤ資本家の代名詞とも言えるのがロスチャイルド財閥である。のどから手が出るほど金に困っていた英国は戦争資金の調達をロスチャイルドに持ち込み、その見返りとしてユダヤ人のシオニズム運動を後押ししたのである。

 バルフォア外相がロスチャイルド卿に送った書簡には次のような文言が記されていた 。
「英国政府は、ユダヤ人がパレスチナの地に国民的郷土を樹立することにつき好意をもって見ることとし、その目的の達成のために最大限の努力を払うものとする。ただし、これは、パレスチナに在住する非ユダヤ人の市民権、宗教的権利、及び他の諸国に住むユダヤ人が享受している諸権利と政治的地位を、害するものではないことが明白に了解されるものとする。
 貴殿によって、この宣言をシオニスト連盟にお伝えいただければ、有り難く思います。」

 ここにはユダヤ人がパレスチナにホームランドを建設することを支援する英国政府の意図が明確に示されている。但しユダヤ人がパレスチナに住んでいたのは紀元1世紀までのことであり、それ以来2千年近くの間パレスチナに住み続けたのはアラブ人であった。そのためさすがの英国政府も「パレスチナに在住する非ユダヤ人の市民権、宗教的権利(中略)と政治的地位を、害するものではない」と言う但し書きを付けたのである。しかしその後この但し書きが守られることは無かったどころか、イスラエルは4度の戦争を通じてパレスチナにおける領土支配を進め、今も入植地を拡大し続けているのである。パレスチナを含むアラブ圏の全ての人々はそれをただ手を拱いて見ているだけである。


 以上の三つの約束をごく下世話風に言うとすれば、「戦争に必要な金を貸してくれればお前たちが望んでいる『約束の土地』パレスチナにユダヤの国を造らせてあげよう」と言うのがバルフォア宣言であり、一方「お前たちアラブ人がオスマン・トルコの後方を攪乱してくれれば、武器弾薬と必要な金をやろう。そして戦争が終わったらアラブ人によるカリフ制イスラム国家を造ることを認めよう」というのがフセイン・マクマホン書簡である。そして残る一つは、「戦争が終わればレバント地方を英仏2カ国で山分けしよう」と英国とフランスが地図上に線を引いたのがサイクス・ピコ協定であったと言えよう。この三つの約束が将来の紛争の種になるであろうことは誰の目にも明らかであったが、英国は当座の戦争に勝つことこそが目的であり、その後のことはその時になって考えれば良いというその場しのぎのご都合主義外交なのであった。

 英国及びフランスにとって3つの約束事の優先順位は、サイクス・ピコ協定が最優先であり、バルフォア宣言がこれに次ぎ、フセイン・マクマホン協定は最も優先順位が低かったことは第一次大戦後の歴史を見れば明らかである。そこでは中東地域の主役であるはずのアラブ・イスラームの人々の意向は全く無視され、アラブ・イスラームの人々は英国とフランスの西欧列強に食い物にされた。それが第二次大戦後、今に続く中東の混乱の遠因なのである。

(続く)

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 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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