石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

ニュースピックアップ:世界のメディアから(9月2日)

2016-09-02 | 今日のニュース

・サウジアラムコ、沖縄の石油備蓄2百万バレル増強で日本政府と基本合意

 

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天然ガスは目先買い手市場に:BPエネルギー統計2016年版解説シリーズ(天然ガス篇18)

2016-09-02 | BP統計

(3) LNG貿易(続き)

(圧倒的な日本の輸入量とシェア!)

(3-3) 2006年~2015年の国別輸入量の推移

(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/2-4-G04.pdf 参照)

 LNG輸入の全体量は2006年の2,111億㎥から2015年には1.6倍の3,3383億㎥に増加している。9年間を通じて国別輸入量が最も多いのは日本であり、2006年の819億㎥が2015年には1,180億㎥に増加している。この間2009年と2015年を除けばほぼ一貫して増加しており、特に2011年、2012年の対前年伸び率は14.4%及び11.1%と2年連続で二桁の大幅な伸びを示している。これは言うまでもなく原発の運転停止による火力発電用LNGの輸入が急増したからである。2013年は前年とほぼ同量、2014年は1.3%の微増にとどまり2015年は対前年比で2.1%減少し輸入の伸びは一段落した感があるが、日本のLNG輸入は当面1千億㎥強の水準を推移するものと考えられる。過去10年間における日本のLNG輸入が世界全体に占める割合は2008年の41%をピークに2010年には一旦31%に下がったが、その後再び上昇、2015年のシェアは35%である。

 

 日本に次いで輸入量が多いのは韓国であるが日本との差は大きい。同国の輸入量は2006年が341億㎥であり、2015年には437億㎥に増加しているが、それでも日本の輸入量の4割以下であり世界に占める割合は13%である。日本が当分の間LNG輸入量世界一であり続けることは間違いない。

 

 LNGの輸入で4~5年前から大きな存在感を示しているのは英国である。同国のLNG輸入量は2008年には10億㎥にすぎなかったが2009年には一挙に103億㎥に急増、2011年には253億㎥で世界全体の7.7%を占めるに至っている。但しその後は減少し、2015年の輸入量はピーク時の半分の128億㎥と2009年の水準に戻っている。英国はかつて北海油田からの随伴ガスにより国内のガス需要を賄っていたが、油田が枯渇しつつある。このため同国は安定的な天然ガス供給源としてカタールとの合弁で2009年にウェールズ州サウス・フックにLNG受入基地を建設している。

 

 この他の主なLNG輸入国は中国、インド、台湾、スペインであり、上位7か国のうち4カ国(日本、韓国、中国、台湾)は極東アジアの工業国である。日本、韓国及び台湾は国内にガス資源が殆ど無く、またパイプラインで近隣国から輸入する手段も無いため天然ガスをLNGに依存しているのである。なお2000年には10カ国にとどまっていたLNGの輸入国の数は現在30カ国以上に増加している。LNG受入設備を建設中の国もあり、今後LNG輸入国はさらに多様化するであろう。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行         〒183-0027東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                               E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

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天然ガスは目先買い手市場に:BPエネルギー統計2016年版解説シリーズ(天然ガス篇17)

2016-09-01 | BP統計

(3) LNG貿易(続き)

(全世界のLNG輸出の3分の1を占め続けるカタール!)

(3-2) 2006年~2015年の国別輸出量の推移

(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/2-4-G03.pdf 参照)

 2006年に2,111億㎥であったLNGの輸出量は毎年伸び、特に2010年及び2011年の2カ年はそれぞれ前年比24%及び10%と言う二桁台の大幅な伸びを示し3,000億㎥を突破した。2012年は初めて前年比で減少したが、2013年以降はプラスに転じている。2015年のLNGの輸出総量は3,383億㎥であった。これは2006年の1.6倍であり、この間の年平均成長率は5.6%を記録している。

 

 国別で見ると2006年当時はカタール、インドネシア及びマレーシア3カ国の輸出量は300億㎥前後で全世界に占める割合は14%とほぼ同じであったが、その後カタールの輸出量が急伸し、2015年のカタールの輸出シェアは31%と全世界の3割を占め、2位オーストラリアの12%あるいは3位イマレーシアの10%を大きく引き離している。カタールは年産7,700万トン体制と呼ばれる世界最大のLNG生産能力を確立したことが飛躍の大きな要因である。

 

 この時期、米国でシェールガスの開発が急速に発展しカタールの対米輸出の目論見が外れたため同国の過剰設備が危惧されたが[]、福島原発事故によるLNGの突発的需要増で設備はフル稼働の状況となった。日本にとっては不幸な原発事故ではあったが、カタールには思わぬ僥倖だったと言えよう。但し日本の輸入量は落ち着きを見せ始めており(次項参照)、一方ロシアがLNG輸出能力を高めつつあり、オーストラリアでは新しいLNG輸出基地が建設中であり、さらに米国でも輸出が始まるなどカタールの地位を脅かす動きが出ている。このためカタールはヨーロッパの市場開拓を積極的に行っている(6-1「カタールの輸出入の動向」で詳述)。

 

 インドネシアはかつてカタールと並ぶLNG輸出大国であったが、ここ数年LNG輸出量の減少に歯止めがかからず2011年の386億㎥をピークに2015年は219億㎥とわずか4年で4割以上輸出が減っている。同国の天然ガスは生産量が頭打ちの傾向にある一方、国内の消費量は増加している。同国は大きな人口を抱えているため今後輸出余力が乏しくなるのは必定であり、かつて石油の輸出国から純輸入国に転落したようにいずれ天然ガスについても同様の道を歩む可能性は否定できない。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行         〒183-0027東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                               E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp



[] 拙稿「シェールガス、カタールを走らす」参照。

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0148ShaleGasQatar.pdf 

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