石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

石油と中東のニュース(1月22日)

2019-01-22 | 今日のニュース

(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil

(石油関連ニュース)

・イラン中銀総裁:中国、韓国、インドに次いで日本むけ原油輸出再開

・イラク南部からの原油輸出過去最高レベルの360万B/Dに。OPEC+の生産自粛、微妙な状況

(中東関連ニュース)

・イスラエル、シリア領内のイラン軍事基地を爆撃。ネタニヤフ首相:イランの侵略許さず

・アブダビ最高評議会、一部メンバー交代

・クウェイト、2019/2020年予算は歳入477億ドル、歳出740億ドル、赤字253億ドル

・IMF、今年のサウジ経済成長率を2.4%から1.8%に下方修正。 *

・サッカーアジアカップ、日本1対0でサウジに勝ちベスト8に

 

*「世界主要国とMENAのGDP (IMF WEO 2018年10月版)」解説参照。

http://mylibrary.maeda1.jp/0453ImfWeoOct2018.pdf

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

石油と中東のニュース(1月20日)

2019-01-20 | 今日のニュース

(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil

(石油関連ニュース)

・原油価格上昇 Brent $62.70, WTI $53.80に。Brent先物はcontangoからbackwardationに変化

・IEA発表:サウジは減産、ロシアは増産

 

(中東関連ニュース)

・サウジとUAE、仮想通貨創設、サプライチェーンの安全性テストなど7項目を共同推進

・ドバイ首長が自伝で日航ハイジャック事件を語る:賢い敵は馬鹿な味方よりベター

・UAE、外国企業のVAT(付加価値税)還付を認める

・サウジ、南アで石油精製・石油化学プラント建設

・独ベンツ、エジプトで自動車組立を計画

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

"The Peace on The Horizon - 70 Years after The World War 2 in the Middle East"(5)

2019-01-20 | 今日のニュース

(Japanese Version)

(Arabic Version)

 

By Areha Kazuya

E-mail: areha_kazuya@jcom.home.ne.jp

 

Prologue

 

5. Britain's triple tongue diplomacy during World War I (2)

(2) Sykes-Picot Agreement

The second piece of UK’s "triple tongue diplomacy" following McMahon-Hussein Correspondence was the secret agreement so-called "Sykes-Picot agreement" to divide Arabic territory of the Ottoman Empire by Britain and France (and Russia).

 

British diplomatic advisor Mark Sykes and French diplomat Francois Georges Picot drafted about the division of the Ottoman Empire at the end of 1915 when the victory of the UK, French and their allies became sure. Russia also joined with the secret agreement. Three countries have mutually signed the agreement officially known “Asia Minor Agreement” in May 1916, in Petrograd, Russia. This agreement was generally called "Sykes-Picot Agreement" after taking their names. It was just before the uprising of Hussein, Sharif of Makkah, according to the McMahon-Hussein Correspondence (see previous section).

 

In this secret agreement for territorial division, the UK gained Southern Syria and South Mesopotamia.  France became the ruler of Syria, southern Anatolia and Mosul district of Iraq. Russia was given the Black Sea coast. In more detail in the Middle Eastern region, the UK and France divided the Mediterranean coast. From southern Anatolia to Beirut were directly governed by France. France also got the power in the northern Mesopotamian region from Damascus to Aleppo and Mosul. Compared with the current border line, the French power sphere will be from the southern part of Turkey throughout Syria, plus northern Iraq and Lebanon.

 

Meanwhile, the UK controlled directly the area from Baghdad to Basra adding the Kuwait and the south of the Persian (Arabian) Gulf. The desert zone spreading from Amman to the northern part of the Arabian Peninsula were under UK’s influence. This area covers Jordan, southern part of Iraq and GCC countries-Kuwait, Bahrain, Qatar and UAE.

 

Palestine, which became the biggest fire species in the Middle East, was regarded as the co-governorate of UK and France.

 

"Sykes-Picot Agreement" was a product of the competition to acquire the imperial colonies by the three countries of the UK, France and Russia. Unfortunately the interest of Arab nation, who had maintained a moderate peace and order throughout the region for thousands of years, had never been taken into consideration. It was a secret agreement between three empires. Only one year after the signing of the agreement, Russian revolution had broken out in 1917. The secret agreement was revealed by the Soviet revolutionary government. It was natural feeling that the Arabs, who asked for honest fulfillment of the "McMahon-Hussein Correspondence", have shown antipathy against UK & France.

 


(To be continued ----)

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

石油と中東のニュース(1月19日)

2019-01-19 | 今日のニュース

(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil

(石油関連ニュース)

・OPEC+(OPEC11+非OPEC10カ国)、国別生産削減目標を設定。総量1,1195千B/D

*OPEC事務局発表国別削減目標量:

https://www.opec.org/opec_web/static_files_project/media/downloads/press_room/Voluntary%20production%20adjustments%20table%20att%20PR12019.pdf

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

石油と中東のニュース(1月18日)

2019-01-18 | 今日のニュース

(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil

(石油関連ニュース)

・OPEC月報:12月生産量は前月比75万B/D減の3,158万B/D

(中東関連ニュース)

・世界経済フォーラム(WEF)、リスクレポート発表。湾岸諸国へのサイバー攻撃警告

・UAE、外国人投資家・起業家・科学分野専門家等への10年間居住ビザ発行の詳細開示

・UAE、超高速鉄道Hyperloop計画、仏でモデル試験実施。工事費1KM当たり2-4千万ドル

・サウジ、5千億ドルのNEOMプロジェクト第一期を近く着工。2020年完成予定

・RDIF(ロシア国営ファンド)の投資ミッション、サウジ訪問。 

 

*参考「世界の国営ファンド(SWF)」

http://menadabase.maeda1.jp/1-G-2-05.pdf

 

 

 


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

(再録)現代中東の王家シリーズ:サウジアラビア・サウド家(9)

2019-01-17 | 中東諸国の動向

 

初出:2007.7.24

再録:2019.1.17

(注)以下の人名、肩書はいずれも2007年当時のものです。

 

(9)要職を独占するサウド家の王族(その3):世襲化する高級官僚のポスト

閣僚或いは知事に次ぐ高級官僚のポストにもサウド家の王族が数多くひしめいている。アブダッラー国王など初代国王の子息である第二世代36人のうち存命者は21人であるが[1]、彼らの息子達、即ち第三世代の男子王族は2百人を超えている。アブドルアジズ初代国王の直系男子王族は既に第六世代まで誕生しており、男子王族の総数は8百人を下らない(Abdul Rahman bin Sulaiman Al-Ruwaishid著のサウド家系図による)。その多くは二十歳を超えており、彼ら王子達の望みは王族に相応しい名誉と報酬が保証される社会的地位を得ることである。

世界的な大富豪として知られるワーリド王子のようにビジネスの才覚がある王族は稀であり、多くの王族は結局そのポストを官界に求めることになる。従って王族内部では高級官僚のポストを巡り熾烈な争いが繰り広げられる。そこでは本人自身の能力よりもむしろサウド家内部での「コネ」が大きくものを言う。下記のリストは高級官僚ポストに就いている王族達(現職以外も一部含む)であるが、「親の七光り」こそ高級官僚ポストを獲得する最良の手段であることは一目瞭然である。

なおリストの先頭の数字は世代(第二、第三または第四世代のいずれか)を、*印はスデイリ・セブン及びその子息・孫であることを示している。カッコ内は父親(又は祖父)の名前である。

(国防・治安部門)
③ムテーブ国家警備隊副司令官(アブダッラー国王3男)
③マシャリ国家警備隊東部地区副司令官(サウド第二代国王32男)
④ハーリド国家警備隊西部地区副司令官(初代国王長男トルキ王子の孫)
④ミシャル国家警備隊顧問(サウド第二代国王の孫)

②アブドルラハマン国防副大臣(初代国王16男)
③*ハーリド国防省副大臣(スルタン皇太子兼国防相長男)
③バンダル国防省顧問(ファイサル第三代国王7男)
③トルキ・アブドルアジズ空軍基地司令官(初代国王7男ナセル王子7男)
③マンスール・アブダッラー空軍基地司令官(初代国王10男バンダル王子2男)

②ムクリン中央情報局長官(初代国王35男)
②マムドーフ戦略研究所所長(初代国王28男)
③*バンダル国家安全委員会事務局長(元駐米大使)(スルタン皇太子3男)
③*トルキ情報省次官(スルタン皇太子5男)
③アブドルアジズ中央情報局局長(初代国王10男バンダル王子4男)

②アハマド内務省副大臣(初代国王31男)
③*ムハンマド内相補(ナイフ内相2男)
③ムハンマド内相顧問(初代国王6男サアド王子2男)

(外交部門)
③ムハンマド駐英大使(ナッワーフ前中央情報局長官長男)
③トルキ前駐米大使(ファイサル第三代国王8男)

(石油省)
③ファイサル石油省顧問(初代国王21男トルキ王子3男)
③*アブドルアジズ石油省顧問(サルマン・リヤド州知事4男)

(その他の中央官庁)
③*ファイサル企画省副大臣(スルタン皇太子4男)
③*スルタン青年福祉庁長官(ファハド前国王4男)
④*ナワーフ青年福祉庁副長官(ファハド前国王長男故ファイサル王子長男)
③ファイサル教育省次官補(サウド第二代国王7男)


(副知事、市長)
③*サウド東部州副知事(ナイフ内相長男)
③ミシャル・ジェッダ市長(故マジド・マッカ州知事長男)
④ファイサル・バーハ州副知事(ムハンマド・バーハ州知事2男)

(参考家系図)「サウド家第二~第五世代の主要王族」(2017.6.22付け)

http://menadabase.maeda1.jp/3-1-1.pdf 

世代別では第三世代(アブドルアジズ初代国王の孫達)が大半を占めているが、年齢の若い第二世代も数名いる一方、初代国王の曾孫である第四世代も登用されており、世代のバラエティに富んでいる。

国防治安部門の要職に数多くの王族が名を連ねているのは、サウジアラビア王国つまりはサウド家の体制を守るためであることは論を待たない。このうち国家警備隊はアブダッラー国王が隊長を兼務する軍事組織である。これはサウド家に忠誠を誓う部族で編成されており、いわばサウド家の近衛部隊である。アブダッラーが国家警備隊長となったのは半世紀近く前、彼が未だ40歳前の1963年のことである。従って国家警備隊はアブダッラー国王の親衛隊と言える。

これに対して国防省はスルタン皇太子が国防大臣を兼務し国家の正規軍を統括している。正規軍は米英の最新鋭戦闘機・戦車などの近代兵器を保有し、防空・防衛レーダーシステムなどのハイテク設備を駆使している。スルタンが国防大臣に就任したのはアブダッラーとほぼ同じ1962年である。こうしてアブダッラーとスルタンはそれぞれ国家警備隊と正規軍と言う国防の二大勢力を半世紀近く率いており、しかも自分達の子息ムテーブとハーリドをNo.2に据えているのである。正規軍と国家警備隊はサウド家内部におけるスデイリ派(スルタン皇太子を頂点とするスデイリ・セブン一族)と非スデイリ派(アブダッラー国王他のスデイリ・セブンに対抗する一派)のバランス・オブ・パワーとなっている。

スデイリ一族にはスルタン皇太子兼国防相、ナイフ内務相、アブドルラハマン国防副大臣、アハメド内務副大臣、ハーリド国防副大臣などの閣僚クラスがいる(前章参照)。更にバンダル国家安全委員会事務局長(スルタン皇太子3男、元駐米大使)、ムハンマド内相補(ナイフ内相次男)、トルキ情報省次官(スルタン皇太子5男)などもおり、一族は国防・治安のポストをがっちり握っている。このほかファハド前国王の4男スルタン及び長男の息子ナワーフが青年福祉庁の長官・副長官であり、スデイリ一族の勢力は今も強い(上記リスト*印参照)。

王族が自分の息子をNo.2に据える例は、ムハンマド・バーハ州知事が2男のファイサルを副知事とするなど地方行政組織にも見られる。サウド家の王族が増え続ける一方、行政組織の高級ポストは限られている。このため第二世代の王族がそのポストを息子や孫など直系一族に継がせようとする強い動機付けがある。しかし世襲化はその反動としてポストを得られない他の王族の不満を招くであろう。またこれまでは血の繋がった兄弟として強い結束力を誇ってきたスデイリ・セブンもその息子達の時代になった時に従来のような関係を維持できるかどうか疑わしい。例えば従兄弟同士の関係であるスルタン皇太子とナイフ内相の息子達が、父親同士と同じような強い信頼関係を発揮できるとは思えないからである。

サウド家王族内部のポスト争いは、従来の単なる直系血族による縁故主義だけではなく、本人の能力、人望或いはカリスマ性などの属人的要素としての実力主義が加味される時代に移りつつあるのかもしれない。

(続く)

 

本件に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

荒葉一也

Arehakazuya1@gmail.com

 

 

 

(再録注記)



[1] 2019年1月現在生存している第二世代王族は下記の7人のみである。

サルマン(国王、25男)、ムッテーブ(17男)、マムドゥーフ(28男)、アブドルイッラー(29男)、アハマド(31男)、マシュフール(33男)、ムクリン(35男)

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

石油と中東のニュース(1月16日)

2019-01-16 | 今日のニュース

(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil

(石油関連ニュース)

・2023年の油価は65-70ドル:ロイターが石油関係者千人にアンケート

(中東関連ニュース)

・米国務長官、サウジ国王・皇太子との短い会談後、急遽帰国。クウェイト訪問キャンセル

・ヨルダン国王、仏外相が相次いでイラク訪問、米軍のシリア撤退で不安定化する地域情勢を協議

・サウジ外務省、シリア・ダマスカス大使館再開の噂を否定

・911被害者の申し入れでNYワールドトレードセンターのサウジ彫刻を撤去

・ドバイのホテル、客室供給増、利用者減で利用率79.2%に低下

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

石油と中東のニュース(1月14日)

2019-01-14 | 今日のニュース

(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil

(石油関連ニュース)

・サウジエネルギー相:原油市場はすぐにバランスする。4月以前のOPEC総会は不要

・メルリリンチ:今年の油価75ドル。世界のGDP成長率が2%に落ちれば35ドルも

(中東関連ニュース)

・Pompeo米国務長官、UAE訪問。ムハンマド・アブダビ皇太子と意見交換

・米国務長官、カタール訪問。サウジ-カタールの断交解消に期待にじます

・インド人労働者のGCC向け出国許可証発給数、2014年の78万人から激減

・オマーン中央銀行、信用調査機関設立に向けアイスランドCreditinfoと協定締結

・ドバイDP World、チリーの港湾管理企業Pulogsaの株式71.3%取得

・DV被害の18歳サウジ女性、カナダへの亡命認められる

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

(再録)現代中東の王家シリーズ:サウジアラビア・サウド家(8)

2019-01-13 | 中東諸国の動向

 

初出:2017.7.21

再録:2019.1.13

 

(8)要職を独占するサウド家の王族(その2):官選知事の顔ぶれ

前章で述べたとおり中央省庁ではアブダッラー国王兼首相をはじめ6人の王族が大臣ポストに就き、そこでは今も第二世代(アブドルアジズ初代国王の子息)の存在が大きい。しかし第二世代であるアブドルアジズの36人の息子のうち既に15人が亡くなり、存命している21人も83歳のアブダッラー国王を初め高齢者が多い[1]。一方、州知事レベルでは世代交替が進み第三世代(初代国王の孫)が中核となっている。

  サウジアラビアには13州の地方行政区がある。国土は日本の6倍近くあるが、人口は17百万人(外国人を含めれば23百万人)に過ぎずない[2]。人口はリヤド、ジェッダ及びダンマンの三大都市圏に集中しているが、地方では昔ながらのベドウィンの部族社会が幅を利かせている。サウド家はアラビア半島を征服するためこれら地方部族を時には武力で制圧し、或いはアブドルアジズ自身が相手の部族長の娘を娶ることにより同盟関係を築いた(第4回参照)。従って地方の部族と良好な関係を維持し或いは彼らの不満を和らげることは州知事の重要な役割である。

 13州のうちリヤド州、マッカ州及び東部州の3州は特に重要である。リヤド州は首都リヤドを擁する同国の中心であり、またサウド家発祥の地でもある。マッカ州は紅海沿岸に面し、商業都市ジェッダ及びイスラーム教の聖都マッカがある。そしてアラビア湾に面した東部州は油田地帯であり同国の財政を支えている。

知事は官選であり国王が任命する。その結果、13州の知事のうち11名は第二世代或いは第三世代の王族であり、残る2名もサウド家五摂家(第1回参照)のジルウィ家出身、及びサウド家と深い姻戚関係を持つスデイリ家出身である。つまり13名の知事全員がサウド家の身内なのである。

王族知事11名とその血縁関係及び年齢は以下のとおりである[3]

サルマン・リヤド州知事(故アブドルアジズ初代国王25男、スルタン皇太子実弟。71歳)
ハーリド・マッカ州知事(故ファイサル第3代国王3男。67歳)
ムハンマド・東部州知事(故ファハド第5代国王次男。57歳)
アブドルアジズ・マディナ州知事(故マジド・マッカ州知事次男。不詳)
サウド・ハイール州知事(故アブドルモホセン・マディナ州知事次男。60歳)
ムハンマド・バーハ州知事(故サウド第2代国王次男。73歳)
ファイサル・アシール州知事(故ハリド第4代国王次男。不詳)
ファイサル・カシーム州知事(バンダル王子長男。64歳)
ファハド・タブーク州知事(スルタン皇太子次男。57歳)
ミシャール・ナジュラン州[4]知事(故サウド第2代国王14男。不詳)
ファハド・ジョウフ州知事(バドル国家警備隊副司令官3男。不詳)

(注)北部国境州知事はジルウィ家出身、ジザン州知事はスデイリ家出身である。

 11名の王族知事のうちサルマン・リヤド州知事は第二世代であるが、その他は全員第三世代である。最近の例を見る限り、昨年10月のマッカ州のように知事の交替は現職が亡くなった場合に限られている。当時アブドルマジド・マッカ州知事(当時)は米国で病気療養中であり執務不能の状態であったが、後任知事(ハーリド・アシール州知事の横滑り)が任命されたのは彼が亡くなった後のことである。現状では知事は終身制であると言っても過言ではない。

 また知事の顔ぶれには第2代サウド国王から第5代ファハド前国王までの歴代国王の息子達が揃っている。さらにスデイリ・セブンとその息子達もリヤド州知事(サルマン)、東部州知事(ファハド前国王子息)、タブーク州知事(スルタン皇太子子息)の座を占めており、一族の優遇振りが目立つ。

 アブダッラー国王は2005年の知事任期(4年)の満了に際し全員を再任した。彼が知事全員を再任したのはサウド家内部に余計な摩擦が生まれることを懸念したからと考えられる。つまり知事の任命基準は本人の行政能力よりもむしろサウド家内部の勢力バランスを考慮した結果と言えそうである。スデイリ・セブンに属するサルマン・リヤド州知事とムハンマド東部州知事の続投などはその好例であろう。

これはあくまで筆者の個人的見解であるが、彼ら二人の行政能力には多少の疑問を感じる。特にサルマン知事の場合、3年前にリヤドでテロ事件が多発し首都の治安が問題となったケースを考えるとその感が強い。この時の一連のテロ事件を押さえ込んだのは実兄のスルタン国防相(現皇太子)あるいはナイフ内相であり、サルマン知事本人ではなかった。リヤド州知事が単なるテクノクラートであれば更迭されてもおかしくなかったはずである。また東部州知事のムハンマドについても新聞で見る限り市民の前に姿を現すことも稀で、行政上も確たる実績が見られないように思われる。

 サウジアラビアの地方自治は、昨年漸く州議会(Municipal Council)の半数が選挙で選ばれるようになったばかりであり、知事の公選制は当分先のことである。サウジアラビアが「サウド家のアラビア」であり続ける限り、大都市のみならず地方部族を掌握するためにも知事の国王任命制は変わらないであろう。そのため国王が知事を選ぶ基準も結局サウド家内部の勢力関係を色濃く反映したものにならざるを得ないようである。

(続く)

 

本件に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

荒葉一也

Arehakazuya1@gmail.com

 

 

(再録注記)



[1] 2019年1月現在生存している第二世代王族は下記の7人のみである。

サルマン(国王、25男)、ムッテーブ(17男)、マムドゥーフ(28男)、アブドルイッラー(29男)、アハマド(31男)、マシュフール(33男)、ムクリン(35男)

[2] 国連人口基金の最新統計によればサウジの人口は3,220万人。

[3] 州知事は今も全員サウド家王族であり(1名は外戚のジルウィ家出身)、副知事にも王族が少なくない。

「サウジアラビアの州知事・副知事」参照。http://menadabase.maeda1.jp/4-1-2.pdf 

[4] 知事・副知事は国王任命制であり論功行賞の意味合いが大きく、現在はムハンマド皇太子の意向が強く働いているようである。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

石油と中東のニュース(1月12日)

2019-01-12 | 今日のニュース

(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil

(石油関連ニュース)

・原油価格、米中貿易紛争終結見込み、OPEC減産で堅調維持。Brent $61.59, WTI $52.55

・韓国、月末または月初にイラン原油輸入再開

(中東関連ニュース)

 ・イエメン、反政府フーシ派のドローン攻撃基地を破壊

・サウジ、75億ドルの外債発行に申込み270億ドル。カショギ事件の影響克服

・サウジアラムコ、原油・天然ガスの埋蔵量を上方修正。株式公開に弾み。 *

・サウジ初の400MW風力発電プラント、仏EDF/アブダビMasdarコンソーシアムが受注


*「レポート:BPエネルギー統計2018年版 石油+天然ガス」参照。

http://mylibrary.maeda1.jp/0452BpOilGas2018.pdf


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする