続き
軽い岩登りを熟し村の人が絶賛する大山の頂に立った。一気に視界が開け目も覚める様な展望が広がった。「西上州の山と峠」を読まなかったなら多分、登らなかった大山だ。
鋸刃の様な両神山
中央上、浅間山
右から上州武尊、谷川連峰、浅間山、その奥連なる白い塊は北アルプス。白銀の岩肌を輝かせる八ヶ岳、足元には西上州の山々がまるで波濤の様に広がる。 抜ける様な青空、無風の頂は冬である事を忘れさせた。
貸切というおまけ付きの頂で1時間でも2時間でも、ノンビリしていたいと思うが今日の目的である天丸山が向かいで呼んでいる。後ろ髪を引かれながザックを背負った。
稜線を歩き一つピークを越す頃から笹が目立ち始め最初の内は道の形をなしていたが暫くすると猛烈な笹薮に突入。深い所では私が完全に隠れてしまうほどだ。木の根に躓いてつんのめったりザックが引っかかったり長い笹薮を散々な目に遭いながら何とか天丸山直下に辿り着いた。
しかし、この山もそう容易く頂を踏ませてくれない。鎖もロープも無い岩場が待ち構えていた。 舐められて堪るものかと手掛かり足掛かりを見つけながら、へつったり、攀じ登ったり野性的な登りを重ねて頂に出た。
登り付いた頂は炭化した木がアチコチに倒れ見るも無残だった。 展望も決して悪くは無いのだが大山から見えていた両神山方面は閉ざされ八ヶ岳も、ほんの少し白い頂稜が覗くのみ。天丸山を先にすれば良かったと後悔しながら、ここでお弁当を広げた。
帰りは同じ道を帰るよりも社壇の乗越から奥名郷へ下った方が変化が得られると言う事で降口を探すと倒木に下山口を示す透明のビニール紐を発見。取り敢えず確認が出来たので再び石の上に腰を下ろして熱い紅茶をすする。 近くの木にホシガラスが止ったが男体山のホシガラスの様に側に来る事も無く直ぐに飛び立ってしまった。 下方で人の話し声と犬の鳴き声が近くに聞こえたり遠のいたり。双眼鏡を出して谷を覗きこんだが姿は見えなかった。
いよいよたった一本のビニール紐に託して下山を開始。初めの内は焼けて倒れた木々が邪魔なくらいで何とかなると思っていたが100m先からは狭く急峻な尾根は一木一草ない焼けただれたガレ場が45度の角度で落ちているではないか。
3年では未だ再生されないのか足を置くそばから焼けてザラザラした土が谷底へ崩れて落ちて行くと言う余り気持ちの良くない尾根道だ。左右の奈落もいやが上にも目に飛び込んでくる。冷や汗が出た。それでも何とか降りられそうなルートを探しながらイザッて降りた。しかしこの先にもう一つ難題が待ち受けていた。
長くなりますのでコメント欄はお休みに致します。