ここんとこ、朝、チャリで通勤最中に突然雨がざざーっと降られる!!に祟られています。
まぁ、おかげで涼しいけどね、30℃だけどね。
もう、トンボの大群が飛んでるのを見てしまったりとかとか。
でもって、先週末に静岡市美術館で開催中のヴラマンク展に行ってきました。
あいかわらず、前知識ゼロ!!で見てまいりました。
ヴラマンク氏は20世紀前半のフランス出身の画家。トールキンと同世代かねぇ?
ほとんど独学で絵を描いていた、という方だそうです。
代表作は、油彩の田舎の村の街角の雪景色、っていう感じ。
いやー、ほんとにこのタイプの絵が多かったです。
1/4くらいは、そのタイプではないだろうか???
田舎の家や店と舗装だれていない土の道、きっと実際に歩いたら靴が泥と牛のふんだらけになるような道、時々人影が見えたり見なかったり。
なんか、間違い探し的雰囲気を醸し出してますが、これが似ているようでビミョーに違うんだよね。
描き方というかスタイル的には似てるというか同じ人だからそうなんだろうけど、同じみたいなんだけどなんかどの絵もそれぞれに別の場所の息遣いがある感じ。
絵描きとしての最初は、マチスとかといっしょの「野獣派」だったらしいんだけどね~。
初期の絵は、モダンっていうか当時の現代アート的なキュービズムの一歩手前って感じの絵なんだけど、彼はそのまま進まずに、反対にどちらかというとリアル路線に回帰した・・・って一見、見えるんだけど、よくよく見るとその後期の写実的に見える絵でも直線とか建物の四角、これがビミョーに歪んでるんだよね~。
ワインのボトル描いた絵があって、そのボトルの肩が左右対称の形じゃないんだよね。
でも、なんかリアルなワイン瓶に見えるよーな???
静岡市美術館は、わりとかなり作品と観客の視線が近くなれるところがよいです。
ガラスもないので、直に絵のタッチがよく見える。
油彩の作品が一番それを感じるんだけど、絵の具のサッと置いた感じ、流した感じ、それがよくわかるのだ。
マクロでみると絵の具の塊が、ちょっと離れてみると実はそれが空になってたり雲だったり・・・っていうところが面白いのだ。
ヴラマンクの作品では、まさにその近さが堪能できる感じでしたなぁ。
あと、今回の展示で面白かったのは、絵の横についてる解説文が普通学芸員さんが書いたもんなんだが、今回は彼自身・ヴラマンク自身の言葉だっていう事。
ヴラマンクは文筆家でもあり、かなり著作あったらしくて、その著作の中からその絵自体、そのものについて語った言葉ではないんだけど、それに関連しているとか連想されるセンテンスをつけているのだ
この選択した人って・・・マニアですな(爆)
でも、なんかそのおかげで、わかりやすいというか、本来は全然その絵に対して語った言葉ではないのかもしれないけど、そうやって絵の横に書かれているとなんとなく
「ふーむ、そういう事か」って説得力があるっていうかね。
最後に彼の本が数冊展示してあったんだけど、静岡市美術館がコレクションしているらしい本が多かったです。
その関係で、今回ヴラマンク展を開催してるんかねぇ??
でもって、彼はかなりがっちりした体格らしくて、本人の写真とかもあったけど、なんか俳優だとジェラール・ドパルデューみたいな感じ??
若いころは、金を稼ぐために自転車選手やボクシング選手もやってたという、肉体派画家?
自転車や自動車から見た流れる風景がのちの自身の画風に影響が表れている、っていうのがなんか面白いかな~。
で、最後に自分で自分の遺言を語ってる音声がずーっと流れていて、それがなんか全くよどみなくすらすらっと感じで読み続けてるのに関心した、というか。
独学でほとんど絵の教えを受けていないし、また他からの影響を受けていないのが彼の画風の特徴らしいが、だからといってすべてがオリジナルではなく、自分がすべてを生み出したわけではない、過去にあるいろいろなモノを自分の中を通して融合させ、反応させ、結果「新しく」みえるものが出てきたとしても、決してそれはゼロから生まれたわけではない、っていうのが芸術家の現実なのかもねぇ、とさすが文章書く人だけあるわ、という感じでございました。
絵柄的には暗い感じで、ゴッホの影響を受けたと言ってたらしいが、この人自体は精神的にはタフで意思が強くて思い通りに生きたって感じの人なんだろうなぁ、って思ったよ。