北朝鮮が今月5日にロケットを打ち上げてからというもの、朝鮮半島
の情勢は緊迫化し続けている。
国連安保理がこの打ち上げを批難する議長声明を出したことに対し、
北朝鮮は抗議を表し核開発プログラムを再開して、6ヵ国協議への参
加を取り消すことを明らかにした。
4月19日付の北朝鮮の新聞『ノドン新聞』には、北朝鮮政府は核ポテ
ンシャルを拡大する構えであることを裏付ける記事が掲載され、国連
安保理によって我々は核抑止の必然性を現実として知らしめされた。
我々は防衛目的で今後もこれを強化していくと書かれている。
この記事が出されたに二日前の17日、リアノーボスチ通信では北朝鮮
問題を扱う、露日両国の専門家が意見交換を行う試みとしては、初め
てビデオ会談が催されている。
ロシア側からこれに参加したのは、ロシア科学アカデミー・世界経済国
際関係大学・アジア太平洋調査センター課長、そして同じ大学内の国
際安全保障センター職員の二人で、一方の日本側からは早稲田大学
の重村教授、防衛大学の専門家(?)氏が参加した。
この模様に付いて取材したロシアの声の記者は次の様にリポートしてい
る。
ビデオ会談の討論の中心となったのは、核開発プログラムの再開と6ヵ
国協議からの脱退を公言した北朝鮮の今後の動きだ。
両国の専門家の意見は重なる部分と、全く分かれる部分の二通りの様
相を見せた。
意見が一致した場面と言うのは、北朝鮮の核開発プログラム再開には、
軍事目的というよりは政治的、経済的目的の意味合いがあると言う点だ。
これに付いてロシア側の世界経済国際関係大学・アジア太平洋調査セ
ンター課長は次の様に発言している。
「北朝鮮は政権交代の時期にさしかかっている。このためには外交的な
条件を作りださなければならない。
軍事的な脅威を煽る行為は、この国の経済メカニズムの一部を成すもの
でこれを行うこと無しに、北朝鮮は存在し得ないのだ」
アジア太平洋調査センター課長は、この様に発言している。
北朝鮮が政権交代の時期にさしかかっているとの見方に、早稲田大学教
授も賛成し、その理由に4月9日に行われた北朝鮮最高人民会議で、憲
法に部分修正が行われたことを指摘している。
しかしながら核開発プログラムの再開に、どれぐらいの時間を要するのか
と言う問題に関しては意見が分かれた。
これに付いてアジア太平洋調査センター職員は、次の様に発言している。
「リョンビョンの実験センターにある5メガワットの原子炉と、すでに無力化
されてしまっている冷却施設を再開するには3ヶ月近く掛かるだろう。
ですから核兵器を製造するためのプルトニウムは、1年経たないと造れな
いと思う」
アジア太平洋調査センター職員は、この様に発言してい。
これに対しリョンビョンで監視員をしていた、アメリカ側から情報を得ている
日本の専門家らは、5メガワットの原子炉の原子炉の老朽化が激しくこれ
を再び利用することは難しいかと思われるのに、まして200メガワットの原
子炉建設を終えるには、資金不足から難しいのではないかと言う見方を示
している。
またこのほかにも北朝鮮外務省は声明を表したように、自力で軽水炉を造
る可能性があるのではないかと言う疑問に対して、北朝鮮の専門家は黒鉛
減速ガス原子炉を造る技術を持っているだけで、軽水炉を造る技術は無い
と言う考えを表した上で、それでも軽水炉を使って密かにウラン(ウロンにゅ
うしゅくと言った)濃縮を行う可能性も否定できないと述べている。
今回ビデオ会談に参加した露日の専門家らは、6ヵ国協議の参加国である
両国の間にも、大きな隔たりがあることを認識した上で、北朝鮮とアメリカ
の間で二国間交渉が行われる可能性が大きいと述べている。
ただしこの交渉が実現した場合、しばらくの(?)は一時的な戦術上の課題が
決められても、その後再び核問題、ロケット問題が持ち上がってくるだろう
との見方を表している。
現時点でもっと大事なのは北朝鮮以外の、6ヵ国協議参加国のなかで信頼
を築き、朝鮮半島に統一した安全保障システムを構築出来る様、一日も早
い協議の再開に務めることだとしている。
※(?)は不明瞭な発音で聴き取れず
4月21日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル