Fish On The Boat

書評中心のブログです。記事、それはまるで、釣り上げた魚たち ------Fish On The Boat。

『キッチン』

2011-02-23 21:19:03 | 読書。
読書。
『キッチン』 吉本ばなな
を読んだ。

なんか、翻訳されて世界28カ国で読まれているそうです。
それでいてデビュー作なんでしょ、これって。
インパクトでかいですねぇ。

「キッチン」「満月」「ムーンライト・シャドウ」の
3つの短編が収められています。
作品を読み進めるごとに、文章のキレがよくなるというか、
隙が無くなる感じがします。
作者の意図なのか成長なのかはわかりません。

「キッチン」の良さは、そのゼロからの出発的な作風でしょうか。
作風もそうだけれど、主人公のみかげもゼロみたいなところから出発します。
なんら壮大なドラマがあるわけではありませんが、
設定で読ませてくれるというか、設定も大したことは無い感じでも、
綴られていくさまが面白いです。つまり、生活ってものが楽しいっていうのに
行きつくような面白さを持った作品かなぁと思いました。

「満月」は「キッチン」の続編です。
「キッチン」とはうって変わってドラマティックな出来事があります。
そこいらあたりは、作者が、ギアの大きいほうの想像力をも使わなければいけない
感じがしますね。「キッチン」は小さいギアの想像力で作られた作品って言えそう。

「ムーンライト・シャドウ」は独立した違う作品でした。
登場人物みんなに魅力がありまして、いやぁ、読ませてくれるねぇと思いました。
こういう、悲しくてちょっと不思議な作品って好きです。
想像力のギア比的には、小~中の感じですか。

というような、なかなかに興味深くて、20年くらい前の作品にしても、
鮮度の落ちていない作品集でした。良かったです。
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