日高敏隆 「ぼくの生物学講義―人間を知る手がかり読了
著者は以前に読んだ、「ソロモンの指輪」の翻訳者だった。そして日本でも有名な動物行動学者だったそうだ。
その著者が動物行動学的に見た、「人間とは何ぞや。」という講義を精華大学でおこなった内容を本にまとめている。
人間と他の動物の決定的な違いや言語とは、人が作る社会とはといったことを講義している。
人間と他の動物との決定的な違いは2足歩行することと、毛がないことだ。2足歩行するようになるためには骨の構造から、内臓の固定方法(4足歩行の動物がそのまま直立歩行をし始めると、内蔵は重力で全部下のほうまで落ちてしまうそうだ。)まで変化をさせなければならなかったのだが、そんなにしてまでどうして2足歩行に進化したか・・・。草原では隠れる場所がないから背伸びして周りを警戒しているうちに2足歩行になったのではないかというけれども、本当だろうか?
そして、毛がないこと。これは森から草原に進出したとき、森にいたときよりも体をはるかに動かす必要があった。それは天敵から逃げるためであったり、獲物を捜し求めるためであったりするのだが、そのときに体の熱を逃すためには毛が邪魔だったというのだ。NHKスペシャルでも同じようなことをやっていたが、人間は最初、草原に降り立った直後はハイエナのように死肉をあさっていたそうだ。それが槍なんかの狩猟道具を発明するようになると獲物をとことんまで追い詰めて傷を負わせて弱りきるまで追いかけていたそうだが、そのためには体から発する熱を効率よく逃さなければならない。そのときに毛が邪魔になって抜けてしまったというのだ。頭に残ったのは脳を守るため?だそうだ。そこで問題になるのは、大体、狩猟をするのは男の仕事であったそうだからわかるのだが、狩りをしない女性までも毛が無い(むしろ少ない)のはどうしてか。これが面白い。オスのお猿さんが性的に興奮するのは、メスのお尻を見るからだそうだ。だから発情期になるとメスのお尻は赤くなる。これは4足歩行している動物だと、こう、後ろからやっちゃうからお尻を見ればいいのだが、2足歩行をするようになると前同士を向いたときにはお尻が見えない。その代わりをしたのがオッパイだったというのだ。人間は確かにオッパイを見ると興奮する。で、オッパイを相手によく見せるために毛が邪魔になったというのだ。そして陰毛が残ったのもココがアソコですよ!とよくわかるように残した・・・。というのだ。ちなみに毛が多い人間以外の動物はその逆でアソコには毛があまりないらしい。
それでも髪の毛が伸び続けるのはどうしてなのかということはいまだに理由やメリットがわからいそうだ。
言葉についても興味深い見解がある。人は言葉をどうやって覚えるか。なんとなくは生まれてから周りの人が話す言葉を聞きながら覚えるのが言葉のように思うけれども、その前に、言語という構造というか、骨格のようなもの、現在では人間が言葉を使って物事を考えるとき、必ず主語と述語に分解して考えているのだと解されているそうだが、そういうものは遺伝子の中に組み込まれているがごとくに生まれながらにして持っている能力であるらしい。僕にもそんな高等な能力が備わっていたのだろうか・・・。
そして、人間がつくる社会というもの。
人間ほど多くの複数の家族が集まって大きな社会を形成する動物はいないそうだ。
ゴリラやチンパンジーなら2、3のつがいかオスが1匹のハーレムを作る規模だが、人間はかつて巨大な洞窟に数百人規模で共同生活を始め、それが現代の社会につながっている。
脳が発達し、それだけの個人を識別できる能力ができ相手の性格を読めるようになりそれが可能になった。そこから新たな社会性とまた、技術の伝達が効率よくおこなわれたのだけれども、それが本当に幸福に結びついているのか・・。
「利己的な遺伝子」という本があってこの本も著者が翻訳したそうだが、一時期ベストセラーになったので僕も読んだことがあるのだけれども、その観点からみると、社会というのもの効率よく自分の遺伝子を残すために利用されるべきものであるというのだ。人々が幸せに生きていくためのシステムではない。
結婚もしかり、男と女が愛し合った結果ではなく、この混雑してきた社会の中で財産の所有権とその継承権を認識するためのものでしかないというのである。そういえば、人によるけれども、結婚相手だけと交わってるわけではなく、また、同性との結婚その間に養子縁組か人工授精でもしていればもそういう意味では認められて当然なのかもしれない。
そう読んでくると、なかなか社会の中で生きてゆくというのは過酷だ。自分で自分の遺伝子を残すために社会の中で戦ってゆかねばならない。
人の顔を覚えるのがまったく苦手な僕にとっては現代社会はあまりにも大きすぎるし、財産の所有権といっても何も残るものがない。
下手をすればすでに淘汰されている身だったのではないかと背筋がゾッとするのである。
著者は以前に読んだ、「ソロモンの指輪」の翻訳者だった。そして日本でも有名な動物行動学者だったそうだ。
その著者が動物行動学的に見た、「人間とは何ぞや。」という講義を精華大学でおこなった内容を本にまとめている。
人間と他の動物の決定的な違いや言語とは、人が作る社会とはといったことを講義している。
人間と他の動物との決定的な違いは2足歩行することと、毛がないことだ。2足歩行するようになるためには骨の構造から、内臓の固定方法(4足歩行の動物がそのまま直立歩行をし始めると、内蔵は重力で全部下のほうまで落ちてしまうそうだ。)まで変化をさせなければならなかったのだが、そんなにしてまでどうして2足歩行に進化したか・・・。草原では隠れる場所がないから背伸びして周りを警戒しているうちに2足歩行になったのではないかというけれども、本当だろうか?
そして、毛がないこと。これは森から草原に進出したとき、森にいたときよりも体をはるかに動かす必要があった。それは天敵から逃げるためであったり、獲物を捜し求めるためであったりするのだが、そのときに体の熱を逃すためには毛が邪魔だったというのだ。NHKスペシャルでも同じようなことをやっていたが、人間は最初、草原に降り立った直後はハイエナのように死肉をあさっていたそうだ。それが槍なんかの狩猟道具を発明するようになると獲物をとことんまで追い詰めて傷を負わせて弱りきるまで追いかけていたそうだが、そのためには体から発する熱を効率よく逃さなければならない。そのときに毛が邪魔になって抜けてしまったというのだ。頭に残ったのは脳を守るため?だそうだ。そこで問題になるのは、大体、狩猟をするのは男の仕事であったそうだからわかるのだが、狩りをしない女性までも毛が無い(むしろ少ない)のはどうしてか。これが面白い。オスのお猿さんが性的に興奮するのは、メスのお尻を見るからだそうだ。だから発情期になるとメスのお尻は赤くなる。これは4足歩行している動物だと、こう、後ろからやっちゃうからお尻を見ればいいのだが、2足歩行をするようになると前同士を向いたときにはお尻が見えない。その代わりをしたのがオッパイだったというのだ。人間は確かにオッパイを見ると興奮する。で、オッパイを相手によく見せるために毛が邪魔になったというのだ。そして陰毛が残ったのもココがアソコですよ!とよくわかるように残した・・・。というのだ。ちなみに毛が多い人間以外の動物はその逆でアソコには毛があまりないらしい。
それでも髪の毛が伸び続けるのはどうしてなのかということはいまだに理由やメリットがわからいそうだ。
言葉についても興味深い見解がある。人は言葉をどうやって覚えるか。なんとなくは生まれてから周りの人が話す言葉を聞きながら覚えるのが言葉のように思うけれども、その前に、言語という構造というか、骨格のようなもの、現在では人間が言葉を使って物事を考えるとき、必ず主語と述語に分解して考えているのだと解されているそうだが、そういうものは遺伝子の中に組み込まれているがごとくに生まれながらにして持っている能力であるらしい。僕にもそんな高等な能力が備わっていたのだろうか・・・。
そして、人間がつくる社会というもの。
人間ほど多くの複数の家族が集まって大きな社会を形成する動物はいないそうだ。
ゴリラやチンパンジーなら2、3のつがいかオスが1匹のハーレムを作る規模だが、人間はかつて巨大な洞窟に数百人規模で共同生活を始め、それが現代の社会につながっている。
脳が発達し、それだけの個人を識別できる能力ができ相手の性格を読めるようになりそれが可能になった。そこから新たな社会性とまた、技術の伝達が効率よくおこなわれたのだけれども、それが本当に幸福に結びついているのか・・。
「利己的な遺伝子」という本があってこの本も著者が翻訳したそうだが、一時期ベストセラーになったので僕も読んだことがあるのだけれども、その観点からみると、社会というのもの効率よく自分の遺伝子を残すために利用されるべきものであるというのだ。人々が幸せに生きていくためのシステムではない。
結婚もしかり、男と女が愛し合った結果ではなく、この混雑してきた社会の中で財産の所有権とその継承権を認識するためのものでしかないというのである。そういえば、人によるけれども、結婚相手だけと交わってるわけではなく、また、同性との結婚その間に養子縁組か人工授精でもしていればもそういう意味では認められて当然なのかもしれない。
そう読んでくると、なかなか社会の中で生きてゆくというのは過酷だ。自分で自分の遺伝子を残すために社会の中で戦ってゆかねばならない。
人の顔を覚えるのがまったく苦手な僕にとっては現代社会はあまりにも大きすぎるし、財産の所有権といっても何も残るものがない。
下手をすればすでに淘汰されている身だったのではないかと背筋がゾッとするのである。