外国で一時的個人的無目的に暮らすということは

猫と酒とアルジャジーラな日々

2022年イタリア・ヨルダン・トルコ周遊記(10)~ローマ3日目・トレビの泉と遺跡猫たち・後編~

2023-02-15 05:14:41 | イタリア

 

 

今回もまた、ずいぶん間が空いてしまったが、去年の旅行記を再開する。前回はローマでの3日目、トレビの泉などを経由してトッレ・アルジェンティーナ広場の保護猫施設を見た後、昼食を取ってからホテルに戻って休憩したところで終わっていた。

 

 

ローマ3日目の夕方、ホテルで昼寝などしてから、夕方また出かけた。

 

テルミニ駅地下のコナド(スーパー)で夕食を買って帰るだけのつもりだったが、ふと気が変わり、トッレ・アルジェンティーナ広場にもう一度行ってみることにした。広場の周りにいた人たちが、夕方になったら猫がそこら中をうろうろしていると言っていたことを思い出したからだ。

 

バスに乗るため、駅前のバスターミナルに向かって歩いている時、カラビニエーリ(Carabinieri 憲兵、以下カラビニ)の車両が何台か、サイレンを鳴らしながらすごい勢いですっ飛んで行った。何事かと思ったら、少し先のマクドの前に停車して、そこから降りたカラビニ数人が、先に来ていた同僚たちに合流していた。

 

 

 

 

なんか盛り上がってる。

 

 

周りに野次馬さんたち(イタリア人も観光客も)が群がっていたが、誰にも何が起こっているのか分からないようだった。カラビニがTシャツなどを押収している様子だったので、偽ブランドのTシャツを売る移民の行商人が摘発されたのかもしれない。よくあることだ。それにしては、やけに大がかりだった気もするが。

 


駅前からH40番のバスに乗ってトッレ・アルジェンティーナ広場に向かった。バスのチケットは乗降口付近に設置されている刻印機を通す必要があるが、機械が壊れていて、使い物にならないことが多い。この時もそうだった。チケットに日付・使用開始時間を刻印しなければ、無賃乗車扱いになるのだが…

 

 

車窓から見えたヴェネツィア広場とヴィットーリオ・エマヌエーレ2世記念堂

 

 

トッレ・アルジェンティーナ広場には間もなく着いた。前回も書いたが、この広場は中心部分が周囲より一段低くなっていて、古代ローマの神殿の遺跡があるのだが、現在は閉鎖されている。

 

 

広場をぐるっと回って猫を探そうと思い、ほんの少し歩いたら、下の遺跡のところをうろついている猫たちを発見。上のベンチのところでも、イタリア人のおじさんが猫数匹を餌付けしている所に遭遇した。

 

 

すでに満腹してくつろぎモードになっている猫もいれば、まだエサを待っている猫もいた。

 

 

近づいた女性は持ち物検査を受けていた。

 

 

夕方涼しくなってから出直したのは正解だった。うふふ…

 

猫おじさん(仮名)の邪魔をしないよう、広場を一回りして、下の遺跡の周りにたむろしている猫たちの写真を撮った。

 

 

分かりにくいけど、何匹かいる。

 

 

大体みんなだらだら寝そべっていた。保護猫施設でご飯を食べた後で眠いのかも。

 

 

 

 

 

しばらくしてさっきのベンチのところに戻ったら、猫おじさんの姿はもうなかったが、彼にエサをもらっていた黒猫はまだいた。

 

 

すみっこでくつろぎタイム

 

 

すでに満腹なはずだったが、私がカメラを取るためにカバンを開けたら、その音を聞いて「おっ、エサをくれるのか」とばかりに寄ってきて、おねだり態勢に入った。それをみて、他の猫たちも寄ってくる。みんなもう食事を済ませているはずなのだが。

 

 

「おらおらエサ出せにゃ~」(極道派)

 

 

「3日前から何も食べてないにゃ~」(演技派)

 

 

「エサがまだあるのは分かってるにゃ~」(透視派)

 

 

要求されるままに、ちゅ~るやちゅ~るビッツをあげていた時、イタリア人の母娘がそばに立って、こちらを眺めているのに気が付いた。中学生と小学生くらいの女の子2人と、おそらく私より年下だと思われる母親の3人連れだ。下の子にちゅ~るを1本譲ってあげて、一緒に餌付けした。将来の猫好きを増やすための啓蒙運動の一環である。

 

母親の話によると、彼女たちはかつてこの近所に住んでいたが、5年ほど前にアブルッツォ(自然豊かな州、田舎とも言う)の小さな町に引っ越していて、この時は親戚を訪ねてローマに来ていたという。ここに住んでいた頃は、この広場には30匹くらいの猫がうろうろしていたのに、ずいぶん数が少なくなったと驚いていた。保護猫施設で避妊・去勢手術を進めているせいかもしれない。みんな手術をした印に耳がカットされた「さくら猫」だし。そう教えたら、彼女は当惑した顔をしていた。その気持ちはよくわかる。

 

日本もそうだが、近年世界的に野良猫の避妊・去勢手術が恐ろしいスピードで進められている。野良猫が多くて、それが観光客を引き寄せる要素の一つとなっているトルコなど、中東諸国もその例外ではない。このままいけば、いずれ子猫があまり生まれなくなり、野良猫の数がどんどん減少して、地域によってはもう見られなくなるかもしれない。次世代の岩合さんは、世界ネコ歩きが出来なくなるかもしれない。そして、手術を進めているのは猫を愛する人達だ。「かわいそうな野良猫をなくすため」に。

 

かわいそうな野良猫をなくすことが、野良猫の減少・絶滅に繋がらない方法はないものだろうか…(難しい問題だ)

 

 

母娘が去った後、私もエサやりを終えて、またバスに乗ってテルミニ駅まで帰った。

 

 

 

 

屋根に監視カメラが2台

 

 

駅のコナドで夕食用にツナとトマトのパニーノ、赤ワイン、ビールなどを買い込む。ホテルに戻ったら、まずシャワーを浴び、ビールを飲んで一息ついた。

 

 

今回初めて飲んだイタリアビール。ビール味だった。(味を覚えていない)

 

 

テレビを観ながらパニーノを食べ(美味しかった)、ワインを飲んだ(普通だった)。私の好きなイタリア国営テレビRAI3の長寿番組「CHI L'HA VISTO」をやっていた。いつまで続くんだろう、この番組…

 

 

翌日は夕方の便でヨルダンに移動するので、体力を温存するために観光はせず、11時ギリギリにチェックアウトして駅のカフェでPC作業をし、早めに空港入りしようと考えていた。アンマン到着は夜9時半の予定で、そこからバスとセルビス(乗り合いタクシー)で旧市街に出て、ホテルに向かうつもりだった。さて、無事にたどり着けるだろうか…

 

 

(続く)


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2022年イタリア・ヨルダン・トルコ周遊記(9)~ローマ3日目・トレビの泉と遺跡猫たち・前編~

2023-01-19 19:14:52 | イタリア

(古代の壁の脇で眠る猫たち)

 

 

今回はようやく旅行記の続き。成田からローマに到着して3日目の話だ。去年の6月半ば~7月半ばの旅行のことなのに、なかなか書き進めないでいるうちに、今年も1月後半に入ってしまった。いつ終わるんだろう、これ…

 

 

さて、ローマ滞在3日目は、ネットを検索していて見つけたトッレ・アルジェンティーナ広場の保護猫施設に行く予定だった。そこはローマの王道の観光名所トレビの泉やパンテオンに近いので、そちらもついでに回るつもりだった。

 

その日は朝8時半に起きた。我ながら早起きだ。しかし、洗濯したり、ツイッターを更新したりしていたら、いつのまにか11時を過ぎていた。時間が過ぎるのが速いのか、私の行動がとろいのか…(きっと前者ね)

 

前日フロントのエリザベッタさんに「明日はコーヒーを飲んで行ってね!」と念を押されていたので、コーヒーをもらいに行くと、ここで飲むか部屋で飲むかと聞かれたので、部屋に届けてもらうことにした。

 

届いたのはこちら。

 

 

カプチーノにチョコチップ入りのカップケーキが添えられている。カプチーノはインスタントではなく、ちゃんと淹れたものだった。イタリアの安ホテルの水準で言えば、これは朝食付きだとみなせるだろう。彼女がフロントの当番の時だけのサービスなのかもしれないが。私は普段朝は寝ているので何も食べないが、旅行中は朝食をとってから出かけた方が、落ち着いて行動できる気がする。

 

エリザベッタさんにお礼を言ってお盆を返してから、11時半頃に出かけ、テルミニ駅からメトロでバルベリーニ駅に出た。まず同駅の近くにあるトレビの泉とパンテオンを見て、それからトッレ・アルジェンティーナ広場まで歩くつもりだった。トレビの泉もパンテオンも過去に行ったことがあるのだが、パンテオンがとても良かったので、この機会に再訪しようと考えたのだ。トレビの泉は近くにあるからついで。

 

ネットから拝借したパンテオン内部の写真

Il Pantheon- Scopriamo Roma - Samarcanda Taxi

 

 

仄暗い空間に一筋の光が差し込む、あの静謐な空間がハートわしづかみだ。

 

 

というわけで、まずトレビの泉に向かった。グーグルマップ先生に導かれるままに進む。

 

 

道端にけっこうゴミが落ちている。ローマだから。

 

 

アラビア語表記があれば、目が自動的に検知する。

 

 

トレビの泉はバルベリーニ駅から近かった。

 

 

 

 

予想以上に観光客が多い。

 

 

イタリアにはこの時すでに、コロナ前の水準近くまで観光客が戻っている様だった。太陽が照り付けて真夏のように暑く、熱中症が心配になるレベルの猛暑日だったが、誰もそんなことは気にしてないようだった。

 

かつて私がフィレンツェに滞在していた頃、両親と妹が訪ねてきた際にローマを案内し、一緒にトレビの泉を観光したことがある。今トレビの泉を両親に見せてあげたら、当時のことを懐かしく思い出して、喜ぶかもしれない。そう思った私は、初めてのLINEのビデオ通話を試みることにして、母親にかけてみた。

 

電話に出た母親は、喜ぶというよりは、むしろ当惑している様子だった。今までやったことないのに、突然ビデオ電話をかけたから、当然かもしれない。トレビの泉を見せたら、一応歓声を上げてくれたが。やっぱり、慣れない親孝行などをしようとしたら、スベるわね…と思いつつ、早々に切る。

 

トレビの泉を観光したら、周りの店でジェラートを食べなければいけない気がしたが(先入観)、どこも観光地価格でやたら高いので、あきらめてパンテオンに向かう。

 

なぜか秋冬の風物詩である焼き栗の屋台があった。当然誰も買ってなかったが。

 


パンテオンはトレビの泉から目と鼻の先だが、太陽が照り付ける中、観光客で混雑した通りを歩くのはけっこう大変だった。

 

 

こういう大道芸人、マドリードでも見たことある。

 

 

ブーゲンビリアがてんこ盛り

 

 

この手の土産物は世界中にありそう

 

 

へろへろになりながら、パンテオンに到着。

 

 

 

 

 

しかし、入口の前に行列が出来ていた。炎天下で行列に並ぶ根性と体力は私にはない。(炎天下でなくてもない)

 

 

テロ対策で配置された兵士たちもサングラス姿

 

 

パンテオンはスルーして、最終目的地であるトッレ・アルジェンティーナ広場まで歩く。意外なことに、迷わずにたどり着けた。

 

 

この広場は周りより一段低くなっていて、古代ローマの神殿の遺跡があるのだが、整備中なのか、この時は公開されておらず、周りに白いパーテーションがめぐらされていた。保護猫施設はその一角にあって、そこには入れるはずだった。

 

 

ローマには松が多い気がする。

 

 

ローマの松」という交響詩もある。(さっき気づいた)

 

 

広場の周りを歩いて、その辺にいた地元民らしき男性2人に保護猫施設のことを聞いてみたら、この辺りは夜は猫だらけだが、今は暑いからいない、保護猫施設については聞いたことがないと言われた。しかし、ぐるりと回ってみたら、簡単に入口が見つかった。地元での知名度は低いようだ。ネットでは日本語でも情報が出てくるのに。(参考1)(参考2

 

 

 

 

階段を下りて行ったら、こういうお出迎えサービスが

 

 

撫で放題。疲れが一瞬で吹き飛んだ。

 

 

ここが建物入口

 

 

中には欧米人観光客のグループがいくつか入っていて、係の人達から英語で説明を受けていた。私は1人だったせいか、放っておかれたが、そのおかげで自由に見て回ることが出来た。

 

 

中にも猫が落ちていた。

 

 

 

 


小耳にはさんだ説明によると、全部で90匹くらいいるらしいが、ほんとかな…猫たちは好きなように建物を出入りしたり、寝そべったり、ご飯を食べたりしていたが、仕切りの向こうでケージに入れられている子たちもいた。隔離中かな?

 

 

一番人気だったアイドル猫さん

 

 

寄付のための猫カレンダー(15ユーロ)をお土産用に一冊買ってから外に出た。

 

 

階段下の猫が増えていた。暑いから、寝ている猫が多い。

 

 

君は熟睡しすぎでは。

 

 

もうお昼時を過ぎ、お腹が空いていたので、広場を出てから安く昼食をとれそうなバールを探して歩く。しかし、観光名所のそばなので、高い店しか見あたらない。そうこうしているうちにテヴェレ川にたどり着いてしまった。

 

中州のティベリーナ島(参考

 

 

橋を渡ってさらに少し歩いたら、ようやく良さそうな食堂に行き当たった。

 

 

ピッツェリアと書いてあるが、他のピザ以外のメニューも色々ある。

 

 

それはローマの郷土料理を出す食堂だった。店の前で椅子に座ったおばあちゃんが幼児をあやしていて、給仕の若者は無口だが親切、テーブルクロスは紙製だった。こういう店は安くて美味しいと相場が決まっている。いっぱい歩いた甲斐があったというものだ。

 

ランチタイムの終了間際だったので、客は少なかった。

 

 

壁には絵がいっぱいかかっていた。

 

 

店名は「Dar Buttero」。「Hostaria」はosteriaやtrattoriaのことで、つまり食堂だ。(インスタ)

 

 

コペルト(席料)はなしで、パンは1.5ユーロ。ハウスワインのデカンタ(250ml)が2ユーロだった。パンと前菜盛り合わと水とワインで計15ユーロほどだった。(チップ少々込み)

 

 

 

 

チーズも生ハムもサラミもオリーブも、見るからに美味しそうだったが、実際とても美味しかった。ここはアタリの店だ。

 

 

固いパンの耳は持ち帰って、帰り道でテヴェレ川のユリカモメさん達にあげることにした。橋のそばの階段を下りて、河原に出る。

 

 

 

 

パン耳に気が付いてくれなかったヒトたち

 

気が付いて食べてくれたヒト

 

 

橋の下にはテントが張ってあった。ホームレスの人達だと思われる。

 

 

この辺りはいつもおしっこ臭いんだよな・・・

 

 

トッレ・アルジェンティーナ広場まで戻ったら、テルミニ駅行きのバスがあったので、それに乗って帰り、ホテルでしばらく昼寝した。

 

 

 

(ここまで書いてエネルギーが切れたので、続きは後編で~)

 

 

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2022年イタリア・ヨルダン・トルコ周遊記(8)~ローマ2日目・モスクと猫編(後半)~

2022-12-07 09:54:38 | イタリア

 

 

毎日ぼんやり過ごしているうちに、今年もとうとう最後の月に突入してしまった(デジャブ)。日本の首都圏では寒い日が続いているが、皆様いかがお過ごしだろうか。

 

うちの安アパートは窓の建付けが悪いせいか(まともなカーテンを掛けてないせいもあるかも)、昼間目覚めて室温をチェックしたら10度前後だったりして、かなりサバイバルな状況だ。昼間はエアコンとコタツをつけ、夜は毛布を重ねて凌いでいるが、もういっそ冬眠したい。恒温動物って、大変だなあ…

 

というわけで(?)、また間が空いてしまったのだが、今回はローマ滞在2日目の話の続き。ローマモスクを訪ねて行って、写真を撮らせてもらい、帰りがけに門番の男性にお礼として少しお布施を渡そうと思ったら、「寄付金?それは猫のエサ代か?」と言われた、というところで終わっていた。(前回の話

 

それを聞いた私が目の色を変えて(たぶん)、「猫のエサ代? ここには猫がいるんですか??」と勢い込んで尋ねたら、彼はこちらにやってくる猫を指さした。

 

おお~

 

キジ白の美猫さんが~

 

 

ぐいぐい来る~

 

 

やっぱりモスクには猫がいなくっちゃね!うふふふ、ふふふふふ(不気味)

 

盛り上がる私を見て、門番氏も心なしか嬉しそうだった。彼が猫を餌付けしているそうで、全部で4匹いるが、昼間は暑いから他の猫はどこか涼しいところに隠れているとのことだった。この猫の名前は「Marocco」(マロッコ)だという。イタリア語でモロッコのことだ。

 

モロッコちゃんは私がエサを持っていることを敏感に察知し、すり寄ってきてくれたので、日本から空輸したいなば食品の「焼きかつお」やちゅ~るを振舞った。

 

いなば食品のスローガンは「世界の猫を喜ばす。」そのまんまやん。

 

 

私が猫好き丸出しでエサをあげたり写真を撮ったりするのを見て、さっきまで冷たかった門番氏の態度が一気に軟化。「預言者ムハンマドは、床に置いた外套の上で寝ている猫を起こさないため、袖部分を切り落として外套を着た」という逸話を教えてくれたので、その話は日本の猫好きの間でも有名だと逆に教えてあげ(私の周りだけかな)、預言者の教友で、猫好きで知られるアブー・フライラ(アラビア語で「子猫のお父さん」という意味の呼び名)の話などをして盛り上がった。(参考

 

すっかり打ち解けたところで、彼が「モスクの中で暮らす人たちがいるから、訪問客は決まった日時にしか入れないが、入り口の前で写真を撮るのは構わないし、外階段の上から見える小モスクの写真も撮っていいから、もう一度行って来たらどうか」と言ってくれたので、再び撮影しに行った。でもすでに十分写真を撮っていたし、小モスクも発見できなかったので、早々に戻った。

 

戻ったら、モロッコちゃんが水を飲んでいたので写真を撮っていたら、また何かくれるのかと期待してすり寄ってきたので、ちゅ~るビッツをあげる。残りのちゅ~るは門番氏に託した。

 

 

あのカバンの中にまだ美味しいものがある気配がするにゃ~

 

 

さて、お腹いっぱいになったから、どっかで昼寝するにゃ~

 

 

よく見ると、後頭部が刈り上げ君。

 

 

猫が立ち去ってから、しばらく門番氏とお喋りした。猫の名前から推測できるように、彼はモロッコ人だったが、長年イタリアに住んでいて、ここの暮らしに満足しているとのことだった。

 

アラビア語のフスハー(標準語)が話せるかどうか聞いてみたら、話せるとのことだったので、練習のためイタリア語からアラビア語に切り替えて話させてもらった。アラブ人はフスハーが苦手な(話せない)人が大半なのだが、宗教関係者は話せることが多いのだ。アラビア語で話しつつも、時々頭が混乱して、ついイタリア語の単語が混ざったりしたが、なにしろ相手は両方できるので、何の問題もなく通じた。言葉が通じるって、素晴らしい。

 

話し始めてわりとすぐに、案の定「何歳か、結婚しているか、子供はいるか?」等と聞かれた。アラブ人男性との会話で避けては通れない質問だ。私が年を正直に答え(驚いていた、うふふ~)、「結婚はしてない。自由に旅したいから」と適当に答えると、彼は少し考えてから、「その方がいい」と真顔で言ってくれた。「建築家か?」とも2,3度聞かれたので、このモスクを訪問する建築家は少なくないのかもしれない。あまり類を見ないデザインのモスクだから。

 

別れ際、「明日の午前中はモスク内部が見学可能だから、また来なさい」と言ってくれたが、間に合うように早起きできる自信がなかったので、「来られたら来ます、インシャ―アッラー」とだけ答えてモスクを後にした。

 

帰りは鉄道で帰った。グーグル先生に聞いたら、行きに通った高架のある駅が「Campi Sportivi」駅で、そこからFlaminio(フラミーニオ)まで列車が通っていることが判明したのだ。フラミーニオからテルミニ駅までは地下鉄1本でいける。これで来たら楽だったのに、気づくのが遅かったわい…

 

フラミーニオ駅にはすぐ着いた。暑い中歩き回って疲れたので、少し休憩する事にして、広場の近くのバールでプロシュット・コット(Prosciutto cotto、加熱済みのハム)とチーズを挟んだパニーノとビールを取り、外のテーブルで通りを眺めながらゆっくり食べた。ぼんやりしてる間にパニーノを温められてしまったが、イタリアなのでハムもチーズもパンも美味しかった。サルデーニャ製の冷えたビールも当然美味しい。

 

 

 

 

おこぼれのパンくずを狙って待機しているすずめが道路にいたので、パンの具の入っていない部分をちぎって投げてあげたら、小型戦闘機のように飛んできた。

 

 

こちらのすずめは色が薄め

 

 

パン屑ゲット

 

 

ハトも乱入

 

 

結局半分くらいパンをあげてしまった。

 

 

食べ終えてから、メトロでテルミニ駅に戻った。疲れていたから、夜はもう外出しないことにして、駅構内のスーパー・コナドで夕食を買って帰ろうと思ったが、道に迷ってたどり着けなかった。方向音痴って、かなしいことね…仕方がないので、地下のバールで生絞りのオレンジジュースを飲んで一息つき、ホテルに戻ることにする。

 

 

ここもイタリア南部系のバール

 

 

美味しそうな南部の郷土菓子も売られている。

 

 

ホテルの部屋に戻って、道すがら買ったビールをぼんやり飲んでいたら、エリザベッタさんがノックした。「部屋にあった飲みかけの赤ワインの瓶を冷蔵庫に入れておいたのよ。冷えていた方が美味しいだろうと思って」と言って、瓶を渡してくれる。イタリア人も夏は赤ワインを冷やすのか、と意表を突かれたが、礼を言って受け取っておいた。親切な人だ。

 

よく冷えた赤ワインの瓶を眺めていると、うちの母がかつて私が里帰りする度に、「何飲む?赤ワイン冷やしておいたよ!赤ワインって冷やすものなんでしょ?」と言っていたことがふと頭に浮かんだ。私はその度に「お母さん、赤ワインは冷やしちゃダメ。冷やすのは白ワインよ」と訂正したものだが、イタリア人も赤ワインを冷やしているんだから、母はあながち間違っていなかったのかも…

 

ビールとワインを飲んでから、しばらく昼寝したら、少し元気が出たので、夜8時頃夕食の買い出しにまたテルミニ駅に出た。今回はコナドが発見できた(地上だと思い込んでいたが、地下にあった)。

 

 

ビタミン補給のため、生オレンジジュースを購入。セルフサービスでペットボトルに詰める方式。

 

 

総菜コーナー。クスクスもある。

 

 

アジア食品コーナー。即席めんが充実している。

 

 

インスタント味噌汁がヨルダン製のホンムスの隣りに並んでいる。

 

 

紙パック入りのワインコーナー。ベンチ飲みによさそう。

 

 

結局オレンジジュースの他にライスサラダ、あんず数個、白ワイン(瓶入り)を買った。合計約10ユーロ。ホテルに帰ってシャワーを浴びてから、テレビのウクライナをテーマにした討論番組を眺めながら食べた。出演者は皆怒っていて、大声で一斉に喋っているのに、なぜか会話が成り立つというイタリア的な展開だった。ライスサラダは量が多かったが、ビネガーが効いてさっぱりしていたので完食できた。夏の食欲のない時はこれが一番だ。

 

 

 

 

翌日はトレビの泉やパンテオンなどの王道の観光スポットに寄りつつ、その近くの保護猫施設を見に行くつもりだった(モスク訪問はもう頭になかった)。熱中症にならないように気を付けなければ・・・

 

 

(続く)

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2022年イタリア・ヨルダン・トルコ周遊記(7)~ローマ2日目・モスクと猫編(前半)~

2022-11-17 20:22:31 | イタリア

 

 

ぼんやり暮らしているうちに、気が付いたらもう11月も後半。前回のブログから1か月も経ってしまっている。その間に早めの里帰りをしたりもしたが(正月は感染拡大が懸念されるので)、ほんの数日だったのに、どうしてこんなに日にちが経っているのだろう。時を駆けたのかな。(時を駆けるおばちゃん)

 

というわけで、久しぶりに旅行記の続き。東京からローマに到着した翌日、ローマモスクを訪れた時の話だ。ずっとサボってたから、書き方を忘れてしまった気がするが、なんとか思い出さなければ…

 

今回の旅行ではローマに3泊したのだが、それはローマ観光のために意図したものではなかった。格安のライアンエアーを使ってヨルダンに移動しようと思ったら、ローマ・アンマン間が週2便しかなくて、結果的にそうなっただけなのだ。ライアンエアーは他の航空会社の半額以下なので、宿泊費を入れても安くついた。(片道でスーツケース1個預けて7千円弱だった)

 

ローマは過去に何回も訪れているし、いまさら観光する気もしなかったが、どこにも行かずにホテルでゴロゴロしているわけにもいかない。どうせ行くなら、私の関心事項である中東や猫関連のスポットがいいと思い、ネットで色々検索した結果、まずローマモスクに行ってみることにしたのだ。

 

 

ローマに唯一残ったピラミッドにも行こうかと思ったが、気合が足りなくて行き損ねた。だって暑かったんですもの…でも、そばに猫スポットもあるそうなので、やっぱり行けばよかったかも(くよくよ)

 

 

「ガイウス・ケスティウスのピラミッド」(ネットから拝借した写真)

 

このピラミッドについて書かれた興味深い記事

https://serai.jp/tour/1021365

 

 

さて、ローマ2日目のこの日、私は朝8時半頃に目覚めた。日本で昼夜逆転生活を送っていたのが良かったのか、時差ボケもなかった。しかし、のんびり洗濯やツイッターなどをしていたら、出かけるのが11時を過ぎてしまった。

 

11時半頃にようやくホテルを出ようとしたら、フロントにいたエリザベッタさんが「コーヒーを淹れましょうか?」と声をかけてくれた。遅くなるので遠慮したら、「じゃあ、明日は必ず飲んでいってね!」と念を押しつつ送り出してくれた。素泊まりの安ホテルなのに、妙にサービスがいい。チップちょっとしか置かなかったけど、悪かったかしら…

 

まずテルミニ駅に出て、売店でバス・トラム・メトロ共通券(1枚1.5ユーロ・100分有効)を買い、メトロに乗った。ネットで見つかった数少ない情報(これとか、これとか)によると、ローマモスクはメトロで「Flaminio(フラミーニオ)」まで出て、そこでトラム(市電)に乗り換えて、「Campi Sportivi」(カンピ・スポルティーヴィ=運動場)で降り、徒歩5分のところにあるはずだった。この日は火曜日で、見学可能日ではないはずだったが、一応行ってみることにした。ここは日本じゃなくてイタリアだから、融通を利かせてくれる可能性があるのだ。

 

イタリアでは当時、公共交通機関でのFFP2マスク着用が義務付けられていたが、メトロには違うタイプのマスクをしている人が多く、ノーマスクの人もちらほらいた。チェックが甘いのだろう。後で乗ったバスでは、運転手がノーマスクの人に「Mascherina!」(マスケリーナ=マスクのこと)と叫んでいたが。

 

 

メトロでフラミーニオ広場に到着。

 

 

ここでトラム(2号線)に乗り換えようと思ったら、いつまで経っても来ない。よくみたら、停留所に「6月14日からトラムは休止、フラミーニオ広場から代替バスが出る」と書かれた張り紙があった。6月14日は、まさにこの日だった。なんてこった…

 

とりあえず、広場のバールでカプチーノとコルネット(クロワッサンっぽいパン)を頼んで朝食を取ることにした。

 

甘いパンとカプチーノはイタリアの朝食の定番

 

 

食べ終えてから、店員のお兄ちゃんにバスが出る場所を確認して、礼を言って出ようとしたら、日本語で「アリガト、サヨナラ」と言ってくれた。あ、一応日本人に見えたんだ…

 

 

バスに乗車

 

 

「Campi Sportivi」の停留所で降りるべきだったが、気が付いたら通り過ぎており、終点の「Mancini」(マンチーニ)というバスターミナルまで行ってしまった。なお、途中には「Ankara」というバス停もあり、その付近に青空マーケットが出ていた。

 

バスターミナルで、チケット売り場のおじさんたちに聞いたり、スマホでグーグル先生に聞いたりしたところ(SIMカードを買って正解だった)、168番の「deviato」(迂回)と書いてあるバスが、Campi Sportiviに行くことがわかった。しかし、そのバスがいつやってくるかは、おじさんたちも知らないという。30度を超える気温の中、屋根のないバスターミナルで1時間以上待ち、もう諦めようかなと思ったタイミングでそのバスはやってきた。イタリアのバスは、諦めようとした時にやってくることが多い気がする。狙いすましたように。

 

バスの乗り込んで、運転手さんにローマモスクに行きたいからCampi Sportiviで降ろしてほしいと頼んだら、慣れた感じですぐ頷いてくれた。ローマモスクに行く人によく頼まれるのだろう。欧州最大規模のモスクなので、訪れる外国人も少なくないに違いない。

 

バスを降りてから、グーグル先生に導いてもらって10分ほど歩き、途中で道端に停車していたトラックの中に座っていたファンキーな感じの陽気そうなおばあさんにモスクの場所を尋ねたら、そばに立っていた体格のいい女性(たぶんtravestito=トランスジェンダーの人)に声をかけて聞いてくれた。彼女は「あそこに塔が見えてるでしょ」と言って、近くに見えている鉄道駅の高架の向こうのミナレットを指さして、「高架橋を渡っていくといいわよ!」と教えてくれ、おばあさんと一緒に手を振って見送ってくれた。

 

この写真では分かりにくいが、高架の向こうにミナレットが見えていた。

 

 

この階段を通って上に出る。

 

 

高架の上に出たら、モスク本体が見えた。

 

 

「Viale della Moschea」(「モスク通り」)という標識があった。読みにくいけど

 

 

欧州最大というだけあって、ローマモスクはかなり大きく、そして現代的で無機質な印象の建物だった。

 

入口の方に回ったら、門は閉まっていて、門番らしき男性(たぶんソマリア人)が出てきたところだった。時刻は14時半頃。声をかけたら、彼は当番を終えて帰るところとのことだった。代わりの当番が来る予定だが、いつ来るかは知らないとそっけなく言われ、待とうかどうしようか迷っていたら、別の男性が登場した(国籍不明)。彼が交代要員らしい。

 

その男性に声をかけて、モスクを見学したい旨伝えると、「今日は一般客が入れない日だから、明日の午前中に来なさい」と冷たく言われる。取り付く島もない感じだった。しかし、そこをなんとか、建物の外側からでいいから写真を撮らせてもらえないかと必死で頼み込んだら、中に入らずに外からさっと写真を撮ってすぐ帰るならいいと言ってくれたので、通用門から敷地内に入って、モスクの周りを早足で歩き回って撮影した。

 

 

前景

 

 

このコンクリートの階段を上る

 

 

とっても現代建築

 

 

モスクの入り口

 

 

噴水には水がなかった

 

 

宿泊施設らしき建物

 

 

一通り写真を撮って満足したので、入口のところに戻って門番氏に礼を言い、帰る前に少しだけお布施をしたいと申し出たら、彼は初めて笑顔になり、「寄付金?それは猫のエサ代か?」と聞いた。

 

猫のエサ代?

 

 

(続き)

 

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2022年イタリア・ヨルダン・トルコ周遊記(6)~ローマ初日・SIMカード購入編~

2022-10-16 18:34:42 | イタリア

 

 

激しい気温の変化に翻弄されているうちに、もはや10月も後半に突入してしまった。今年は金木犀の香りがあまりしないなと思っていたが、それは寒いから窓を閉めていたせいだということに、暖かくなってからようやく気付いた。金木犀のシーズンは短くて貴重なのに、なんだか損した気分。

 

 

さて、今回は旅行記の続き。まだローマに着いた日の話が終わっていなかった。悪い魔法使いに呪いをかけられたかのように、いたずらに時が過ぎ、ブログをなかなか更新できない。いつ終わるんだろう、この旅行記は…(前回の話

 

 

 

ホテルの部屋で少し仮眠を取り、Wi-Fiを利用して調べ物などをして、少しゆっくりしてから夕方6時頃に出かけた。

 

ホテル周辺を散策がてらテルミニ駅に出て、駅構内にある携帯ショップを回ってSIMカードの値段をチェックするつもりだった。ローマには3泊しかしないので、すぐ買うつもりはなかったが、ヨルダンとトルコを回ってからイタリアに戻る予定なので、一応値段と有効期間をチェックしておこうと思ったのだ。

 

ホテルの周りには、中華料理店や中国人経営の衣料店、観光客向けのリストランテやピッツェリーア(ピザ中心のレストラン)なども並んでいたが、それ以上に南アジア系のハラール・ファーストフード店やミニマートが目に付いた。通行人はソマリア人を始めとするアフリカ系の男性が多い。ファーストフード店の屋外のテーブルに座った男たちが口論したりもしていて、ちょっと不穏な雰囲気があった。この辺り(テルミニ駅周辺地域)は、夜は少し怖いかもしれない。帰りが遅くならないようにしないと。まあホテルの門限が24時なので夜遊びは出来ないし、そんな歳でもないのだが。(安全のため、24時にホテルの入口を閉めると言われた)

 

 

ファーストフードの店としては、さほど安くない気がする。

 

 

似たような店が多い。どこもメニューの種類がやけに多い。

 

 

飲食店の外にある値段表示をチェックして、夕食を取る店を物色しつつ歩き、テルミニ駅に出た。駅の構内に三大通信会社のTIM(ティム)、Vodafone(ボーダフォン)、WindTre(ウインドトレ)の店舗が入っていることは調査済みだった。

 

 

テルミニ駅の構内にはスーパーも本屋も、各種のお店やフードコートなどもあり、大抵の用が足せる。ローマ滞在中、1日最低2回は寄っていたので、もう私の庭のようなものさ。まあ方向音痴だから、中で毎回道に迷ってたけどね…

 

 

 

 

まず、地上階にあるWindtreのショップに入って、不愛想な店員のお兄ちゃんに相談したら、ツーリスト用のSIMは最短のものが30日間有効で、20GBで28ユーロだという。ネットで調べていた値段(約25ユーロ)よりなぜか少し高い。30日間有効なら、今買ってしまってもいいかとも思ったが、私の旅行期間は32日間なので、今買ったら最後の2日間は使えないことになる。そして、EU圏ではないから、ヨルダンはもちろんトルコでも使えない。そう思うと、合計で約2週間のイタリア滞在のためにこれを買うのは割高な気がする。ああ、トルコがEUに入れていれば(むりむり)

 

買うかどうかは保留にして店を出て、TIMの店の方にも行ってみたが、言われた値段がWindtreより高かったのですぐ出た(いくらだったかは記憶の彼方)。駅地下の商店街に入っているVodafoneにも行ってみたが、こちらはもう店仕舞いするところだった。仕方がないので、すぐ近くにあったWindtreの別の店舗に入ってみる。こちらの店員は、非常に親切で愛想のいい若者だったが、提案されたのは、2枚セットで40ユーロ台だから割安だというSIMだった。SIMが2枚あってもしょうがない、さっき地上にある方の店で聞いたらもっと安いSIMがあると言われたと説明してみたが、彼は肩をすくめるばかりだった。同じ通信会社でも、店によって言うことが違う。さすがイタリアだ。

 

駅周辺にもVodafoneの店舗があるかもしれないと思い、駅から出てホテルと反対側の界隈を少し歩いてみたが、全然見つからなかった。こちら側でも、ソマリア人らしき男性をよく見かけた(ソマリアの一部がかつてイタリアの植民地だった関係で、ソマリアからの移民・難民が多い)。夕方でもけっこう気温が高く、少し歩いたら疲れてきたので、目に付いたバールに入り、ビールを飲んだ。イタリアビールの「ペローニ(peroni)」、久しぶりに飲んだが、相変わらず美味しかった。イタリアはワインだけではなく、ビールも美味しいのだ。座ったら料金が高くなるので立ち飲みで我慢した。ああ、しんどい…

 

 

バリスタのお兄さんたちは、にこやかでプロフェッショナル。南部訛りでテンポよくお客さんと話していた。

 

 

南部のお菓子も色々あった。テルミニ駅構内や周辺地域のバール界はシチリア・カラブリア・ナポリ勢に支配されていると思われるが、ここもその1つ。

 

 

 

 

ビールを飲み干してから、またテルミニ駅に向かった。色々考えるのは面倒なので、もう最初に行ったWindTreの店で買ってしまおうと思ったのだ。しかし、今夜はホテルにWi-Fiがあるから、1日でも長く使えるように、買うのは明日にした方がいいかもしれないとも思う。(期限が切れる前にチャージすれば更新できるが、最低10ユーロかかる)

 

旅の疲れでぼんやりした頭で、くよくよ迷いながら店に着いたら、店番が交代していて、若い女の子がカウンターの中にいた。30日間有効のツーリスト用のSIMカードがほしいと言うと、33ユーロだと言われる。ええ~、さっき聞いた値段より5ユーロ高いんですけど~

 

「少し前に来た時、男性の店員さんに28ユーロだと言われたんだけど」と言ったら、彼女は「じゃあ28ユーロでいいわ」とあっさり引き下がった。なんなの、同じ店なのに店員によって違う値段を言ってくるとか…フィレンツェではこういうことは普通起こらない気がする。ローマあるあるか?

 

試しに「SIMをその日に買って、翌日から有効にすることは可能ですか?」と聞いてみたらダメだと言われ、翌日出直すのは面倒だったので、結局その場で買ってしまった。つまり、旅の終わりの2日間はスマホが使えないということになる。やはり翌日出直した方が良かったかも(くよくよ)。どうも判断力がポンコツになっている気がする。

 

ともかく、用事が終わったので一息ついて、ホテルでの部屋飲み用のワインとつまみを駅構内のスーパーに買いに行った。駅地下には「コナド(Conad)」の系列店が、地上にはコープが入っていて便利だ。新しいお洒落なフードコートも複数出来ていて、アペリティーヴォ(食前酒)を楽しむ地元客や観光客で賑わっていた。テルミニ駅は単なる鉄道駅ではなく、ローマで社交・娯楽・飲食・ショッピングを楽しむために人が集まる一大スポットになりつつあるようだった。

 

 

エキナカのお洒落フードコートでマリトッツォを発見

 

 

イタリアでマリトッツォを見たのは、これが初めてだった。なお、食べたことは一度もない。

 

 

このフードコートにはラーメンコーナーも寿司コーナーもある。

 

 

駅の上階の別のフードコートにも、寿司レストランが入っていた。寿司はいつからイタリアで愛されるようになったのか。食に極めて保守的なイタリア人がそんなに寿司を食べるとは思えないのだが。

 

 

駅地下のコナド系スーパー

 

 

ファラーフェルもあったけど、マズそう。

 

 

当然寿司コーナーもある。

 

 

コープの店の前に出ていた広告には、アラビア語表記もあった。

 

 

土産物も買える。

 

 

コープはハム類が充実しているが、特に安くはない。

 

 

コープで安い赤ワインとタッキーノ(tacchino 七面鳥)のハムを買ってから、ホテルの近くに戻って、あらかじめ目を付けていたピッツェリーアでピザを注文した。トマトベースでアンチョビとモッツァレッラがのっているやつ。「ナポリターナ」という名前だったと思うが、「ナポレターナ」かもしれない。7、8ユーロで、この辺りの他の店より安かったが、十分美味しかった。ピザの本場、イタリアですもの。分厚い生地のナポリのピザとは違い、ローマ風に薄かった。飲み物は当然ビールだ。ピザの時にビール以外を飲むわけにはいかない。銘柄はまたペローニ。

 

 

 

 

他の客は欧米系の観光客ばかりで、ピザ以外にも色々な料理やワインを景気よく注文して、盛り上がっていた。私がピザとビールだけ注文したら、カメリエーレ(ウエイター)のおじ様(多分南アジア系)に「え、それだけ?」と不審そうな顔をされたが、にっこり微笑んで「そう、それだけ」と答えたら、あきらめたように立ち去った。すいませんね、貧乏旅行者なんで…

 

 

ピザが来るのをぼんやり待っている間に、さっき買ったSIMをスマホに入れようと思いついてしまい、スマホの脇の小さい引き出しみたいなやつをいじって、そこに入っている日本の携帯会社のSIMを出そうとしたら、取り落として見失ってしまった。地面をいくら探しても見当たらない。ブラックホールに入ったのか?

 

SIMの入れ替えなどしたことがないのに(海外ではいつもお店の人に頼んでいた)、夕暮れ時の路上で、あんな小さいものを取り出そうとするなど、判断力がポンコツすぎるのではなかろうか。この旅の間、ずっとそんな風に頭がポンコツ山のたぬきさん状態で、色々ヘマをしでかした。幸い大きな事故はなく、無事に帰れたが。旅の疲れのせいか、年のせいか、ステイホームボケのせいか、はたまたアル中の症状か…

 

カメリエーレのおじ様も、隣のテーブルに座っていた1人客の欧米人の若者も一緒に探してくれたが、なかなか見つからなかった。それでもあきらめず、ピザが来てからもしばらく探し続けた結果、置き引き防止のため膝の上にのせていたショルダーバッグの片隅から出てきた。バッグの中が怪しいと最初から思っていたので、何度も探したのだが、小さいからなかなか出てこなかったのだ。出てきて良かった。日本のSIMを失くしたら、えらいことになるところだったぜ。

 

冷めかけたピザを食べ終わり、カメリエーレのおじ様にお礼を言って、チップを渡す。1ユーロしかあげなかったのだが、おじ様は全く期待していなかったらしく、とても嬉しそうな顔で受け取ってくれた。

 

ホテルに向かう道すがら、ミニスーパーでビールを買い(コープやコナドより割高だが、冷えているものが欲しかったからしょうがない)、買い物が終了。部屋に戻ってシャワーを浴び、ビールやワインを飲んでから、早めに寝た。

 

翌日は欧州最大規模だというローマモスクを見に行く予定だった。ネットで情報を検索しても、詳しい行き方や開いている時間帯はよくわからなかったのだが、ここはイタリアだから、とりあえず行ってみたら、なんとかなるだろう。問題は、方向音痴の私が無事にたどり着けるかどうかだな…

 

 

(続く)

コメント (5)
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