朝、出勤しようとドアを開けると、外には猫が1匹、私を出待ちしていた。
うちのアパートの庭によく出入りしている、おなじみの猫である。
うっ、と思わずひるむ私に追い討ちをかけるように、角の向こうからもう1匹顔を出す。
2匹とも厳しい顔つきをして、「あなた、当然朝ごはんをくれるんでしょうね。くれなかったら一生許しませんわよ」とでも言わんばかりにじりじり詰め寄ってくる。
ちょうど、うちの猫の食べ残しのイワシの骨を2匹分持っていたので(うちから最寄りのゴミ箱でたむろする猫たちにあげるため)、それを1匹ずつあげて勘弁してもらう。
うちの猫の食べ残しではあったが、彼らのお気に召したようで、熱心に食べている。
やれやれ、さあ仕事に行かなきゃと立ち上がったとき、別の1匹が近づいて来た。
これもうちをテリトリーにしているやつだ。
磨呂タイプの眉毛マークが付いているため、私はこの猫を「マロまゆ」と呼んでいる。
顔つきがうちの猫にそっくりなので(つまりうちの猫にも磨呂マークがある。さほど目立たないけど)、血縁関係があるのだと思うが、詳細不明である。
マロまゆにはキャットフードをあげ、これ以上猫が増えないうちにそそくさと立ち去り、職場へ急ぐ。
うちのアパートは猫多発地帯で、飼い猫を計算に入れると、常時10匹以上出入りしている。
私だけではなく、大家さんの孫アハマド君も、隣りに住んでいるインド人男性も猫の餌付けをしているし(たぶん)、他にも猫好きが住んでいそう。
実際、「にゃ~ん、にゃあ~ん」と甘えてエサをねだる鳴き声がしょっちゅう聞こえてくるし、庭にはエサをやった後のプラスチックトレーなどがよく落ちている。
私としては、色々な人からエサをもらっている色つやの良い庭猫よりも、サバイバルな毎日を送っている、汚れきって痩せこけたゴミ箱猫のほうを支援したいのだが、うちを取り囲む猫包囲網を素通りするのは大変むつかしい。
結局、両方のグループの猫たちに何がしかあげることになるのだが、おかげで出費が増えて困っている。
私を出待ちしてた猫 可憐な美少女風の視線が最大の武器

私の登場後すぐに現れた猫 ちょっとコミカルな模様

飛び入り参加した猫、マロまゆ

うちの猫 マロまゆと同じ系統の顔でしょ
