結局、5匹全員が出揃うのに1時間半もかかった。
陣痛の時間を入れると計2時間半。時刻はもう夜10時を過ぎていた。
血液等で汚れた新聞紙を替えたり、写真を撮ったりする以外には何もしていないのに、なんだかやけに疲れた…。
見ているだけで疲れるくらいだから、出産した当人は疲労困憊しているのに違いなかったが、猫は表情の読み取れない顔で、淡々と新生児たちを授乳していた。
可愛い赤ちゃんに囲まれて幸せの絶頂!なのか、あるいはその逆に、あ~もうメンドくせ~、何もかもほったらかして眠りた~い!と思っているのか、判断がつかない。
動物って、ナゾだ。
出産がひと段落ついたので、私はシャワーを浴び、遅い夕食を作って食べた。
経産婦も空腹だろうと思い、口元までミルクの入った小鉢を運んであげると、懸命にぺろぺろ飲んでいた。
ドライフードもあげてみたが、こちらは食べなかった。
やはり、産後すぐに乾き物は無理だったか。
これから数日間、猫はここからあまり動かずに赤ちゃんを育てるのだろう、と私は考えた。
すると私が食事を運んだり、下の世話をしたり、身体を拭いてあげたりするのだろうか?
介護とか看病とか妊婦の世話とか、そういうのを全然やったことがないので、ちゃんと出来るかどうか、大いに不安だった。
毛皮のおかげで、床ずれの心配はなさそうだが…。
ソファーの上の母子を眺めながら、このようなことを漠然と思い悩んでいたのだが、この後の猫の行動によって、問題はあっさり解決した。
それは夜中の1時前後だった。
それまでじっと横たわっていた猫が、不意にスックと立ち上がったのだ。
お腹にくっついていた赤ちゃんたちは、バラバラと振り落とされて慌てふためく。
何事かと目をやると、猫は一瞬その場に静止して、なにか思い詰めたような、鬼気迫った目つきで窓の向こうを凝視してから、行動を開始した。
うちの猫ファーティハが窓を開けているところ。この写真撮るの、苦労しました…
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