離乳食の次は、トイレのしつけである。
これまではファーティハが子猫の下の世話をしていたが、いずれ手に負えなくなるのは目に見えている。
幼い彼らには、自力で外に出て用を足すことは不可能だから、猫トイレの使用は必須だ。
子猫のトイレのしつけは、私がもっとも頭を悩ませた命題である。
なにしろ私にはこれに関して、なんの経験も予備知識もないのだ。
猫を飼うのはファーティハが初めてだし、彼女は外でトイレを済ますので、うちには猫トイレを置いたことがなかった。
子猫のトイレのしつけをどうやればいいかなんて、さっぱり見当がつかない。
でもこれに失敗すると、家中が猫のウンチやおしっこだらけになってしまうだろう。
しかも5匹分。
そんなの、イヤだ~。
ネットで調べると、「猫のトイレの躾は比較的簡単です」とある。
比較的というのは、犬と比べてということらしい。
いろんな情報をまとめてみると、やり方はこんなかんじ:
(1) 猫トイレを用意する(専用の砂&トレー)
(2) 慣れさせるため、あらかじめ何度も猫をトイレに入れる
(3) 猫がトイレに行きたそうな兆候を見せたら(床を引っ掻くなどして)、すかさず猫トイレに連れて行く。
(4) 猫のおしっこを拭いたティッシュなどを猫トイレに入れ、「ここがトイレだ」と匂いで覚えさせる。
とりあえずトイレ用の砂をスーパー(カルフール)で買ってきた。
専用トレーは若干高かったのでやめて、代わりにダンボールとプランターを用意した。
ダンボールは一面をカットして、出入りしやすいようにした。
そして子猫たちが離乳食(=母猫のごはん)を食べ始めた頃、適当に砂を入れて廊下と居間の隅っこの2ヶ所に設置。
試みに子猫たちをつまみ上げて、この簡易猫トイレに放り込んでみると、ちょっと戸惑ってうろうろしてから、やがて熱心にザッザッと砂を堀りはじめた。
掘って掘って掘りまくり、そこら中に砂を撒き散らす。
・・・どうも不安だ。
君たちはこれを遊び場だと勘違いしていないか?
そんなある日、居間から「きゅう~!」という甲高い声が聞こえた。
行ってみると、子猫の1匹が落ち着かなげに地面を掘る仕草をしながら、切羽詰った声でしきりに鳴いている。
ファーティハは外出中だった。
おお、これがトイレの兆候に違いない。
きっと、「お母さん、トイレ、トイレ~!早くしないともれちゃう~!」と叫んでいるのだ。
私はその子を抱き上げ、ダンボールトイレに着地させた。
砂の感触がお気に召さないのか、むやみに掘り返したり、脱出しようと試みたりしたが(阻止した)、最終的にそこに小さくて可愛いウンチをコロンと出した。
子猫のトイレデビューの瞬間である。
その後、2、3匹(正確な数は不明)は猫トイレを使うことをきちんと覚えてくれたが、残りの子達は居間の隅っこでおしっこするようになってしまった。
どうも、ここを「小便所」だと決定したらしい。
これをやめさせようとして、この場所の上にプランタートイレを置いて塞いでみたら、今度は玄関の片隅にするようになった。
おかげで、家じゅう猫のおしっこの匂いがぷうう~ん。
なかなか難しいものである。
ただし子猫たちは本能的に、「絨毯やソファーの上でおしっこしちゃイケナイ」と知っているらしく(ファーティハが言い聞かせたのかもしれない)、部屋の隅っこのむき出しの石の床でしかやらなかった。
また、ウンチはほとんど猫トイレでやってくれた。
不幸中の幸いである。
ダンボールのトイレは、やがておしっこのせいでふやふやにふやけてしまったので廃棄。
よく考えれば(よく考えなくても)、ダンボールって紙でしたね・・・。
代わりに、ちゃんとしたプラスチックの猫トイレ用トレーを買ってきた。
プランターのトイレのほうは、背が高くて子猫には入りにくいため(特に緊急の場合)、誰もトイレとして使ってくれず、単なる砂場に成り果てていた。
そんなわけで、子猫のトイレのしつけは半分成功、半分失敗という結果になった。
まあ、5匹もいるんだからしょうがないですかね・・・。