先日、上京した妹と六本木に行った際、六本木ヒルズ付近の「ぶどう酒食堂さくら」という、パン屋とワインショップに併設されたレストランでランチをとった。「朝採れ三浦野菜の20品目健康サラダ付きピッツァランチ」とかいうやつにして、ハッピーアワーで多少安くなっていたスプマンテ(イタリアの発泡ワイン)をグラスで頼んだ。残念ながらメニューは撮り忘れた。
奥のスペースの窓際のゆったりしたテーブル席を選んだ。以前はこういった小洒落たお店を見ると、「こういう類の店は自分という人間に相応しくない」などと身構えて、結界が張られているかのように遠巻きにして眺めていたものだが、最近は「あら、よさそうなお店ね。どれどれ」くらいのノリで入れるようになった。おばちゃんになって肩の力が抜けたということかしら・・・
これが「朝採れ三浦野菜の20品目健康サラダ」。フレンチドレッシングらしきものがかかっていた。味付けもいいし、色もキレイ。
ナポリ風のふかふかのピザ、チーズベース。パン屋に併設されているだけあって、土台部分が焼きたてでいい匂いがする。具は「牛ほほ肉の煮込み」かなにかで、「単独でセコンド(メインディッシュ)として成立するものが細かくされてピザにのっている」という非イタリア的な印象を受けたが、味の方は申し分なかった。
スプマンテ。泡がちゃんと撮れなかった・・・
私は日本のイタリア料理店で食事をする時、いくぶん「めんどくさいヒト」になり、メニューや周りの人の食事内容を見て「これはイタリア料理として正しくない」「そのメニューの選び方は間違っている」などとケチを付けがちだ。私が悪いのではない。イタリアに長期滞在した経験が私をそうさせるのだ(ということにしておいて下さい)。
上記の食事には、ピザの具が煮込んだ肉であるというイタリアでは見られない種類のものだったことに加え、ランチとのセット価格(150円)で飲めるコーヒーがブレンドコーヒーに限定されるという問題点があった。イタリア料理店では、食後のコーヒーはエスプレッソであるべきなのだ。その上、私はハッピーアワーの値下げにつられてうっかりピザにスプマンテを合わせるという過ちを犯した。ピザにはビールと決まっているのだ。少なくとも、フィレンツェで下宿していた家の大家さん(年配の独身女性)はそう言っていた。ちなみに彼女は、ピザはマルゲリータしか食べなかった。
イタリアの食事には、他にも色々決まりごとがあり、例えば食後にカプチーノやカフェラッテなどの牛乳入りの飲み物を飲むのはよくないとされる(消化に悪いかららしい。イタリア人は消化については神経質)。上記の大家さんなどは、目の前で誰かが食後にカプチーノを飲もうもんなら、椅子の向きを変えてそっぽを向いていたくらいだ。その割に、「今日はちょっと飲みすぎたわ」とか言いつつワインを水で薄めたりしたりするあたりが腑に落ちないが。
とにかく、イタリア人は概して食に保守的で、食事に関するルールに厳しいのだ(無論人によるが)。そんなイタリアで5年過ごしたせいか、未だに明太子、納豆、味噌、醤油、しいたけ、豆腐などの和食材使った「間違ったイタリア料理」を前にすると、脳内で警戒のサイレンが鳴り響くのだが、そうは言っても彼の地を離れてからもう10年経つので、だんだん許容範囲が広がってきた。かつて宇治のお店で「抹茶カルボナーラ」という緑色の自称カルボナーラを食べた時は、「意外に美味しいけど、やっぱりこれは許せない。邪道だ」と憤ったものだが(なんで食べたん)、今はもう「間違ってるけど、美味しいからいっか」くらいの気分になっている。やはりこれもおばちゃん化のなせるわざか・・・
お店の近くの塀の上で見かけたアンパンマン。「細かいことは気にすんなよ」とウインクしているかのよう。
ぶどう酒食堂さくらの食べログ
https://tabelog.com/tokyo/A1307/A130701/13116221/dtlmenu/lunch/
(終わり)