(表題写真:2011年1月イルビッドにて、「アラブの春」が花盛りの当時に反政府デモを見に行った時に撮影)
コロナ暦元年も4月に入ったが、皆さんいかがお過ごしだろうか。
今回のテーマもヨルダンだ。(前回の記事はこちら)
新型コロナウイルスの感染拡大を止めるべく、3月21日(土)から厳しい外出禁止措置が取られているヨルダン。最初の3日間は完全に外出禁止で、買物に出かけることも出来ない状態だった。4日目には、政府の手配したバスが各地を巡回して主食のパンを運び、1世帯あたり3キロのパンを配布したが(有料、約153円)、この時の段取りが非常に悪くて、人々がバスに殺到して濃厚接触の機会となってしまった地域もあり、それが地元メディアに激しく叩かれたらしい(アルジャジーラのヨルダン特派員談)。そのせいか、翌日からは近所の食料品・生活雑貨を売る小売店に昼間徒歩で行くことが許されるようになったが、本日4月3日(金)は再び完全外出禁止になってしまった。但し、翌日の土曜日の朝10時からは、また近所の店へ買い物に行けるようになるとのことだ。家から一歩も出られないと人々の不満が高まるので、何日も続ける訳にはいかないことが政府にもわかっているのだろう。
ヨルダンのパン(ホブズ) 安くて美味しい。
外出禁止措置が始まった3月21日のヨルダンの感染者数は99人で、死者はまだ出ていなかった。ヨルダンのような経済状況や医療体制等に不安を抱えた中東の発展途上国は、先進国よりも素早く動き、先手を打ってウイルス拡散対策に取り組んでいるのだ。
4月2日(木)には感染者数が299人(前日比21人増)となり、死者数は5人に達している。海外からの帰国者と医療関係者、そしてその家族を中心にじわじわ増えてはいるが、外出禁止令が功を奏したのか、がんばって持ちこたえている印象だ。医療関係者の感染が多いのが気になるが・・・
ちなみに、ヨルダン政府は海外からの帰国者数千人を死海とアンマンのリゾートホテルに強制的に隔離し、2週間の検疫を受けさせている。死海のリゾートホテルでの検疫って、羨ましいかも・・・
そんなヨルダンの首都アンマンで主婦として暮らしている日本人の友人が、現地の様子をリアルタイムでツイッターにアップしている。飼っている亀たちや愛猫たまも時々登場し、外出禁止で厳しい状況のはずなのに、のどかさを失わないヨルダンらしい空気を伝えてくれている。
中東・アラブ・ヨルダンに興味のある方はぜひ覗いてみてほしい。
彼女のブログはこちら。彼女の目線で語られるヨルダンのエピソードは、旅行者にも在住者にも興味深い内容だ。
http://jordanseikatu.blog.fc2.com/blog-entry-731.html
イタリアやその他の欧州諸国では、外出禁止令の出ているところでも近所での犬の散歩はOKだそうだが、この友人によると、犬をペットにする習慣が基本的にないヨルダンでは、羊の散歩(放牧、ペットではない)がOKだそうだ。また、食料品の買い出しに行くのは主婦ではなく、奥さんにお使いに出されたご主人であるケースが多いとか。文化の違いが出ていて面白い。
全土で外出禁止令が出ているヨルダンの中で、他よりも厳しい封鎖措置を受けている地域がある。それはイルビッド県だ。
反骨精神の旺盛な(?)イルビッドの住民は、3月21日以降も連日結婚式が開いたりしていて、そこで集団感染が発生して問題になっている。これに業を煮やした政府が、軍を派遣してイルビッドを制圧し、他県と切り離して封鎖するに至ったのだ。
イルビッドに軍が突入した時の動画
開始から1分くらいで、「現在イルビッドの地域は軍の支配下にある。自宅からの外出は絶対に許されない」と軍が宣言しているのが聞こえる。
そして、昨日はイルビッド県ラムサでスペインからの帰国者(医師)とその家族の計7人の感染が確認され、彼らの家の周辺と思しき地域が盛大に消毒されている。
ラムサの消毒風景。ほぼ火事現場。外出禁止なのに、普通に車が行き来しているのも気にかかる。
イルビッドの皆さん、無茶しないで家で大人しくして下さいよ~
ちなみに、イルビッドはヨルダンで「北の花嫁」(アルース・シャマール)と呼ばれている。北部の風光明媚な美しい土地ということだろう。
(参考)
2020 coronavirus pandemic in Jordan
https://en.wikipedia.org/wiki/2020_coronavirus_pandemic_in_Jordan
(おまけ)
桜と猫
「なんだよ、こいつウザいな」
「ついてくんなよ」
(終わり)