外国で一時的個人的無目的に暮らすということは

猫と酒とアルジャジーラな日々

封鎖下のイタリア~フィレンツェ特派員からの便り~街頭写真

2020-03-14 12:14:11 | 新型コロナウイルス

 

今回もコロニャ(新型コロナウイルス)関連の話。

 

イタリアでのウイルス感染状況については、日本のメディアにも良く取り上げられているので、皆さんご存知だと思うが、一応概説しておく。

イタリアでは、初めに感染者が確認されたコドーニョがあるロンバルディア州を始めとする北部でのウイルス感染拡大・死者の増加が著しく、2月23日に同州とヴェネト州の計11の自治体が封鎖された。この地域を「イタリアの武漢」と呼ぶメディアもあった。封鎖後も感染拡大は止まらず、コンテ首相は3月8日、ミラノ・ヴェネツィアを含むより広い地域の封鎖を発表。しかし、発表直前にこの政令の草案がメディアに漏れたため、ミラノの住民が大挙して南部に「逃亡」する様子が見られた。この翌日の9日の夜、首相は全土での移動制限や集会の禁止、休校、飲食店の営業時間の制限(6~18時)、店内での客同士の距離を1メートル取る等の措置を発表したのだ。期限は4月3日(金)。いわゆる「封鎖」よりは緩い内容で、必要な場合は居住地域からの移動が認められている。そして11日には、さらに厳格な措置が発表され、食料品店・スーパー・薬局以外の店が閉鎖されることとなった(3月12~25日)。バールやリストランテ等の飲食店も当然閉鎖。これ以前に封鎖令が出されていた北部地域はともかく、他地域の住民はさぞ戸惑ったことだろう。

 

なお、なぜイタリアでこれほど感染が広まったかについては諸説があり、どれも決め手に欠けると思われるので、ここでは省く。初期の感染発覚・拡大の経緯については、この記事に詳しく書かれている。

https://jp.reuters.com/article/china-health-italy-paralysis-idJPKBN20Q03R

 

これまで感染が限定的だったトスカーナ州のフィレンツェ(私がかつて約5年住んだ街)でも、当然これらの措置は適用され、観光客や地元住民であふれかえっていたチェントロ・ストーリコ(市内中心部の歴史的地区)の通りが無人に近い状態になっているという。なお、トスカーナ州でも感染は次第に拡大しており、13日の発表によると、感染者数は470人(フィレンツェは101 人)、死者5人。全国での感染者数は17660人、死者数は1266人。

 

最近イタリア人の間では、感染の危険を顧みず夜遊びする若者たちや旅行等に出かける人々に対し、「感染拡大をできるだけ防いで自分や周りの人たちの身を守り、休みなく働いている医療関係者を助けよう!」という趣旨の下で、SNSでハッシュタグ「#iorestoacasa」(io resto a casa=私は家に留まる)を用いて、自宅に籠るよう互いに呼びかけるキャンペーンが起こっている。「#restateacasa」「#restiamoacasa」等のバリエーションもある。そもそも、首相が9日に発表した政令の通称名が「#iorestoacasa」だったのだ(イタリアの法律には、なぜか通称名があることが多い)。その発令直後から、政治家・著名人や一般の国民がこのハッシュタグを用いてキャンペーンを開始した。また、「#tuttoandrabene」(tutto andra' bene=何もかもよくなるだろう、全ては上手くいくだろう)というハッシュタグを用いたポジティブなキャンペーンも起こっている。

 

世界的に著名な盲目のテノール歌手、アンドレア・ボチェッリ氏も「家にいよう」運動に参加。すっかりロマンスグレーだね。

https://www.instagram.com/tv/B9hjoHoo-ej/?utm_source=ig_web_button_share_sheet

 

しかし、全土で上記の厳格な措置の実行が始まってからも、感染者数・死者数は増える一方だ。バールにもサッカー観戦にも美容院にも行けず、結婚式も葬式も出来ずに家にひたすらこ籠るような生活を、イタリア人がいつまで続けられるだろうか・・・今年のパスクア(イースター)は4月12日(日)だが、その頃イタリアはどうなっているだろう?

 

フィレンツェ在住の友人に、現地での様子を教えてほしいとお願いしたら、街で写真を撮ってきてくれたので、以下に貼っておく。ありがとう、フィレンツェ特派員さん~ 

 

フィレンツェにしては(失礼)お洒落なお菓子屋さん「DOLCI PENSIERI」(ドルチ・ペンシエーリ)(HP)の閉店の告知。

(和訳)

A seguito del decreto emanato dal president del consiglio dei ministri del 9 Marzo 2020, abbiamo deciso di chiudere fino a data da destinarsi per la vostra e nostra salute. Ora piu’ che mai ognuno di noi Puo’ FARE LA DIFFERENZA. Torneremo piu’ forti di prima. A presto! Lo staff di Dolci Pensieri

「2020年3月9日に首相が発した政令に従い、皆さんと私たちの健康のため、当面店を閉めることを決意しました。これまでのどんな時よりも、今こそ私たちそれぞれの行動が状況を変えることが出来ます。(この苦境を乗り越えることによって)以前よりも私たちは強くなれるはずです。近々また会いましょう! ドルチ・ペンシエーリのスタッフ一同」

 

もう1つは、ドゥオーモ付近の観光客向けレストランの閉店の張り紙

「コロナウイルス」とだけ書いてあって、とってもわかりやすい図だ。

 

フィレンツェがんばれ、イタリアがんばれ~ Forza Firenze, Forza Italia~

 

冒頭の写真引用元

https://www.facebook.com/fattorialacapracampa/photos/a.2078891519104453/2549132002080400/?type=3&theater

 

ちなみに、アメリカや日本のメディアでは、「イタリアでは医療崩壊のため、生き延びる確率の高い人や若者が優先的に治療を受けている」と報じられているが、これに対してイタリアの医師らが「それはフェイクニュースだ」「高齢者を治療しないで放置するということはありえない」と断言している動画等も出回っている。また、同様に日米のメディアでは、「イタリアでは感染の判定のためのテスト(イタリア語ではTAMPONEタンポーネ)を軽症者にもやりすぎ、その過程で感染が広がった」といった報道もみられるようだが、ロンバルディア州の病院内で感染が広がった経験から学んで、トスカーナ州等では病院の外にテントを設けてテストが必要な人を選別し、テストを行うべき人は専用入り口から病院内の隔離スペースに入らせる等の工夫をしている。コロニャに関しては、様々なデマが出回っているので(ダジャレ)、事実と単なる憶測、フェイクの見分けが難しい。

 

全然関係ないが、おまけとしてイタリアでよく食べられる野菜「チーマ・ディ・ラーパ」についての記事のリンクを張っておく。献立のヒントになるかも? (唐突な…)

http://noupro.jp/cima-ci-rapa-risotto?fbclid=IwAR2V8Sdnp48MNwqmivYNzfHPVU_H4qB06DoYSq0v6VT6d5lgK9Hg7zOzahU

 

 

(終わり)

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トイレットペーパーがなくても

2020-03-05 18:20:06 | 新型コロナウイルス

 

 

スーパーでトイレットペーパーを見かけなくなってから数日経つ。新型コロナウイルス(愛称コロニャちゃん←勝手につけた)に関連したデマが原因で在庫はあるということだが、そのわりには、なかなか平常状態には戻らないのだな・・・そろそろ戻りつつあるのかな?

 

私には普段消耗品の買い置きをする習慣がないのだが、たまたま新しく買い込んだ直後にこの状態になったので、幸い今のところ問題はない。

 

しかし、考えてみれば、世界にはトイレットペーパーを使わずに水で流して済ます地域がけっこう多いので、最終的には水さえあればなんとかなるのではなかろうか。(これ以降、あまり食事中に読むのに適さない話になるので、ご注意ください)

 

日本では欧州諸国等と同様水洗トイレが一般的で、ペーパーは使用後に流せるが、ソウルに旅行した時は、トイレは水洗だがペーパーは流せず、備え付けのカゴに入れるのが決まりだった。ヨルダンでも、ペーパーが流せるところと流せないところがあった。インドネシアを旅した時も、ペーパーレスのトイレに遭遇したことがある。東南・南アジアでは、ペーパーレスのトイレが一般的なのではないかと推測する(高級ホテルや空港等を除いて)。

 

ネットで見かけたタイのトイレ。ファラオ風

画像

 

中東のアラブ諸国の空港などでは、水洗トイレの脇におしりを洗うためのシャワーホースが設置され、さらにトイレットペーパーとそれを入れるためのカゴが用意されていることが多い。水シャワーでお尻をすっきりさせた後に紙で拭いて乾かせるので、私はこのタイプのトイレが好きだ。しかし、紙がなくて水だけで済ます地域も多いと思われる。

 

アブダビ空港のトイレ

 

かつてアラビア語を学ぶためダマスカスに私費留学した時、旧市街のキリスト教徒の多いバーブ・トゥーマ地区の民家に下宿したのだが、そこのトイレはしゃがんで用を足す和式タイプで、水洗ではなく桶に汲んだ水で手動で流していた。そして、トイレットペーパー代わりに新聞を四角く切ったものがカゴに入れて用意されていた。紙を便器に流すと詰まるので、別のカゴに捨て、それを大家さんが適宜まとめてゴミに出すのだ。最初にこの新聞ペーパーを見た時は笑ってしまったが、すぐに慣れた。おしりが痛くなることもなく、特に支障がなかったからだ。バーブ・トゥーマのシリア人の大家さんたちは、がめつい人が多いという評判で、うちの大家さん(年配の女性で精神疾患のある妹と2人暮らし)もご多分にもれず、世知辛い人だったので、トイレットペーパー代をケチっていたのだろう。その後に引っ越した家では、普通にトイレットペーパーが置いてあった。やはり流せなかったが。さらにその後に引っ越して一人暮らししたアパートでは、ペーパーは流せた。

 

このバーブ・シャルキー(東門)の近くに下宿していた。(ネットから借りた写真)

 

シリアの田舎の方を旅した時に(どこだったかもう覚えていない)、成り行きで民家に泊めてもらったことがあるが、案の定ペーパーはなく、桶に水を溜めて流す方式だった。トイレから出たら、そこの家の人が石鹸と水桶とタオルを持ってきてくれて、手を洗わせてくれた。石鹸で手を泡だらけにしてから、そこに水を注いでもらってすすぎ、タオルを渡されて乾かすという流れだ。アンマンのシリア難民の家庭を訪問した時も、ペーパーのないトイレに遭遇したことがあった。もしかしたら、生活費削減のためかもしれないが。

 

水圧の強いシャワーでなくて、桶に溜めた水でおしりを洗う場合、手を使わないと汚れは完全には取れない。大の時はもちろんだが、小の方でも、水だけだとアンモニア臭が残る。アラブ諸国のペーパーレス・水シャワーなしのトイレでは、左手を使って処理しているのだろう。左手は「不浄な手」なのだ。かつてイエメンの友人の知人宅で食事をご馳走になった時、左手を使わずに食べなさいと言われたのは、そういうことなのだと思う。

 

しかし、日本人としては、トイレで手を使うのには抵抗があるので、シリアなどでペーパーのないトイレに行く可能性が想定される場合は、かばんにペーパーを持ち歩き、使用後はナイロン袋に入れて持ち帰るようにしていた。使用後のペーパーをカバンに入れるのも最初は抵抗があったが、心を無にするよう努め、あまり気にしないようにした。精神修養の一環だと思えばいいのだ。

 

そんなわけで、トイレットペーパーがなくても、生活には大きな支障はないはずなのだ。でも、やっぱり手でおしりを洗うのはいやだから、なるべく早くこの騒ぎが終わってほしいな・・・

 

お口直しに、イスタンブールの猫をどうぞ~以前載せた分ですが、かわいいから再掲

 

(終わり)

 

 

 

 

 

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クルドの新年のお祭りネウロズ2020は中止

2020-03-03 04:58:33 | クルド

 

予想していた方も多いかもしれないが…

 

2020年の日本でのクルドの新年(春)のお祭り「ネウロズ」は、中止となった。

 

中止の告知があるフェイスブックのイベントページ(見出し写真もこちらのものを使用させてもらった)

https://www.facebook.com/events/502675073946549/

 

今年のネウロズは、埼玉県川口市SKIPシティB街区で3月22日(日)に開催される多文化協働プロジェクト「春を祝う」の一部として行われる予定だったが、例の新型コロナウイルスの感染拡大の恐れがあるということで、このプロジェクトの中止が決定されたそうだ。

 

まあ、ネウロズに付きものの「ハライ」と呼ばれる伝統的なダンスは、不特定多数の人と手をつなぐことが前提だしね…在日クルド人たちも、ウイルス感染を非常に恐れているという話なので、仕方がない。なにしろ、仮放免になった人や、その家族には健康保険がないのだ。それに、この状況で開催して集団感染が出てしまったら、風評被害が恐ろしい。これはクルド人に限ったことではないが。

 

そういうわけで、非常に残念だが、今年のネウロズはなくなってしまった。でも、去年のネウロズのことは記事にしてあるので、興味のある方はぜひこちらをご覧下さいませ。

 

話は逸れるが、新型コロナウイルスに関して、私はイランが心配でたまらない。イラン保健省の2日の発表によると、同国の感染者は前日より523人増加し、合計1501人に達している。死者数は計66人(前日+12人)。イランから他の中東諸国に帰国した人たちの感染も相次いで確認されている。副大統領も政府高官も感染してるし、きっとイランにはもう自力では感染拡大を止められない…

 

(関連記事)

イラン、感染1500人超、死者66人=中国以外1万人へ―新型肺炎

https://www.afpbb.com/articles/-/3271255

 

ウイルス感染に関して、イランの次に心配なのがイタリアだ。

イタリアは2日、感染者数が前日より342人増えて、合計2036人になったと発表。死者数は計52人(前日+18人)。そしてイタリア人観光客やイタリア帰りの人々の感染が世界各地で確認されている。ああ~ 感染者数では、積極的に検査を実施している韓国の方がずっと多いのだが、死者数はイタリアの方が多い(3日午前の発表で、韓国の感染者は4812人、死者28人)。イタリアの死者数の多さは、先進国として問題だろう。

 

(関連記事)イタリア、新型ウイルス感染の死者52人 感染者数2036人に増加

https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-italy-casualties-idJPKBN20P2T9

 

 

それ以外にも、シリアのイドリブ情勢や、トルコからギリシャに向かう難民の状況など、気がかりなことが満載…

 

(関連記事)シリア衝突激化で難民急増、ギリシャがトルコ国境封鎖へ

http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3919463.html

 

 

う~む、こういう時は、猫の写真でも眺めて心を落ち着けるに限るかな・・・

 

ヨルダン在住時の写真。既に載せたかもしれないが

 

ああ、子猫かわいい・・・

 

(終わり)

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新型コロナウイルス感染拡大で休校となったミラノの高校の校長からの生徒たちへのメッセージ

2020-03-01 13:49:12 | イタリア

*写真はイタリア・ロンバルディア州のジェラート屋さんの「コロナケーキ」。イタリア人ならではのユーモアと食欲のマリアージュ

 

今回、イタリア北部ロンバルディア州の学校が新型コロナウイルスの感染拡大の影響で休校となった際、同州の州都ミラノのヴォルタ理科高等学校のドメニコ・スクイッラーチェ校長が生徒たちに宛てて書いたメッセージを和訳してみた。

イタリア在住の友人にこの素晴らしい文章の存在を教えてもらい、訳してみようかどうしようか迷っている時に、その友人に「ぜひ訳してみて!」と後押しされて、重い腰を上げた。イタリアと日本では、感染をめぐる状況、政府・国民の姿勢や行動パターン等がかなり違うわけだが、共通する点も少なくないので、何かの参考になれば幸いだ。

 

(以下、上記の校長の生徒宛てのメッセージの全訳)

 

「公衆衛生裁判所は、ドイツ傭兵の集団と共にペストがミラノに入り込むことを恐れていた。この懸念が現実となったのは、周知の事実だ。ペストがミラノに留まることなくイタリアの大部分に広がり、人口を激減させたこともまた、よく知られているところである…」

 

上に引用した文章は、「許嫁」(訳註:イタリア人ならほぼ誰でも学校で読んだことがある、アレッサンドロ・マンゾーニ著の古典的な歴史小説)の第31章の冒頭部分だ。この章と次の32章は全て、1630年にミラノを襲ったペストの蔓延の記述にあてられている。これは啓蒙的かつ非常に現代的な文章であり、最近のひどい混乱の日々の中では特に、これを注意深く読むことを君たちに勧める。

その中には全てが書かれている。外国人の危険性への確信、権力を持つ機関同士の激しい衝突、最初の感染者を見つけようとする必死の試み、専門家の意見の軽視、感染を広めたと考えられる人々の追跡、デマの暴走、奇想天外な治療方法、必需品の奪い合い、公衆衛生上の緊急事態等々。

読んでいるうちに、君たちは高校の周りの道路を日々歩いていて確実に見た覚えがある名前に行き当たるだろう。ルドヴィーコ・セッターラ、アレッサンドロ・タディーノ、フェリーチェ・カザーティ等(訳註:17世紀にペストの治療に力を尽くしたミラノの医師・聖職者らの氏名。彼らの名前を取った通りが市内に存在する)。我々の高校がかつて隔離病院の建っていた場所の中心に位置していることを忘れてはいけない。

そういったわけで、上の引用文は、マンゾーニの小説というよりは、今日の新聞のページから出てきたかのように思えるのだ。

 

親愛なる生徒たちよ、「日の下に新しきものなし」と旧約聖書に書かれているように、今さら言うべきことではない気もするが、学校が閉鎖されるという事態にあたって、君たちに伝えずにはいられなくなったことがある。それはこういうことだ:

学校とは、そのリズムと習慣的行動によって、流れゆく時間の中で秩序正しく市民生活を送る姿勢を形成する教育施設だ。それゆえ、当局が強制的に学校を閉鎖することはめったになく、ごく例外的な場合に限られる。

休校が適切な措置か否かを評価するのは、私の役割ではない。私はその方面の専門家ではないし、そのふりをしようとも思わない。当局を尊重して信頼し、その指示をきちんと守るつもりだ。それとは別に、私が君たちに言いたいのは、「冷静さを保ち、集団的ヒステリーに引きずられないようにして、(必要な予防措置は取るにしても)通常の生活を続けなければいけない」ということだ。

この日々を利用して散歩をし、良書を読んでほしい。健康上の問題がないのに、家に閉じこもる必要はどこにもない。スーパーや薬局に殺到する必要も全くない。マスクは病人だけに役立つものだ。彼らのために残しておきなさい。

伝染病が世界の端から端まで伝わる速度は、我々の時代の産物だ。それを止めることができる壁は存在しない。数世紀前にも同じことが起こっていたのだ。ただ、速度が少しゆっくりだっただけ。

今回のような事態において、最も危険なことの一つは、社会生活や人間関係が毒され、野蛮なものと化すことだ。これはマンゾーニが、そしておそらくそれ以上にボッカチオが、我々に教えてくれていることだ。

目に見えない敵に脅かされていると人が感じる時、先祖代々受け継がれた本能によって、周り中が敵に見えるもの。危険なのは、あらゆる人間を「攻撃してくる可能性がある相手」として、自分を脅かす存在と見なすことだ。

14世紀と17世紀のペスト蔓延の時に比べ、我々には現代医学という味方がある。医学の進歩、その確実さは馬鹿にできない。これは本当のことだ。我々が持つ最も貴重な財産、すなわち社会組織や人間性を保つため、論理的に物事を考えよう。現代医学は論理的思考の産物なのだ。

もしそれが出来なければ、我々は本当に「ペスト」に打ち負かされてしまうだろう。


早く学校で君たちに再会できる日を待ち望みつつ

ドメニコ・スクイッラーチェ

 

(終わり)

 

<引用元の記事>
https://www.corriere.it/scuola/secondaria/20_febbraio_26/coronavirus-cari-ragazzi-leggete-manzoni-boccaccio-non-fatevi-trascinare-delirio-59cd3726-5869-11ea-8e3a-a0c8564bd6c7.shtml?fbclid=IwAR3rFCiR1TBm1VVYgQQrMs0fLx8KTnaWb2BT5Uuyll5tQmtgukxPTOZd8LQ

https://milano.repubblica.it/cronaca/2020/02/26/foto/coronavirus_torta_corona_cake_casalamaggiore_cremona-249640005/1/?ref=fbpr&fbclid=IwAR06Ldxc5wp_ZlIKiZW57XoqZRHn4_xvYBgYUdkyf5tz6xm4v-dmZJs3b5E#1

 

*このブログ以前に、同じ文章を和訳された方がいるのは知っているが、私は自分なりのやり方で別途訳しており、そちらとは無関係なので、念のため。

**見出し写真の「コロナケーキ」は、一見不味そうだが、中身はミルク系のジェラートとラズベリーのジェラートで出来ていて、トッピングはチョコレートなので、普通に美味しいと思われる。

(終わり)

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