ミーロの日記

日々の出来事をつれづれなるままに書き綴っています。

引っ越し

2018-09-27 16:45:43 | 介護
お姑さんの高齢者住宅への引っ越しが近づいてきた。

持って行く荷物をまとめる為に義理の姉たちが来てくれている。

父が施設に入る時には妹と二人で荷物をまとめたが、今回は義姉たちがやってくれるので、私は片付けに関してはノータッチで楽をさせてもらっている。

「手伝わずにすみませんね~」と義姉たちに謝ったら「な~んもいいの。こちらこそ騒々しくてごめんね。おばあちゃんとバトルする声がうるさいかもしれないけど許してね」と言ってくれた。

義姉たちは、この機会にお姑さんの持ち物を整理しようとしてくれていた。

多分ほとんどのものは処分することになるのだが、コップ一つ捨てることを許さないお姑さんなので、果たして義姉たちは、どうやって片付けるのだろうか・・・

やはり、ここは嫁の出る幕はなく実の娘たちにおまかせした方が良いと静観を決め込んだ。

すると早速、お姑さんの部屋からお姑さんの叫び声が響いてきた。

「それ捨てるってかい?だめだよ。まだ使えるんだから!新しいんだからね!」

それに対して、いつも静かでおとなしい二番目の義姉が、お姑さんを諭しているような声が聞こえた。

二番目の義姉は優しいので、お姑さんの意見を聞いてからと思っているのだろう。

ところがお姑さんと二番目の義姉の声を遮るように、いつも元気で活発な一番上の義姉の声が聞こえてきた。

「ダメだよ。おばあちゃんの意見なんて聞いていたら、どうせ全部捨てないって言うんだから。
無視!無視!完全無視!!」

お姑さんと義姉たちの会話を聞いていたら、申し訳ないけれど面白くて笑ってしまった。

夫の実家の家族は仲が良いので、実の娘ならば叱られようが、無視されようが、お姑さんにはなんのこだわりもないのだろう。

姉たちがいてくれて、ほんとによかったと思う。

というわけで、一番上の義姉の主導権のもと片づけは着々と進んでいるようだった。

そんな様子を聞きながら、もしも母が生きていて私と妹が片づけをするとしたら、一体どんな感じだっただろうかと想像していた。

私が成人式で着る振袖がほしいと言ったら「猫も杓子もみんな同じ格好(振袖)をして行くなんて馬鹿げている。あなたはジーンズとシャツで行きなさい。そっちの方が目立ってカッコいいと思うけどなぁ」なんてことを言う母だったので、もしかしたら「捨てていいよ。もうどんどん捨てちゃって」と言っていただろうか。

いやいや、自分の高校の制服まで取ってあったくらいだから「絶対に捨てない!」と抵抗していただろうか。

な~んてね・・・それにしてもお姑さんと暮らした13年間は過ぎてみれば、あっという間だった。

同居が解消されるにあたって、施設へ行ってもまだ介護は終わったわけではないが、それでもホッとしている自分がいる。

本当は・・・

実の母が今の私よりも若くして亡くなっているので、夫と結婚して義理だけれど母ができたこと、最初は嬉しかったんだよね。

ずっと前からお姑さんのことを知っていたような気がして、「これはもしかして前世で本当のお母さんだったのかも」なんてことまで思うほどだった。

一緒に暮らす前から多少の行き違いを感じたこともあったが、それよりもお姑さんと仲良くしたいという気持ちの方が強かった。

だから同居して不安はあったけれど、「仲良くやって行こう、もしも可能ならば二人で旅行も行きたい」と思ったこともあった。

でも、やはり難しいことの方が多かった。

それは当たり前だ。

長い間、自分の考えで家を回して来た他人同士の二人の主婦が一緒に暮らすのだから、それは摩擦がない方が珍しいと思う。

でも、お姑さんはどう思っているのかは知らないが、私はお姑さんのことが嫌いではない。

盗人呼ばわりされて怒り心頭になったことも数々あれど、心底嫌いにはなれなかった。

お姑さんは我は強いが、悪い人ではない。
というか、情に厚くて面倒見が良い。
きっと、どんな人からも「いい人」と思われているに違いない。

女子力がめちゃくちゃ高いのが私と違う所で、それが悪い方に出ると嫌だなぁと思うこともあったが、そんな事もすでに今は良い思い出になっている。

お姑さんだって、私に対する不満がいっぱいあったことだろうからお互い様だ。

それにしても、この13年間、本当に良い勉強をさせて頂いたと思う。

「人生に起きることに無駄は無い」というのは真実だなぁと心から思う。

ところで義姉たちが帰った後、お姑さんに呼ばれた。

部屋に行ってみると、お姑さんの手には、きれいに刺繍がほどこされた着物の帯が何本もあった。

どうやら義姉に見つからないように隠していたらしい。

「これ、あげるから。娘たちに見つかると持って行ってしまうから、お母さんがもらってちょうだい」と言われた。

私は着物は着ないのだが、帯はインテリアとして使うのでありがたく頂くことにした。

帯を私にあげるという事、とても嬉しかった。

引っ越しの日まであと数日となった。

もしもお姑さんが施設に入ることを嫌がっていたら、私の心の奥が痛くて仕方がなかったと思うが、そうではなくなったことで笑顔でお姑さんを送り出せるような気がしている。

このような流れになったこと、本当にいろいろなことに感謝しかない。







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