クジラは海の中で声を出して、仲間とコミュニケーションをとっているそうだ。
普通のクジラの声の高さは10〜39Hz。
ところが中には52Hzという高音のクジラがいる。
このクジラの声はあまりにも高音のため、他のクジラたちには聴こえないのだそうだ。
だから52Hzで歌うクジラは、世界一孤独なクジラと言われている。
声を上げ続けても受けとめてくれる仲間がいないから。
「52ヘルツのクジラたち」を読んだ。
本より先に映画を知ったが、虐待という重たいテーマが観たいという気持ちにどうしてもならなかった。
ところが本を読んだ夫から「すごく面白かった」と感想を聞いて「どれどれ」と手に取ったら、読みやすさと面白さで一気に本の世界へ引き込まれてしまった。
ここではあらすじは書かないが、虐待という重たいテーマではあるが、その中にも微かな希望や暖かさがある物語で良かった。
次は映画を観ようかなと思っている。
それにしても児童虐待の報道が増えている昨今、この物語のように周りに寄り添ってくれる人がいるとは限らず、むしろ誰にも知られず虐待に苦しんでいる人が多いのだろうと思うととても辛い。
また虐待ではなくとも、52Hzで歌うクジラのように声を上げても誰一人受けとめてくれる人もなく、孤独を感じている人も多いのかもしれない。
あまりにも大きなテーマなので、なかなか解決策は見つからないが、重たいテーマのものは見たくないと私のように目を逸らさず、本当は一人一人が目を開いて現実を見なければ、解決につながっていかないのだろうなと思う。
ところで本といえば、子どもの頃は漫画本にも夢中になっていたのだが、当時よく読んでいた二人の漫画家さんの展覧会へ行ってきた。
お二人とも北海道出身で同い年だそう。
漫画家デビューする前の高校時代から交流があったということで、今回の展覧会が実現したそうだ。
少女漫画の巨匠とも言われる大和和紀さんと山岸凉子さんの二人展はお二人の代表作、あさきゆめみし(大和和紀さん)と日出処の天子(山岸凉子さん)の原画が多数展示されていた。
「あさきゆめみし」が平安時代の源氏物語がテーマで、「日出処の天子」が飛鳥時代で聖徳太子をモデルに描いているが、物語がとても面白い。
そして、とにかく両方とも絵がうっとりするほど美しい。
細かな部分まで美しく描かれていて、一枚一枚じっくりと見たかったが、会場は人が多くて、後ろにも待っている方がいたのであまりゆっくりできなかったのが少し残念だったかも、、、
こんなに混んでいるとは思っていなかったので、会場の入り口は平日にも関わらず長い列ができていて驚いた。
初日のトークショーを始め、展覧会には全国からファンが駆けつけているようだ。
見に来ている方々は同世代の女性ばかりだったが、同じ時代に同じ少女漫画に夢中になっていたのだなぁと思ったら、なんだかとても親近感を感じた。
そして久しぶりにまた漫画が読みたくなってしまった。
やっぱり本はいいな〜