昨日の日曜日は、転んだ直後で、転んだ現実を受け止めるのが精一杯でして、一晩たった今日は転んだあとが青あざになっているという段階かな。
青あざがだんだん、赤に変わり黄色になり、最後には普通の肌色に戻るのです。
とにかく、沈んだら浮かなきゃ・・・と思いつつも、今日1日は、J-Waveからフランス語の歌が流れてくると「なんか聴きたくない」と思ったりして。
昨日のトラウマです。(汗)
さて、トラウマになるまでの過程です。
9時50分までに受付を済ませてください、と受験票にあったので9時35分ごろに横浜日仏へ。受験票と免許証を提示し「時間がくるまで(つまり50分になるまで)お待ちください」と言われました。
ソファーに座り、パンフレットなどを手に取りながら50分になるのを待ちました。
トイレに行ったら、準備講座と担当してくださったナタリー先生にお会いし、先生は「リラックスしてね。フランス語はあなたにとって母国語ではないのだから間違えて当たりまえ。でもとにかくしゃべってしゃべって」とアドバイスを受けました。
さらに「面接官のエヴァはソフトな感じだし、ティボーは親しみやすい性格なのでなにも恐れることはないわ」と。
さ、50分です。
受付の人に呼ばれ、「まずはこれをお読みください」とDELF口述試験の進め方がフランス語で(当たり前だけど)書かれた紙を差し出されました。
そこには、「くじ引きで2つの題材を選んでください。2つのうち1つの記事について、問題点はどこにあるのかのべてください」的なことが書かれていました。つぎにA5サイズの白い紙(裏側にはお題となる記事が印刷されている)を10枚ぐらい(あくまで”ぐらい”)提示され2つ選びました。
別室へ移動し、口述試験のための準備時間がスタートです。
2つの記事を読み、取り組みやすいほうを選び取り組むわけです。
タイトルをざっと読んだところ、1つ目のタイトルにはdiscriminationという言葉が含まれていました。「差別」です。もうひとつのタイトルは教育問題。collège(中学校)とかlycée(高校)といったdiscriminationよりはとっつきやすい言葉があったので、迷わずこちらを選択。
DELFの準備講座でナタリー先生がおっしゃっていました。
「記事を選ぶときは、もう直感で!」と。それに従ったわけです。
記事の内容は「フランスの中学生や高校生は、北欧の国の学生よりも授業時間が長い。北欧の国々といえばOECDによって行われた学力試験PISAで好成績を収めていることで知られている。OECD教育担当大臣のナントカさんは、"フランスはもっと違う方法に授業時間を使うべきである、他国ではその方法をとることで効果を挙げている」ようなことが書かれていました。
この違う方法といのが具体的に言葉でかかれていたのです。
soutien scolaire systematiqueだって。これがうまく理解できなかったことで全体が把握仕切れず、自分の理論を展開するための準備が全くの不十分なまま、時間がやってまいりました。
試験官の一人エヴァさんは、筆記のときにの試験官でもあり、そのときに「ずいぶん無表情な人だなぁ。声も小さいし」と思ったのです。そして口述試験のときもその印象は変わりませんでした。
まず「受験票と身分証明書を提示してください」と言われ、それが済んで、エヴァさんが「あなたはどの記事を選びましたか」と質問されたのですが、私は、判で押したように「私は○○○○というタイトルの記事を選びました」と話し始めたら「何番の記事ですか?」とさえぎられました。
「じゅ、十番の記事です」と答えたところから、私のカタストロフヒストリーの始まりです。
「この記事は、フランスの学生は北欧の学生よりもたくさん勉強している、15歳では131時間も多く、12歳から14歳の子供では1日あたり1時間45分多く勉強している、北欧の国の学生はPISAの試験でよい成績をあげている、と言っている」とスタートしました。
準備講座でナタリー先生が「記事の中で扱われている数字は、口述に盛り込んだほうがいい」とアドバイスしてくれたからです。
その後「OECDの何とかさん(当然、試験時には名前を言いましたけど)は、フランスに対して、もっと違う方法で授業時間を使うべきだと提言している」
そしてここからが出たとこ勝負!
「私にとってこの記事はとても興味深いです」
はい、ここからがカタストロフの本番です。
「日本でもPISAの試験のことは数多く語られています。日本はこのテストでよい成績を収められていません。それは文科省が推し進めてきたゆとり教育のせいだと思います。ゆとり教育とは、授業時間をすくなくすることです。小学校高学年の算数の時間には電卓を使うことも許されるようになりました。このせいで子供の基礎学力が低下しました。政府はゆとり教育を撤回し、授業時間を増やし、2年後からは小学校でも英語が必須になります」などなど、もうめちゃくちゃに話しをしました。
さらに「ゆとり教育は教師の資質も問題で、教師によってはゆとり教育を十分に実践できていない」などとえらそうなことを、貧困なフランス語で語ったわけです。
エヴァさんは「なに言ってんの?この人」てきな表情。眉間にしわです(涙)
もう自分がしどろもどろになっていくのが分かるのです。
ティボー先生が「なぜ、電卓を使ってはいけないのですか」と質問してきました。
「計算というのは、基礎的な能力だからです」と言いたいのですが、その基礎的能力がうまく言えない。
baseという単語は浮かんだのですが。
とにかくそんなこんなで20分が過ぎました。
そして、題材となる記事が印刷された2枚の紙、準備時間にメモとして使った紙も回収されました。(メモも採点の対象になるのか!?そんなの聞いてないよ!)
そして悪夢は終わりました。
椅子から立ち上がりながら「カタストロフ」とつぶやいたら、ティボー先生が薄笑いを浮かべました。
いやいや、本当に惨憺たる結果。
横浜日仏から関内駅まで虚ろな気分で歩き、高島屋のバーゲンも色あせて見え、横浜駅のホームでは立っているのがやっとでした。(笑)
夜、友達に電話して顛末を話したら「いままで、すらすら来すぎたから、挫折や失敗に慣れてないんだね。まだまだだね。」と言われ「今回は厄落としのつもりでいれば。どうせ次も受けるんでしょ」と励まされました。
少し気持ちが上向きになった感じ。
ここまで読み進んでくださった皆様、本当にありがとうございます。
また秋に向けてがんばります。
もちろん、今回の試験の結果は出ていませんが、99%不合格でしょう。
さて、横浜日仏では、DELFの秋試験に向けての準備講座も開催します。
講師のうちのお一人がエヴァ先生
エヴァ先生の無表情ではない表情も拝見したいのですが・・・
受講するかどうかは未定です。