鼎子堂(Teishi-Do)

三毛猫堂 改め 『鼎子堂(ていしどう)』に屋号を変更しました。

『ぼっちゃま』~千代さんの謎?

2011-05-22 21:15:50 | Weblog
昼過ぎから、曇りだし、雨が降り出す。

昨日は、15時から歯科医院、19時から渋谷のパルコ劇場へ『ぼっちゃま』を観劇に。
昼間は、もう夏になったような暑さだけれど、日付が変わる頃は、風が心地よく、いつまででも、風に吹かれていたいような爽やかさ・・・でも、放射線はダダモレなんだよな~。

さて、『ぼっちゃま』。
劇場は、9割以上は、女性客。稲垣吾郎さんのファンの方々とみた。

太平洋戦争後・・・昭和の中期。
井上家の長男の幸一郎ぼっちゃまは、乳母の千代さん(白石加代子さん)とレトロな二階建ての家屋に二人暮らし。裏には、土蔵、となりには、小さなアパートを所有しているが、戦後の農地改革で、土地は、没収され、土蔵に残された父親の家宝のお茶碗類を売りながら、アパートの家賃収入で生活しているらしく、ぼっちゃま自身は、定職ついていないようだ。
このぼっちゃまには、姉妹と弟がいて、全員母親が違うらしい。
ぼっちゃまは、資産家の井上家の長男で、正妻のひとり息子らしい。

ぼっちゃまに残された資産をめぐり、姉妹の連れ合い、銀行員をやめた弟は、ドタバタを繰り返す。

ぼっちゃまには、愛する女性タキコさん(高田聖子さん)がいるけれど、女道楽と酒は、やめられない。

ぼっちゃまは、この世には、生きにくい・・・乳母の千代さんは、笑いながらそういう。
普通のひとは、面倒なことに巻き込まれたくないから、自分の願望を諦める。
ぼっちゃまには、それが出来ない。常に、相反するアンヴィバレンツな感情が彼を支配する。

『結局、僕は、バカなんだね・・・!』

普通だったら、どうしようもない人間を、稲垣吾郎さんが演じると爽やかだ。
白い紗の着流しがとてもよく似合う(レトロな明治時代の書生スタイルや燕尾服なんか着せたいと思う。古典的な美男子なのだろう)

この物語で、ぼっちゃまを支える乳母の千代さんの素性は、一切明かされていない。
父親の愛人だったのか、或いは、ぼっちゃまの実母なのか・・・特別な事情があるのか、それともダタの使用人なのか・・・。そのあたりの事情が最後まで、明かされなかったのは、観客に消化不良を与える感じは、否めない。
千代さんの正体が知りたい。

ぼっちゃまと千代さんの会話は、常に敬語で交わされ、奥ゆかしい昔の日本が再現されているようで、これは、とても美しく心地よい。

ピアノの生演奏も美しい。
少し古い時代の、懐かしい雰囲気。

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