♪ せつなくも 病友 （ とも ） を見送る 霜夜かな

午後６時半、名張市がん相談室サポーターの会のＳ氏が迎えに来てくださって、夜の葬祭場に行く。
２年前からがん相談室のサポートをしてくださった美代さんが、膵臓がんで卒然と逝かれたのだ。

５９歳。物静かで優しいひとだった。

卵巣がん、肝臓がんとともに、【 silent- killer ＝ 姿なき殺人者 】 と呼ばれる膵臓がん。
「９月の時点で広野さんに相談してたら、なんとかなったかもしれん…」とＳ氏が暗い声で呟いておられる。

ん～。
なんとか、なったかなぁ？
より良い選択肢が、あったかなぁ？

少なくとも、心豊かで安らかな死生観を持っていただくお手伝いは出来たかもしれない…、とは思う。

去る日、高校時代の友人たちと伊勢志摩にお泊り旅を楽しんだ。
帰途、「おかげ横丁」に立ち寄り、真珠のミキモトでお数珠を買った。

冷え込む霜夜。
併せた両手に鈍い光を放つお数珠は、せつないなぁ。