私の記憶が正しければ、単行本一冊に、たばこのシーンは6か所だけでした。
少な過ぎかも知れませんが、「1Q84 Book3」では「これでもか!」ぐらいに増えます。
49ページ 「煙草を吸ってかまいませんでしょうか」と牛河は尋ねた。「どうぞ」と天吾は言った。そしてガラスの重い灰皿を彼の方に押しやった。牛河は上着のポケットからセブンスターの箱を取り出し、口にくわえ、金のライターで火をつけた。ほっそりとした高価そうなライターだった。
50ページ 牛河は煙を立ち上がらせる煙草を指に挟んだまま、目を細め天吾の顔を見ていた。「といいますと?」
「なるほど」と牛河は言った。そして煙を肺にたっぷりと吸い込み、いかにもうまそうに吐き出した。
51ページ 牛河は何度かうなずき、二口吸っただけの煙草を灰皿の中で惜しそうに揉み消した。「けっこうです。ご意向よくわかりました。川奈さんのご意思を尊重したいと思います。こちらこそお時間を取らせました。残念ですが、今日のところはあきらめて引き上げます。」
148ページ 一流のホテルらしく、隅々にまで気が配られている。食べ終わったルームサービスの食器がそのまま長くドアの前に放置されているようなことがない。エレベーターの前の灰皿には吸い殻一つない。花瓶に盛られた花はついさっき切られたばかりという新鮮な匂いを放っている。
318ページ 「我々の教団にはそれほど厳しい戒律があるわけではありません。酒と煙草は一応禁止されています。性的なものごとについての禁制もある程度あります。しかし食べ物については比較的自由です。普段は質素なものしか口にしませんが、コーヒーもハムサンド・イッチのとくに禁じられてはいません」
470ページ フェイ・ダナウェイならおそらく、ここで細身のタバコを取り出して、その先端にライターでクールに火をつけるところだろう。優雅に目を細めて。しかし青豆は煙草を吸わないし、煙草もライターも持ち合わせていなかった。彼女のバックの中にあるのはレモン味の咳止めドロップぐらいだ。それにプラス、鋼鉄製の九ミリ自動拳銃、これまで何人かの男たちの首の後ろに打ち込まれてきた特製のアイスピック。どちらも煙草より致死的かもしれない。