田辺寄席の提灯・・・ノボリもあって、初めての人にも遠くから見える。
田辺寄席に、にぎやか都んぼさんと、しっとり千朝師匠の登場。
前座が二乗さんで、中トリが文太師匠となれば、
じっくりたっぷりの落語会になるのは間違いなしですな。
上方芸能の最新号が地域寄席特集で、新たなお客様が増えたのか、
それとも、千朝師匠の本格的落語に期待の方なのか、200人強の大入満員。
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開口〇番・・・・・・・・「な」・・ナショナル・キッド
昔の、初期のテレビの話。
七色仮面、少年ジェット、海底人・ハヤブサ、怪傑ハリマオ、月光仮面
鉄腕アトム、などすべての作品が、今から思えば子供騙しですが、
結構大人も、そんなもんだと、楽しんでいたんですな。
ごまめからの追加ですが、海外のドラマも、沢山ありましたな、
ベンケーシー、サンセット77、ルート66、サーフサイド6、
ララミー牧場、コンバット、アンタッチャブル、ドクターキルデア、
そしてローハイド・・・すべて、テーマ音楽と共にかっこ良かったですな。
一、桂二乗・・・・・・・・・・・・・「ふぐ鍋」
ふぐ料理屋で、アルバイトの経験がある二乗さん、
その時、毎日来る上顧客であったヤーさんとの話をマクラに。
「ふぐ鍋」は、米二さんの弟子らしくきっちりと、
お互い、牽制しながら食べるところも
漫画チックに、誇張することもなく素直に演じる。
前座の位置で、この様な噺が聴けると、落語会全体がの質が上がりますな。
「阿弥陀池」、「道具屋」、「牛ほめ」、「七度狐」に続いての「ふぐ鍋」
どのネタも、基本に忠実で、噺自体の面白味が伝わる。
私は、この様な、噺家さんが、好きですな・・・。
二、桂千朝・・・・・・・・・・・・・「稲荷俥」
高津神社裏の、高倉稲荷さんから、産湯稲荷まで、人力車に客が乗る。
狐自身は登場しないが、最後まで狐に騙されているようで、
どんでん返しが有る様な、無い様な、暗闇と長屋の明かりが対照的な
ファンタジーな噺ですな。
昔は、「狐が憑いた」とか、お天気さんの雨を、「狐の嫁入り」とかの言葉があるように。
狐、狸は、日常生活の、ほん近くにあったんですな。
客はいたって紳士で、ほんイタズラ心で狐の使いと、車夫を騙したが、
千朝さんの演じる「稲荷俥」、あくまで、善人どうしがおこした、この日の出来事
このお二人の出逢いこそが狐のご利益みたいな、ええ噺に聴こえましたで。
サゲの、「穴があったら入りたい、・・・めっそうな」
「お社をつくって、おまつりいたしますがな」
まあ、このあとすぐに、この長屋に、
お稲荷さんの小さなお社が出来た様な気がしますな。
三、桂文太・・・・・・・・・・・・・「猫の災難」
文太さんの噺、あまり酒飲みのイメージはないが、実に上手い。
どんどん呑んでいき、「酒は飲め、飲め、飲むならば・・・・」と、黒田節が何度も現れる。
途中、近所の女子をからかうのも、これまたおもしろい。
芸人さん、呑ませて、遠慮なしに好きなこと言わせたら、
さぞかし、おもしろいでしゃろな。
文太さんのレパートリーに「一人酒盛」、はあるんでしょうか。
あるのであれば、田辺寄席に通えば、いつか出会えましゃろ。
5月2日の高津の富亭は、「親子酒」でおます。
文太師匠の、酔いっぷりを見に行かなければ・・・ですな。
四、桂都んぼ・・・・・・・・・・・「おごろもち盗人」
今年の、八月に、四代目米紫を襲名する、都んぼさん。
最近出た、上方落語家名鑑の第二版に載っていたが、
「そろそろ、自然体の芸にしていきたいと、
米紫襲名が良きタイミングになるような・・・」
そういえば、去年の5月に聴いた時より、
得意のソロバンでも、笑いは少なく、
(若い女の子が多い客席では、大いにうけていたが)
今日の、盗人は、ちょっとアクがとれたような、
主人と嫁さんの掛け合いも上品で、
かつての、都んぼさんのパワフル感は薄かったように、感じた。
都んぼさんが目指す、自然体の落語とはいかなるものか、興味ありますな。
五、桂千朝・・・・・・・・・・・・・「蔵丁稚」
よろしいなぁ。
千朝さんの定吉、それほど、丁稚、丁稚していないが、
蔵の中であれほど、「忠臣蔵の四段目」を語るなら、しっかりしていなければ。
主人の誘導尋問に子供だから引っかかったのではなく、
主の芝居への無知さに、思わず喋ってしまったので、本来は頭の良い丁稚さんですな。
品があり、語り口といい、この「蔵丁稚」、今までは、宗助さんと吉坊さんが双璧でしたが、
ここに、千朝さんが加わり、三人、甲乙つけがたくなりましたな。
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吉報でおます。
田辺寄席の現会場での継続が、決まったそうです。
大阪市の経費節減の取組とかで、東淀川との統合案があり、
現、阿倍野青年センターでの開催が危ぶられていましたが、
代表の大久保さんを筆頭に、世話人役の皆さんのご努力により、
会館の名称は替えながらも、四月以降も
現会場で伝等ある「田辺寄席」の継続が決まりました。
心から喜ばしい事です。
地域寄席の老舗、「田辺寄席」、更に、50年、1000回と
一ファンとしても、見届けんとあきまへんな・・・・・・・。
第522回・田辺寄席
2010年2月20日(土)午後13;30開演
大阪市立阿倍野青年センター
一、桂二乗・・・・・・・・・・・・・「ふぐ鍋」
二、桂千朝・・・・・・・・・・・・・「稲荷俥」
三、桂文太・・・・・・・・・・・・・「猫の災難」
仲入り
四、桂都んぼ・・・・・・・・・・・「おごろもち盗人」
五、桂千朝・・・・・・・・・・・・・「蔵丁稚」
10-10-42