ごまめ~の~いちょかみ・Ⅱ

趣味(落語と本)の話と大好きなうどんを中心に、ごまめになってもいちょかみで幅広くお届け

えーえんとくちから~笹井宏之

2019-05-15 05:06:06 | 本の少し
 ☆☆☆

透明感のある短歌。
情景はなくて、魂のみの世界、
それでいて、情念ではなく、透きとっている。

音楽を愛し、それはドビュッシーのピアノ曲を彷彿させる。
今、CLAUDE HELFFER の演奏で聴きながら、書き進めております。

例によって、気になった短歌を

この森で軍手を売って暮らしたい まちがえて図書館を建てたい
「はなびら」と点字をなぞる ああ、 これは桜の可能性が大きい
この星に消灯時間がおとずれるときも手を繋いでいましょうね
からだはいのちがひとつ入ってて水と食事を求めたりする
切れやすい糸でむすんでおきましょう いつかくるさようならのために
ゆっくり上がっていってかまいません くれない色をして待っています
ゆびさきのきれいなひとにふれられて名前をなくす花びらがある
今夜から月がふたつになるような気がしませんか 気がしませんか
ばらばらですきなものばかりありすぎてああいっそぜんぶのみこんでしまいたい
左手に携帯電話ひらく朝 誰よりも早い君のおはよう
わたくしは水と炭素と少々の存在で生きております
ゆっくりと国旗を脱いだあなたからほどよい夏の香りがします
コンビニのどこかで雨が降っている 音楽を消してもらえますか
それはもう「またね」も聞こえないくらい雨が降ってます ドアが閉まります
猫に降る雪がやんだら帰ろうか 肌色うすい手を握りあう
一生に一度ひらくという窓のむこう あなたは靴をそろえる
それは世界中のデッキチェアがたたまれてしまうほどのあかるさでした
コメント
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