噺家の卵 煮ても焼いても: 落語キッチンへようこそ! (単行本) | |
クリエーター情報なし | |
筑摩書房 |
☆☆☆☆
柳家さん喬さんのサイン本。
今、東西で一番感動を生む噺家、さん喬さん。
そのさん喬さんの本、あまり難しい落語論ではなく、弟子たちの距離感とか、
生い立ちから現在までを追いながら、落語への思いを高座のごとく、
軽く淡々とおはなしになる。
芸術論的に書かれているとこで、気になったところ、
師匠の小さんさんがよく言っていた言葉に「芸は守・破・離だぞ」と
守るというのは、教わったものを素直に自分の中に入れてやってみること。
破るというのは、そこに何か自分で見つけたものを付け加えてみること。
離れるとは、教えてくれた先輩や師匠とは全然違う形を作り上げること、だと。
破は誰でもできる、この離ができないんです。人のおもしろいところを集めた
ても、ただの寄せ集め。すべて、元の、守・基本がきっちりしてなければ、
離れることができませんから、うわべだけの芸は、底の浅いものだと・・・。
もうひとつ、「芸人は上手も下手もなかりけり、行く先々の水に合わねば」
「その土地の人々のニーズに合わせる。自分の芸をお客様に押しつけないこと」
これが、なかなか難しい。
ご自分の芸をもちながら、そのなかでお客様に合わせる、芸の幅をもつ、
個性とは相反するもののような、難しい命題ですな・・・・。
本当の「うまい」、「上手い、巧い、美味い、旨い」・・・・
しかし、食べる側、聴く側、観る側、を忘れては「うまいもの」は提供できない。
一流シェフとも言える、さん喬さんの思い。
でも、今、さん喬さんがくりだす落語は、五つ星で、
是非、御賞味あれでおます。
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