『バカ息子からおかんへ』
恩返しなんて おれにはできひん
もらったもんが 大きすぎるから
恩返しなんて おれにはできひん
でも
悲しませることは もうせえへん
もうせえへんよ おかん
『 誕生日 』
小さいころは いつも手を引いてもらったのに
いつのまにか その手を拒み 避けてきた
「産んでくれなんて 頼んでない」
勢い余って そう言ったとき 泣き崩れた母
きょうは わたしの誕生日
それは あなたが母になった誕生日
産んでくれなんて 頼まなかった
わたしが自分で
あなたを親に選んで 生れてきたんだよね
おかあさん 産んでくれてありがとう
この2つの詩は「奈良少年刑務所詩集」に
おさめられていた詩です。
この詩集の大部分が、お母さんの詩です。
少年達の詩を読みながら、母親とはなんだろうと
考えずにはいられませんでした。
田口ランディさんが、初めてイスキアを訪れ
初女さんを前にした時「私の兄は、我死して
いるんです」
それが、田口さんの口から飛び出してきた言葉だった
そうです。
「ひきこもったまま、食べずに死んでしまったんです。
父親はアルコール依存症で、私は家を早く出て
母はもう亡くなりました。
だから私は娘に伝えるような家庭の味というものが
わからないし、料理も苦手です。」と言うと
初女さんは、しばらく私の顔をじっと見つめていたが、
表情も変えずに「だったら、私の娘におなりなさい」と
言われ、明日から一緒にごはんを作りましょうと、
翌朝 早くから一緒にご飯を作ったそうです。
今回の初女さんとランディさんの対談が決まり、
ランディさんにお会いした時、「私、出来の悪い
初女さんの娘なんです。」と、嬉しそうに言っていた
ランディさんの顔が、少年たちに詩を読みながら
浮かんできました。
母の愛の深さを感じます。
11月24日、初女先生とランディさんの
「深き森の語らい」は、どんな対話となるでしょう
今から、わくわくします。