暑かった一日が去り、夕方の風を感じる時
それだけで、今日はいい日だったと思えるのは
昨日読んだ本のせいだろうか…
私は、指談を目の前で見てから、言葉というものは
学習によって習得するものではなく、生まれた時に
体の中にそなわっていると思うようになりました。
「約束の大地」という本に出会い、その思いは
確信となったのです。
この本の詩を書いた、みそろぎ梨穂さんは
生後、脳に酸素がいかない状況になり
最重度の脳障がい児になったのです。
体を動かすことも、しゃべることも出来ない
梨穂さんが、国学院大学の柴田先生との出会いに
より、意思さえ持っていないと思われた、
梨穂さんの言葉が紡ぎ出されたのです。
梨穂さんが言葉にすることが出来ず、梨穂さんの
心の中に書き記されていた詩が、表に出ることが
出来たのです。
この詩集が、私の重い心に風を運んでで来て
くれました。
『 大好きな自分
私は自分のことが大好きだよ
小さい頃は好きになれなかったけど
今になって自分を愛せるようになった
簡単な事かもしれないけれど
私にとってはとても重要
体が動かなくても
意思がないと思われても
今 自分は幸せ
そんな自分が嬉しくて大好き
これからも好きでいたい
大好きな自分と歩む毎日を大切にした 』
『 私の生きる道
私の生きる道は
決して簡単ではないけれど
たくさん楽しいこともある
一般的に健常者とは違うけど
私は これで充分だ
今ここで自分が生きていること
それだけでも
すごく大切なこと
そんな ささいなことでも
ちゃんと心に秘めて生きていきたい
みぞろぎ梨穂』
梨穂さんとお母さん