日常一般

日常生活にはびこる誤解、誤りを正す。

油断大敵

2007年06月07日 | Weblog
 昔々まだ僕が幼かったころ、母が僕に「ウサギと亀」の話をしてくれた。おなじみの話である。足の速いウサギと遅い亀とが競争して、ウサギが途中で居眠りをして負けてしまったと言う話である。僕は疑問に思って母にたずねた。「起こしてやらなかったのはスポーツマンシップに反する行為だ」と。母は笑って「この話には後日談があるんだよ」と次のような話をしてくれた。
 負けたウサギは悔しくて悔しくてたまらなかった。本来絶対に負ける相手ではなかったからである。「居眠りしたのは悪かった。だけど何故起こしてくれなかったのか?スポーツマンシップに反するではないか?」と。この抗議は認められて、後日再試合することになった。亀は驚いた。まともにやって勝てる相手ではない。そこで作戦を考えた。特別のジュースをつくってウサギのところへ持っていった。「ウサギさんこの間は失礼しましました。お詫びのしるしに力の出るジュ-スをつくりました。試合前に飲んでください」。人(?)の良いウサギはよろこんで何の疑いも無くこのジュースを飲んだのである。
 試合は開始された。ウサギはこの間のことがあるので、絶対に居眠りはしないぞとがんばった。しかしそれにも拘らず途中でどうしようもなく眠くなったのである。またまた居眠りをしてしまった。亀が追いつき、にやりとした。「ウサギさんウサギさん起きてください、試合中ですよ」と何度も何度も体をゆすって起こそうとした。しかしぐっすりと眠っていて起きようとしない。目撃者がいることを確かめて、仕方なしに?亀はその場を離れた。またまた亀が勝ってしまった。目撃者の証言もあり、しかも「2度も居眠りするとは何事か」と、今度は亀の勝利が認められたのである。亀は大喜びし、ウサギはしょんぼりした。
 この話をし終わって母は僕に話してくれた。「この話は決してスポーツマンシップをすすめる話ではなく、油断すれば、足の速いウサギでも遅い亀に負けてしまうと言う、油断大敵について語ったお話なんだよ」「ある場合には勝つための策略も必要なんだよ」と
 人生とは決してキレイ事ではすまないようだ。