読書・水彩画

明け暮れる読書と水彩画の日々

ヨルン・リーエル・ホルストの『警部ヴィスティング 鍵穴』

2025年02月10日 | 読書

◇『警部ヴィスティング 鍵穴』(原題:Det inerste rommet )
   著者:ヨルン・リーエル・ホルスト( Jorn Lier Horst )
           訳者:中谷 友紀子
              2021.3  小学館 刊  (小学館文庫)

  

 警部ヴィスティングシリーズ第13作目(邦訳第3作目)。現代ミステリーの警察小説
の原点とされるシュバール&ヴァールーの<マルティン・ベックシリーズ>の系譜に属
する正統派警察小説とされる。
 警部ヴィスティングはノルウエー国ラルヴィクという都市の警察署犯罪捜査部の警部。
元国会議員の屋クラウセンが亡くなりその別荘から8千万クローネの現金が発見された。
ヴィスティングは検事総長から極秘裡に捜査するよう命じられる。その夜別荘は火事に
なって全焼した(現金は火災前日にヴィスティングにより搬出されていた)。

 ヴィスティング警部はベテラン鑑識員であるモルテンセンと元新聞記者だった娘のリ
ーネ等を手足にして捜査を進める。捜査の結果同時期に起きたたいくつかの事件との関
連が疑われる。ひとつは2003年5月に起きた空港現金強殺事件、二つ目はクラウセンの
別荘があるイェルショ瑚畔で同じ日に起きた釣人の青年の行方不明事件、三つ目は2,00
3年9月のクラウセンの息子レナルトの交通事故死事故死である。

 この三つの事件の絡み合いと、日本ではありえない娘のリーネとの連携捜査(調査)
が興味深い。作者が警察官出身ということもあるが警察の緻密で地道な捜査の経過が
丁寧かつ克明に綴られる。登場人物も捜査手法、手順などもアメリカなどとは異なり
日本と似ている。珍しく死亡した政治家と政界の状況、高額な不明金の出所を巡る複
数事件の関連性を探る緻密な捜査の展開が実に興味深い。

                             (以上この項終わり)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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