読書・水彩画

明け暮れる読書と水彩画の日々

甲州道中・最終ラウンド(その2)

2007年06月06日 | 里歩き

◇教来石を越えて蔦木へ
  教来石(きょうらいし)宿という妙な名の宿場を通る。
 そろそろ12時になろうとしているが、途中に食事が出来る店も食べ物
  を売る店もない。またも昨日の悪夢の再現かと心配していたら、やれ
 ありがたや、甲州と信州の国境に架かる「国界橋」の袂に新しいコン
 ビニがあった。「かつ重」などを買って、田圃道の草の上に腰をおろし
 昼食をとった。日差しは強かったが涼しい風が心地よかった。
  蔦木宿は珍しく東西の入口が枡形になっている。この先で釜無川
 を橋で渡ると今夜の宿「信甲・館」がある。隣は「フォッサマグナの湯」とい
 う保養施設であるが、甲信・館は露天風呂もあり、日帰り入浴客も受
 け入れている。予定より早く、3時のご到着である。早速風呂に入り冷
 たいビールを呑んで一休み。すぐ夕食の時間になる。
  今夜の同宿客は4組。お隣に若夫婦が座った。
 「帳場で甲州道中を歩いている方と伺ったのですが・・・」と若奥様。
 聞けば結婚3年目であるが、「夫婦で共通の趣味を見つけたいね」と
 いうことで、手近かの甲州道中を歩き始めたのだという。
  我輩から見たらばまだ若輩の身でありながら、早くも夫婦の紐帯に
 思いを致し、共通の趣味を持たんとするはなかなか立派である。また
 夫婦仲もいい(1杯の生ビールを仲良く分け合って呑んでいた。)。
 このような若者を社員にしている会社はきっと伸びるに違いない(と
 思う)。
 「次歩くのなら中山道がお薦め・・」とか言ってそそのかし、今後の情
 報交換を約した。

          
   花と思いきや葉っぱ   白州町は雷鳥と石楠花と甲斐駒ケ岳   道祖神団地

  
  瀬沢大橋を渡るといよいよ急坂を登り山道に入る。傍らの水路を清
  冽な水が走る。やがて重収の一里塚跡があり、標高950mとある。韮
    崎との標高差約450㍍である。随分登ったものだ。
   原の茶屋辺りでは961㍍となっていて、この辺りが富士見峠かもし
  れない。御射山神戸の一里塚は珍しくも左右の塚とケヤキの巨木が
  残っている。樹齢380年、樹高25米、樹周囲6.9米という威容で、枝葉
  が辺りを覆い、かっこうやキビタキ、鶯などの鳴き声が心地よい。

            
   赤米、黒米など古代米の里  一里塚のケヤキの巨木     思わず見とれた空木の花   
   
 

 

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甲州道中・最終ラウンド(その1)

2007年06月05日 | 里歩き

<下諏訪宿への3泊4日>
◇竜王から穴山温泉へ

  昨年暮れに2泊3日で、甲府市竜王町まで歩いた。ここまで来ると今度の
  歩きは効率性から言って一気に終点の下諏訪を目指すことになる。4日間
  の天気予報が雨にはならないことを確かめ、宿を予約しJRのチケットを手配
 する。
  朝食は電車の中でオニギリで済ませ、9:40から歩き始めた。6時ちょっと
 に家を出るときには肌寒かったのに次第に気温が上昇し、暑くなってきた。
 ほぼ釜無川に沿って歩く。韮崎宿水神を過ぎると、右側には「七里岩」と呼
 ばれる河岸段丘が延々と続く。
 この段丘は「韮崎岩屑流」といって、20から25万年前の八ヶ岳の噴火に伴
 う溶岩や凝灰角礫が、50キロ以上にわたって甲府盆地を覆いつくした。釜
 無川左岸は川によって浸食され50から150メートルもの切り立った崖で
 ある。
  河原や家々の庭先などに黄色い花が咲き乱れている。宿の奥様に聞い
 ても「一年草で、どこにでもあるけど名前はちょっと・・・」との答え。花と葉の
 様子から「大金鶏菊」ではないかと思われる。
          
         七里岩           釜無川            大金鶏菊?
  
    街道は韮崎市祖母石でそろそろ1時頃、暑くて喉は渇くしお腹が空い
  て来たが物を売る店など一軒もない。「円井逆断層」とある沢を渡る。立
  派な造りの家々が点在している。農業だけでこんなに裕福になれるもの
  だろうかと余計な心配をしながら歩く。
   途中まるで花壇のように色とりどりの花々が植わった畑があった。そこ
  にいたお爺さんに「きれいですね」と言ったら、「すっかり緑が濃くなったけ
  んど、ほんの少し前まではあの崖にある緑もいろんな色合いで、それは
  きれいだったんだよ。」と、かすかにすれ違った答えが返ってきて慌てた。

 ◇穴山温泉能見荘
   
昼抜きのお腹で、標高差百米はあろうかという崖を七曲りの道で登り、
  更に韮崎に向かって逆に行って少し下ったところに今夜の宿「能見荘」
  がある。この近くにはここしか宿がない。日本百名山で有名な深田久弥
  氏が近くの「茅が岳」登山中脳出血で急逝されたが、その前夜宿泊した
  のがこの宿である。よくある民宿か登山客相手の鄙びた・・・と思いきや、
  なんのなんの家の造りといい茶室のある庭園といい、なかなかの宿で
  あった。
   4時前に着いて温泉にゆっくり浸かり、冷たいビールで渇ききった喉を
  潤し・・・至福のときであった。ちなみに昼抜きの体重は普段の2.5キロ減
  であった。

        
    穴山温泉能見荘   韮崎市は武田の里・スズランと鷲  今甲信ともどこも「風林火山」

     翌日は穴山橋袂から三吹を経て「台ケ原宿」へ。ここには山梨県の銘
    酒「七賢」の酒蔵がある。見学コースのほか試飲も出来る。ここは1杯目
    は無料、2杯目からは1杯90円である。意地汚い小生は、なるたけ高
    い酒をと思ったが、さすがに万を越える大吟醸は遠慮して、その下の
    クラスにした。グラスは小さいがすっきりとした呑み口で気に入った。
  試飲した手前もあって純米酒、吟醸純米、大吟醸の3点セットを買求
  めた。既に背中のリュックは3泊分の着替え、念のための傘に合羽、
  水、車中で読む文庫本、水のボトルで重くて肩が凝っているのに酒と
  なると「別腹」ならぬ別荷のようだ(さすがに妻にも分担して貰った)。

        
    牧歌的な水車がある風景   摘果時期に入ったぶどう  銘酒「七賢」の酒蔵

               
       重厚な仕込み蔵   醸造仕込み水は甲斐駒の伏流水      甲州は球形道祖神



  

  
   
  


 

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