リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

窯のコンサート

2006年10月29日 13時06分39秒 | 音楽系
昨日は常滑の窯のある広場資料館(INAX運営。愛知県常滑市奥栄町1丁目130)でのコンサートでした。これはヴァイオリンのMさんがここ9年にわたり続けてらっしゃるコンサートで、今回ご縁があり、ご一緒させていただくことになりました。去年一度そこを訪れたことがありましたが、今回来てみると、駐車場のあたりがきちんと整備されて見違えるようになっていました。

コンサートは、アメリカ人の若い作曲家、J・テイラーの作品を中心のプログラムで、最初と最後にバロック時代の曲をはさむという構成です。私はJ・テイラーにバロック・リュートの曲を委嘱していまして、今回はその中から3曲を演奏しました。

演奏はあとギターのNさんも加わり、3人でそれぞれソロ、デュオをするプログラムです。会場に着くと、ちょうどMさん、Nさん、そしてテイラー氏も到着したところでした。担当の方にお会いして、まず新しくできた施設を見せて頂きました。ここは、土をテーマにした多目的資料館といった感じの施設で、高い天井の響きの良さそうな広間がありました。来年はここをコンサートに使うこともおっしゃっていましたが、実現できたらいいですね。

コンサート会場はマンマ窯でして、要するに窯の中で演奏するわけです。窯の中はよく響きそうに見えましたが、天井が低いのと内部がかまぼこ型なのが原因なのか、意外なほどデッドでした。表面の凹凸がありすぎるのが一番の原因の可能性もあります。とはいうものの、名古屋市内の某芸術創造用のセンターホールよりはずっと演奏しやすく、何よりも完全な無音状態を得られたことと、あと中にこもって弾くという安堵感があってとても気持ちよく演奏できました。(閉所恐怖症の方にとっては全く反対の気持ちを持つでしょうけど、私はせまい家に育ったせいもあって、狭いところに入り込むのが大好きなんです。(笑))あと、焦げ茶色の色彩も落ち着いてよかったですね。

なんせ、名古屋市内の某芸術創造用のセンターホールとかなんとか文化小劇場(熱田文化小劇場以外は)色目もイマイチだし、なによりブーンというハムノイズが消えずコンサート会場としては失格です。どんな小さなリュートの音でもまわりが静粛であればかならず音は聞こえるし、耳もそれになれてきます。ハムノイズも消せない(担当の方は何か非常用の放送設備から出てくるハムでそれはオフにできないとかおっしゃってましたが)会場で、音楽用でございというのはあまりにも意識レベルが低すぎますねぇ。ま、最近の楽器は音の大きな楽器ばかりで、よく聞こえるのはいいのですが、会場担当者も多分聴衆も静粛さに対する感覚が鈍ってきているのかもしれません。静粛さは(暗闇なんかも)現代から最も求めにくいものになってしまったのでしょうかねぇ。

私は冒頭のヘンデルのソナタをMさんと、そしてその次の次にJ・テイラーの作品を演奏しました。ヘンデルの演奏が終わって、窯の外で待機していましたが、ふと外を見ると雨が。またしても雨です。私がコンサートに出ると雨が降るというジンクスはまたしても破られることなく記録継続だ、なんてNさんに言われてしまいました。でも実際はそんなことはなく、結構雨の降らないコンサートもあるんですけどね。先週のカンタータのコンサートのときだって雨が降らないどころか快晴でしたよ。でもこれは他に出演者が沢山いたので、私の雨パワーが弱まってしまっただけだったりして。

プログラムの最後は(というかアンコールです)、バッハのロンド風ガボットの3人によるリレー演奏(笑)です。これはギターのNさんのアイデアで、なかなか受けました。スタートは私でしたが、もともとやや早めのテンポでいつも弾いてるので、ちょっと速めのテンポで出てしまって、他の方に少し迷惑をかけたかもしれません。ともあれ、無事に終わり何よりです。