リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

スイス「里帰り」記(9)

2007年06月21日 12時36分40秒 | 音楽系
コハウトのコンチェルトのバックのストリングス(ヴァイオリン2本とチェロ)もよかったです。前日のクリシュナのバックはどう贔屓目に見てもうまいとは言えなかったし、彼のギターソロもあらっぽくて、バランスの問題も大ありでした。それと比べると、アンサンブルが緻密で、周到に計算されたバランスにより、小さいはずのリュートの音をくっきりと際だたせていました。もっともこれはリュートパートをよく知っているリュート奏者の耳で聴いた話で、一般的にはもう少しリュートが目立っていた方がいいのかも知れません。このあたりがリュート・トリオとかコンチェルトの難しいところです。ジブはこのコンチェルトでは弦長74センチのドイツ・テオルボを使っていました。(ジョエル・ヴァン・レネップ作でホピーの楽器を借りたそうです)この楽器をもう少し強いタッチで、もう少し前に座って弾くとよかったのかも知れません。

ヴァイスとバッハに使った楽器のバス・ライダーの形状がモーリスの楽器と同じだったので、コンサート後彼に尋ねたところ、モーリスの師匠であるファン・デ・ゲースト作の楽器だということでした。道理で同じはずです。モーリスは若い頃ファン・デ・ゲーストの工房で一緒に作っていて、ゲースト作となっている楽器のうち何本かはモーリスが全部作ったというのもあるとのことでしたので、ジブが弾いた楽器もモーリス作の可能性があるかも知れません。