リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

スイス「里帰り」記(4)

2007年06月15日 17時16分21秒 | 音楽系
クリシュナのコンサートはテオルボとロマンティック・ギターによるものでした。彼はもともとオスカ・ギリアにバーゼルでギターを習っていて、途中で転向してホピーのところに来た生徒です。プログラムは、ピチニーニ、モンテヴェルディ、ソル、ボッケリーニと76年生まれの若い作曲家イザベル・クラウスによる委嘱作品です。ソルは作品9番(いわゆる”魔笛”ってやつです)を演奏しましたが、たぶん昔から弾いていたこともあるのでしょう、非常に手慣れた感じで、かつ音楽的にも大変洗練されていました。

委嘱作品は、なかなか興味深いもので、テオルボが(リュートもそうでしょうけど)根元的にはパーカッシブな楽器だということを強く意識させる作品でした。テオルボなどリュート属の楽器にもこういった新しい作品が沢山生まれてほしいなと思いました。これら2曲以外の演奏はまぁどっちかというと平凡で、トータルで見たらクリシュナがいったいどこに向かおうとしているのかがあまり見えてこない感じでした。彼はやっぱりギターなのでしょうかね。