リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

電柱

2009年06月23日 12時05分34秒 | 日々のこと
昨日の日経新聞のコラム、なかなか興味深かったです。

美のよりしろという連載で、美術家の山口晃さんが執筆されています。昨日のテーマは電柱。少し引用してみましょう。


・・・絵を描く身からすると電柱はまさに美のよりしろだ。点景として電柱を描くとき電線のはしらせ方ひとつで黄金比を表したり、心地よい律動を生んだりすることができる。なぜなら既にして絵画の要素の一つ「線」であるからだ。・・・


こういう視点でふだん何気なくみているものを見ることができるとは、さすが美術家です。かくいう私も「電柱の美」には少し興味を持っていました。もっとも私は美術家の山口さんのようにきちんと理論的に説明はできませんが・・・

電柱は多分今後消え去っていくものでしょう。ある意味電柱は20世紀を代表する街の景観ですよね。もし25世紀あたりの人がこの景観を見たら、多分そこにある種の美を感じるんじゃないかと常々思っていました。我々には猥雑に見える電線の重なりもきっと別の視点で見られるんじゃないでしょうか。

同じような視点で見ると、たとえばJR山手線のガードの鉄骨構造体。曲線が美しくリベットの連なりもいいもんですねぇ。ウチの近くの伊勢大橋も優美な構造体です。身の回りをよく見ると、他にももっといけるものがあるかもしれません。20世紀は意外に美の宝庫だったりして。