リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

誤用、御用!?(1)

2010年05月11日 14時28分43秒 | 日々のこと
今回は場に即した言葉遣いの話題を2回に分けて。例にあげたのはいずれも私が知っている実例です。

(1)「本格的」その1

(コンサート終了後、演奏家の知り合いで音楽にはあまり詳しくない方が楽屋を訪ねてきて)
知り合いの方:「いやぁ、先生、本格的なんですね」
演奏家:   「ええ、いっ一応・・・」

この演奏家は本格的と言われて思わずどもってしまいましたね(笑)、本格的ということばは、本格になっていない人に対して使う言葉なので、これからきちんと修行しようという人に対して、その姿勢を讃えるときに使うのがよいようで。


(2)「本格的」その2

(ラジオの宣伝。古楽器の大家、A氏のコンサート案内)
「・・・本格的なバロック音楽をお楽しみいただけますので・・・」

押しも押されぬ大家、A氏の演奏を本格的というのはとても失礼。スポンサーさん頼んます。


(3)「お疲れ様」

(レッスンが終わって)
先生「はい、今日はここまでね。次回はかれこれ・・・」
(生徒、レッスン室を出る)
先生「はい、どうもお疲れ様でした」
生徒「どうも、お疲れ様~」

どっとお疲れパターン。こう言われると「疲れさせたのはお前だろ」って突っ込みたくなります。生徒は「ありがとうございました」とか「失礼します」(または両方)あたりでしょ。(桑名の年配の人なんかは「御無礼します」なんて言います(笑))お疲れ様は同僚とか友人間あるいは目上の人から下の人に使うという語感。同じようなシチュエーションで使う「ご苦労様」は目上の人が下の人をねぎらう言葉という感じです。下から上は「お世話をおかけしました」あたりはいけるかな。「お世話になりました」も行けそうですが、レッスン後に言われると、何か今日が最期だという意味に聞こえ、先生としてはちょっと悲しい。ま、お世話とか御苦労とかお疲れなどの行動評価系の言葉はこの場合使わない方が無難なようで。え?余計なお世話だって?

(つづく)