昨日のエントリーで紹介したイギリスリュート協会Lute News 146を書いたベルンハルト・フィッシャーという人はどういう人か調べてみましたら、アンドレアス・ベールの楽器についての別の論文が見つかりました。ただこの方がどういう人なのかはわかりませんでした。バロック・リュートのための自作品を集めた曲集もありましたが、クオリティはとても低いです。
Lute News 146の記事の中で、マーフィーに作ってもらった楽器はダブルフレットにしたという下りがあり、参照記事として竹内太郎氏の記事(Lute News 139)が註にあげられていました。
竹内氏の記事を読んでみますと、ホルバインの「大使たち」という絵(註)を踏まえて「少なくとも17世紀後半までは(ダブルフレットが)普通であった」とあります。そして註に「最初にシングル・フレットに言及した記述はトマス・メイスの音楽の記念碑(1676)に見られる」とあります。
メイスの記述はシングルフレット批判です。「最近私が試してみたやり方がある。そしてそれがベストであると確信した。それはリュートのフレットをシングルで巻くことである」(中川訳)とあります。そのあといくつか理由があげられています。こういうことを書いたということはメイスの著書の出版年である1676年頃はダブルフレットとシングルフレットが混在していて、彼はシングルフレットの優位性を説いて広めたかったのでしょう。
でも製作年1699年、使用していたのは18世紀のベールに「当時に習って」みたいにダブルフレットにするのはどうなんでしょう?こういう記事を読んでまた日本のアマチュアの一部がまたヴァイスを弾く楽器もダブルフレットでなければいけない、なんて言い出しかねません。実際そういう人に最近会いました。
ホルバインの絵の制作年である1533年頃はダブル優勢、でもシングルもいたかも知れません。17世紀後半にメイスがシングル批判をして18世紀に至り、混在はしていたかも知れませんが、趨勢はシングルに移っていったというのが実際のところでしょう。16世紀~18世紀のリュートを描かれた絵画を全て調べ統計的な結果を出すことは可能かも知れませんが、その間存在したリュートは恐らく何万台という数でしょう。そのうち描かれたリュートは何台あるのかは分かりませんが、統計的な有意性を出すには何枚の絵が必要なのでしょう?
まぁそんな面倒くさいことは学者の先生に任せて、メイスの言うように、シングルフレットの方が音がクリアに出るので、バロック・リュートのフレットはシングル巻きというのでよろしいんじゃないでしょうか。
(註)ロンドンのナショナル・ギャラリーにあります。そこには4コースのオクターブ弦が切れた6コースリュートが描かれています。そしてフレットはダブルです。でも変わった巻き方で、ネック部分は一重です。どうやって巻いているんでしょう。絵の楽器の向こう側が見たいです。ちなみにナショナル・ギャラリーは入場無料です。
Lute News 146の記事の中で、マーフィーに作ってもらった楽器はダブルフレットにしたという下りがあり、参照記事として竹内太郎氏の記事(Lute News 139)が註にあげられていました。
竹内氏の記事を読んでみますと、ホルバインの「大使たち」という絵(註)を踏まえて「少なくとも17世紀後半までは(ダブルフレットが)普通であった」とあります。そして註に「最初にシングル・フレットに言及した記述はトマス・メイスの音楽の記念碑(1676)に見られる」とあります。
メイスの記述はシングルフレット批判です。「最近私が試してみたやり方がある。そしてそれがベストであると確信した。それはリュートのフレットをシングルで巻くことである」(中川訳)とあります。そのあといくつか理由があげられています。こういうことを書いたということはメイスの著書の出版年である1676年頃はダブルフレットとシングルフレットが混在していて、彼はシングルフレットの優位性を説いて広めたかったのでしょう。
でも製作年1699年、使用していたのは18世紀のベールに「当時に習って」みたいにダブルフレットにするのはどうなんでしょう?こういう記事を読んでまた日本のアマチュアの一部がまたヴァイスを弾く楽器もダブルフレットでなければいけない、なんて言い出しかねません。実際そういう人に最近会いました。
ホルバインの絵の制作年である1533年頃はダブル優勢、でもシングルもいたかも知れません。17世紀後半にメイスがシングル批判をして18世紀に至り、混在はしていたかも知れませんが、趨勢はシングルに移っていったというのが実際のところでしょう。16世紀~18世紀のリュートを描かれた絵画を全て調べ統計的な結果を出すことは可能かも知れませんが、その間存在したリュートは恐らく何万台という数でしょう。そのうち描かれたリュートは何台あるのかは分かりませんが、統計的な有意性を出すには何枚の絵が必要なのでしょう?
まぁそんな面倒くさいことは学者の先生に任せて、メイスの言うように、シングルフレットの方が音がクリアに出るので、バロック・リュートのフレットはシングル巻きというのでよろしいんじゃないでしょうか。
(註)ロンドンのナショナル・ギャラリーにあります。そこには4コースのオクターブ弦が切れた6コースリュートが描かれています。そしてフレットはダブルです。でも変わった巻き方で、ネック部分は一重です。どうやって巻いているんでしょう。絵の楽器の向こう側が見たいです。ちなみにナショナル・ギャラリーは入場無料です。