リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

BWV1006a(4)

2024年07月04日 10時25分45秒 | 音楽系

この曲をリュートで弾くにはいくつかの方法があります。代表的なのはホ長調ではなく半音上げてヘ長調で弾くことです。大体都合よく弾けるようになりますが、ひとつだけメンドクサイ部分があります。それはプレリュードのいち部分(2回目のカンパネラ、63小節目~)です。ここをスムーズに弾くにはB♭の開放弦があると都合がいいです。

ここを乗りきる方法としては、1)何とか指を伸ばし、ポジションを工夫して弾き切る、2)3コースを半音上げてB♭にする、3)オクターブ下のB♭を使う。ギターの人はもうみんな割り切って3)の方法をとっています。

師匠のホプキンソン・スミスは1)の方法をとった楽譜をUT ORPHEUS EDIZIONI から出版していますが、それを見るとかなり広い指のエクステンションがあり、私の指だとちょっと届かない部分が出て来ます。

20何年か前に三重県の田舎のホールでこのプレリュードを弾いたことがありましたが、件の部分は高いポジションをつかって工夫しました。しかし音色がハイポジションで妙に丸くなり他の部分と合わなくなるのと、なんと言っても複弦の高いポジションを取るので指が外れてしまいがちでとてもリスキーです。

リュートでも3)の方法を取る人がいますが、ギターみたいにやってもねぇ。やっぱりリュートですからちゃんとしたいところです。そこで出てくるのはやはり2)の3コースをB♭にする方法です。