リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

BWV1006a(8)

2024年07月13日 19時30分39秒 | 音楽系

プレリュードは139小節にわたる長い無窮動曲です。そのあとにフランス的な舞曲が続く組曲ですが、ヴァイスなどのリュート奏者による作品で冒頭にこのような大がかりな曲が置かれているものはほとんどありません。小節ベースではこのプレリュードが全体の3分の1以上を占めるというある意味では特異な曲といえます。

長大なプレリュードにはリュートにとって技術的な要になる箇所がいくつか出てきます。そこをどうやってリュートにとって効果的な左手ポジションと右手指使いに落とし込むかが編曲のポイントになります。それらをひとつずつ見て生きましょう。

1)3,4小節:左手のポジションはこんなところでしょうけど、右手に関してはこの曲のポイントとなる指使いが出てきます。

まず3小節目ですがここはこれではなく

こちらです。

 

下のラインを親指だけで弾かないというのがポイントです。奏者によってはこの様な音型を全て親指を使わないで弾いている人もいます。

4小節目は一番低いポジションを使いできる限りモルトレガートで弾きます。このポジションが取れるのは3コースをシ♭したおかげです。