リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

レイテンシー、音の遅延(2)

2020年07月06日 13時50分58秒 | 音楽系
音速(メートル/秒)=331.5+0.6x気温摂氏、らしいので気温を23度として計算すると5mの距離は何ミリ秒かかるでしょうか。

計算式にあてはめますと気温摂氏23度の時の音速は秒速345.3mです。このとき音が5m進むには14.5ミリ秒かかることになります。DAWなんかの設定でレイテンシー何ミリ秒とかいいますが、14.5ミリ秒だと実際には演奏に支障が出るということになります。

もっともこれが無響室だったらもう少しマシだったかも知れませんが、コンサートホールではいろんな反響音が奏者にも帰ってきます。T君の楽器から直接出た音が14.5ミリ秒遅れて届き、さらに反響音がもっと遅れて届いて合わせづらくなったんだろうと思います。

件のアンサンブルでは最終的にはチェロとテオルボは3m弱で演奏しましたが、この時のレイテンシーは8.7ミリ秒弱です。多分一桁台のレイテンシーなら問題はないということでしょう。

T君の演奏している姿を見て期待する音のタイミングと、実際に届く音のずれが14.5ミリ秒あると演奏に支障をきたし8.7ミリ秒ならなんとかいくということです。

ちなみに高性能ミュージックインターフェイスの1ミリ秒以下のレイテンシーだと、楽器間の距離は30cmくらいになり、自分の楽器の音が出る位置と自分の耳くらいの距離です。この程度のレイテンシーは無視できます。もしこれが気になるようならリュートの演奏はできませんし、チェンバロなら音源部がもっと離れているの全く演奏不可能ですが、この程度なら神経回路伝達時間を含めて脳ミソの方でずれをうまく処理できるみたいです。

(まだづづく)

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