リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

レイテンシー、音の遅延(3)

2020年07月07日 19時55分00秒 | 音楽系
テレビのオーケストラ番組における映像と音のずれ

テレビ番組のオーケストラライブ録音番組で、音と画像がずれている番組があります。

たとえばヴァイオリンの弓や指の動きを見ていて、ここで音が出るというタイミングで音が出てないことがあります。あるいは指揮棒の動きが微妙に音と合っていないこともあります。この場合、画像が先に来てあとから音がつづきます。もちろん何十ミリ秒の遅れなんでしょうけど、番組に苦情が殺到しないところを見ると皆さんそんなに気にならないのかも知れません。

こういった現象が起こるのはたぶんマイクが高いところに設置されていて、音源のオケからかなり離れたところにあるからでしょう。光の速度は速いのでカメラの映像素子に届く時間はほぼ0秒、音の速度は、音速(メートル/秒)=331.5+0.6x気温摂氏、なのでオケの真ん中あたりから20m離れていたところにマイクが設置されていれば音がマイクに届くまでに60ミリ秒近くかかります。

大きなオケだとオーケストラ内でさえ音のレイテンシーが発生します。たとえばヴァイオリンの一番左端の人と対角線上にあるコントラバスの人とは弾いてる姿と音のタイミングは一致しないはずです。ですからきちんと指揮(場合によってはコンマス)にあわせないと統率が取れなくなります。

番組によってはライブ用のマイクが各楽器セクションに設置されているときがあります。こういうときは画像のタイミングと音が合うので、番組を見ていてもとてもすっきりします。

ZOOMのレイテンシーを計測したサイトがあります。

Zoomの音の遅延はどのくらいか?

これは画像と音声のずれを計測したのではなく、双方向の音声のタイミングのずれを計測したものですので、このエントリーで話題にしているテーマとは少し異なりますがとても興味深い内容です。

これによりますと140ミリ秒くらいの遅れが生じるとのことで、場合によっては267ミリ秒に至ったこともあったとのことです。ZOOMでなんとなく会話のタイミングがかみ合わないというのはよく経験されることだと思いますが、計測結果のような遅延があったわけです。

オーケストラライブの番組の遅延はZOOMのタイミングずれの半分くらいでしょうから、わかりにくいかも知れませんが、ヴァイオリンの弓や奏者の指をよく見て自分が弾いているつもりになればレイテンシーに気づくかも知れません。今度の日曜日のNHKクラシック音楽館ではどうなんでしょう?ちゃんとタイミングが合っているのでしょうか?
(このシリーズ終わり)

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