リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

岐路 (2)

2005年05月29日 05時25分28秒 | 随想
 進路を選択した頃、リュートとギターは一人で弾きわけることは、爪やタッチの問題があり、それはできないのではないかと考えていた。今ではできないと考えるのは当たり前だろうが、当時はギタリストのブリームやラゴスニヒが爪を使ってギター的構造のリュートを弾いていた時代だ。その頃日本でも同じような方式でリュートとギターを弾いていた人が何人かいた。しかし私は傲慢にも、彼らとは一線を画する次の世代のリュート奏者たろうという気負いがあり、いずれギターは完全に捨てることになるだろうと思っていたのだ。そういう思いも私に「二足わらじ」をはかせた理由の一つだろう。その決定をしたのは、大学4年生になった年の暮れか翌年になった頃あたりだと思うが、教師になるために取らなければならない単位が不足していた。そこで、一つの授業の最終提出課題を提出せず敢えて留年することにした。どの校種の教師になるのかは、漫然と中学校と決めていた。特に大きな理由はなかったが、中学校時代が一番印象に残ることが多かったのが理由だったかも知れない。

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